社内報は、大企業を中心とした多くの企業で、古くから自社社員に向けて発行されてきました。現在では、その形態が一昔前に主流であった紙媒体から、パソコンやスマートフォンで見られるWeb媒体へと移行しつつあり、再度企業からの注目を集めています。
では、情報が溢れた現在において、Webによる社内報は何のために発行されるのでしょうか。そしてなぜ注目されているのでしょうか。
そこでこの記事では、Web社内報が注目される理由や導入メリットを、専用ツールの説明とともにご紹介します。
社内報とは
社内報とは、自社の社員を対象に発行される、企業内の広報誌です。社内の情報をまとめて冊子にし、社員に配布します。
一般的な社内報には、以下のような内容が掲載されます。
・経営理念、経営方針
・最新ニュース
・活動や実績報告、取り組み
・新商品やサービス、ソリューションの紹介
・社員紹介
・その他、お役立ち情報や読み物などのコンテンツ
社内報の主流は紙媒体でしたが、最近ではWeb化が進み、多くの企業がアプリやホームページ、Web動画など、Web上で社内報を配信しています。
Web社内報が注目される理由
では、長きにわたり紙媒体での配信が主流であった社内報のWeb化が進んでいるのはなぜなのでしょうか。それは、紙媒体による社内報のデメリットに関係があります。
ここでは、Web社内報が注目される理由を4つご紹介しましょう。
理由1 リアルタイムでの情報共有
紙の冊子で社内報を発行しようと思うと、印刷や製本などの工程が必要になり、時間がかかります。印刷や製本に時間がかかっていては、すぐに伝えなくてはならない情報をリアルタイムで伝えることができません。
しかし、Web社内報なら伝えたい情報をすぐに記事にしてアップロードし、社員に共有することができます。リアルタイムの情報共有ができる点は、Web社内報の強みです。
理由2 コスト
紙の冊子による社内報には、紙や印刷代、製本代など、コストがかかります。社内報を定期的に発行することを考えると、そのコストは莫大なものになるでしょう。
一方のWeb社内報には、このようなコストはかかりません。Web社内報サービスを利用する場合には運用コストがかかりますが、幅広いサービスが付属していることを考えると、紙の社内報よりもリーズナブルに済むことが多いでしょう。
理由3 場所や時間を制限しない情報共有
ここ数年で、テレワークを実施する企業が大幅に増加しました。テレワークの社員や出張中の社員に、すぐ見てほしい社内報の冊子を渡すことは不可能です。
しかし、Web社内報なら、端末があればいつでもどこでも情報確認が可能になります。勤務形態に関わらず情報共有がしやすくなります。
理由4 情報管理の重要性
Web社内報は、紙の社内報よりも情報を管理しやすい傾向にあります。
紙の社内報を、社員が公共の場に置き忘れてしまったりシュレッダーにかけず捨ててしまったりすることは、情報管理の点から好ましくありません。
Web社内報ならWeb上での情報閲覧になるのでそのような恐れはなく、また閲覧者の制限や印刷の制限もしやすいことから、情報管理を徹底できます。
また、検索機能を用いて過去の社内報から必要な情報を探すことも容易になるでしょう。
Web社内報サービスの導入メリット
社内報をWeb化するには、専用ツールによるWeb社内報サービスの導入が便利です。
ここでは、Web社内報サービス導入のメリットを3点ご説明しましょう。
メリット1 速やかな情報発信・共有
Web社内報サービスを利用すれば、作成した記事をすぐに社員へ発信し、共有することができます。紙の社内報のように、記事作成から共有までに時間がかかるようなことはありません。
専用サービスならではのわかりやすく無駄のない手順で、速やかな情報発信・共有が叶う点は、Web社内報サービスの大きなメリットです。
メリット2 コンテンツ作成の利便性が高い
Web社内報サービスには、Web社内報作成の専用ツールが搭載されています。そのため、内蔵のテンプレートを用いることで、簡単に魅力的なコンテンツ作成が行えます。
また、紙の社内報と違い、修正や加筆も手軽に行えるので、柔軟な対応が可能です。
メリット3 多様なコンテンツ作成が可能に
Web社内報サービスでは、Webならではのコンテンツ作成が可能です。動画や写真、PDF、また他のサイトとのリンクを用いた情報発信で、コンテンツはより価値あるものになるでしょう。
Web社内報サービスには、動画や写真の編集機能を備えているものもあります。
メリット4 読み手とのコミュニケーション
読み手とのコミュニケーションが図れる点も、Web社内報サービスによる社内報の魅力です。読んだコンテンツに対し、読み手はいいねやスタンプ、コメントなどで反応することができます。
この機能により社内コミュニケーションが活発になれば、それは社内の活気に繋がります。
Web社内報サービスの主要機能
Web社内報サービスに搭載されている機能は、ツールによって異なります。ここでは、多くのツールに搭載されている主要な機能の一例をご紹介します。
・コンテンツ作成、配信機能
・動画や写真編集機能
・コミュニケーション機能
・検索機能
・新着情報通知機能
・カレンダー機能
・アンケート機能
・公開・非公開設定
・アクセス分析機能
・セキュリティ機能
また、情報共有ツールにWeb社内報サービスが付属していることもあり、その場合はナレッジ共有機能やチャット機能なども搭載されます。
ただし、サービスやツールによって機能には差があるため、導入時には比較と見極めが大切です。
Web社内報サービスの選定ポイント
Web社内報サービスの選定時には、以下の4つのポイントに着目し、自社のニーズに合ったサービス導入を目指しましょう。
ポイント1 機能
Web社内報サービス選定の前には、まずWeb社内報で「何をしたいか」「どんな課題を解決したいか」という目的を明確にしておきましょう。
そして、目的に合った機能を搭載するサービスを、選定していきます。
「期待していたことができなかった」というようなことにならないよう、機能の確認と比較はじっくり行いましょう。
ポイント2 操作性
Web社内報サービス選定では、サービスツールの操作性も重要なポイントです。
ツールが使いにくければ、記事の作成・発信に時間がかかったりミスが生じたりしてしまう可能性があります。また、読む側の操作性も高くなければ、発信した情報のアクセス数が伸びない恐れもあります。
操作性については、トライアルプランや無料プランを用い、実際に確認しておくのが理想です。
ポイント3 コスト
Web社内報サービスには、運用コストがかかります。金額はサービスによって異なるため、機能性とコスト、また自社の予算を比較し、最適なものを選択しましょう。
Web社内報サービスは継続的に利用するものなので、無理のないコストのものを選択することが大切です。
ポイント4 セキュリティ
社内報には、自社の重要な情報が詰まっています。もしこの情報が漏洩してしまったら、企業はダメージを受けるでしょう。よって、Web社内報の選定時にはセキュリティ面の確認を怠らないようにしてください。
「どんなセキュリティ対策が講じてあるか」は、Web上で社内報を作成・発信するにあたって重要性の高いポイントです。
主要のWeb社内報サービスを比較
ここでは、主要なWeb社内報サービスをピックアップし、その特徴を比較していきます。
toaster team トースターチーム
toster team トースターチームは社内報をはじめ、文書マニュアル作成や日報・議事録・企画書を作成できるノート機能や用語集の管理、ニュースのクリッピング機能、マニュアルをボタンひとつでToDo管理できるタスク管理など、チームのあらゆる情報共有をひとつで実現できるオールインワンツールです。また、画像編集ソフトを利用しなくても、アップロードした画像をワンクリックするだけで、テキストや図形の入力・編集が可能なうえ、何度でも再編集できます。マニュアル専用ツールだけにとどまらず、チームのさまざまな情報をストックして検索・活用したいというニーズにお応えできます。サービス提供からわずか1年で累計導入社数2000近い実績も納得のクラウドサービスです。
【toster teamのプラン例】
・ライトプラン/月額35,000円
・スタンダードプラン/月額60,000円
・ビジネスプラン/月額120,000円
・エンタープライズ/要見積
※無料トライアル期間 14日間
ourly
ourlyは社員エンゲージメントを向上させるためのWeb社内報サービスです。それぞれの記事がどれくらい読まれているのかを把握できる分析機能や、簡単に記事の入稿・管理ができるシンプルなUIなど、スマートな社内報の運営に役立つ機能が備わっています。
月に1回の定例・レポートのサポートもあり、閲覧状況などのデータを分析して次の改善につなげることが可能です。
料金:月額制(要問合せ・無料トライアル有り)
社内報アプリ
社内報アプリは、社内報専門サイト「社内報ナビ」を運営するウィズワークス株式会社が提供するWeb社内報サービスです。マルチデバイス対応でPCやスマートフォンなどさまざまなデバイスから社内報を読むことができます。
社内報の記事だけでなく、社内資料や動画、公式サイト、SNS、問い合わせ窓口などの情報を集約する社内ポータルとしての機能もあるため、社内の情報共有をまとめて管理できます。
料金:要問合せ
TUNAG
TUNAGは社内の情報共有を活性化してエンゲージメントを活性化する経営プラットフォームです。社長ブログや動画メッセージ、部署紹介など社内報としても活用できる機能が備わっています。その他にも日報やMVP表彰やサンクスカードなど、各種制度に合わせた情報発信が可能で、ビジョン・ミッションの浸透やメンバーの相互理解につながります。
利用状況を可視化できるダッシュボードや導入時のオンボーディングサポートもあるため、社内報運営に不安のある企業でも安心です。
料金:月額制(要問合せ)
Solanowa
Solanowaは、企業のWeb社内報開発に携わった豊富なノウハウを活かした、Web社内報サービスです。簡単に社内報ページを作成して公開できるのはもちろん、アンケート機能や多言語対応など、多くの機能を備えているのが特徴です。
また、セキュリティ強化の機能も充実しており、アクセス元URLの制限やファイアーウォール、侵入検知、不正プログラム対策など、安心して情報発信ができる体制が整っています。厳選された機能と低コスト、スピード感が特徴で、アクセス解析や読み手とのコミュニケーションが可能です。セキュリティにも力を入れています。コンテンツの企画立案や作成、動画作成などを有料で依頼することも可能で、社内報作成に割く人員がない場合にも便利です。
・低コスト、スピード感
・セキュリティ強化機能が多数搭載
・有料で運用を委託することも
・料金:要問合せ
ザ社内報
ザ社内報は、多くの企業に導入されるWeb社内報サービスです。社内コミュニケーションの活性化やインナーブランディングを目的に、魅力的なWeb社内報の構築をサポートします。
高い操作性で記事作成がしやすく、コミュニケーション機能や分析機能も充実しています。デザイン性の高いWebメディアのような社内報作成が叶います。
・コメントやいいねなどコミュニケーション機能も充実
・テーマに応じたデザインのWEBメディアに
・料金:月額55,000円(1万人未満の利用)、初期費用15万円~
WEB社内報「WMZ」
WEB社内報「WMZ」はPCやスマートフォンアプリ対応のWeb社内報サービスです。直感的に操作できるシンプルな操作画面で、簡単に記事を作成して社内に公開できます。検索機能やランキング機能があるため、従業員は自分の読みたい記事を簡単に探すことができ、記事の閲覧を後押しします。
WEB社内報「WMZ」を提供するglassy株式会社はインナーブランディングを行う企業であり、Web社内報の企画提案や紙の社内報の発行、取材・制作なども別途提供しているため、社内報の制作リソースやスキルがない場合には、検討してみるとよいでしょう。
料金:要問合せ
Wantedly Story 社内報
Wantedly Story 社内報は求人情報サイトを運営するウォンテッドリー株式会社が提供するWeb社内報サービスです。簡単に記事を作成して公開でき、いいねやコメントで呼んだ人の反応を可視化できます。また、投稿された記事は自動でメールやSlackで通知されるため、記事の閲覧を後押しします。
このWantedly Story 社内報はウォンテッドリー株式会社が提供するエンゲージメント向上のためのツール群の1つで、この他にチームの状態を可視化する「Pulse」と福利厚生の「Perk」が提供されています。
料金:プラン・人数により変動
TSUTAERU
TSUTAERUは社内コミュニケーションの活性化やエンゲージメント向上のためのWeb社内報サービスです。簡単にWeb社内報を作成・公開でき、公開後はアクセスログの出力機能などを使って、どれくらい読まれているかなどを分析できます。テキストページ以外にも60秒までの短い動画を共有できます。
特にチームでの運用に便利な機能が多く、編集範囲の設定や承認のワークフローなど多彩な権限設定ができるのも特徴です。
料金:月額 ¥49,280〜(体験版有り)
https://www.sitepublis.net/service/package/inner.html
Knowledge
Knowledgeはオープンソースの情報共有サービスです。自社のサーバーにインストールして利用でき、欲しい機能を別途追加することも可能です。社内利用を前提として開発されているため、Active DirectoryやLdapといった既存のユーザー管理システムを利用してログインすることができます。
オープンソースでありながらも、記事の公開範囲の設定やWebHookを利用した外部ツールへの連携など、多彩な機能があるため、費用を抑えてWeb社内報を運営する場合に適しています。
料金:無料
Microsoft Viva Engage(旧 Microsoft Yammer)
Microsoft Viva Engage(旧 Microsoft Yammer)はMicrosoftが提供するビジネス用のSNSです。社内でのSNSとして様々な投稿をすることができ、簡易的な社内報として活用することができます。投稿には3種類あり、通常の投稿である「更新」のほかに、社内のメンバーに向けて意見を聞く「投票」と社内の誰かに感謝や祝福を送る「称賛」があります。
Microsoft Viva EngageはMicrosoft 365のプランに含まれているため、利用にはMicrosoft 365の契約が必要です。
【Microsoft 365の料金プラン】
・Microsoft 365 E3:¥3,910 / ユーザー / 月
・Microsoft 365 E5:¥6,200 / ユーザー / 月
・Microsoft 365 F3:¥870 / ユーザー / 月
NotePM
NotePMは、使いやすさが評価されている社内版ウィキペディアを目指す情報共有ツールです。あらゆる情報をあらゆる形で発信できるので、社内報としても利用できます。豊富なテンプレートで記事作成がしやすく、ファイルの共有やページ内へのツール埋め込みも簡単です。機能が充実しており、情報共有に特化しているため、社内報にプラスアルファの情報共有を目指す企業におすすめです。
・バリエーションに富んだ機能を搭載
・豊富なテンプレートで記事作成を簡単に
・社内報だけではなくマニュアルやコミュニケーションの場として活用可能
・料金:月額1,000円~(3ユーザー)、初期費用0円
Web社内報サービスの導入事例
実際にWeb社内報サービスを導入した2社の事例をご紹介しましょう。
大手製菓会社A社の事例
A社は、紙媒体で社内報を発行していましたが、速報性の高い情報発信用にと、2003年にWeb社内報も紙媒体と並行して導入しました。
元々は社長からのメッセージ配信を目的としていましたが、わかりやすくリニューアルしていくうち、Webならではのゲームの世界観を思わせるような明るく楽しい社内報が誕生した。
これにより社員からの関心は高まり、Web上のコミュニケーションも増加しました。特に日常的に更新される社長のブログは人気が高く、社員のコメントで溢れるようになりました。
Web社内報により、社内コミュニケーションの増加やエンゲージメント向上を実現してきたA社は、現在工場勤務の社員へ向けたWeb社内報の浸透を模索しています。
大手金融系会社B社の事例
B社もA社と同様、紙媒体と並行してWeb社内報を発行しています。紙媒体よりもビジネス寄りの内容を発信することが多く、更新記事数は毎日1〜3本程度です。経営陣のメッセージやニュース記事、記事のアーカイブ、役員一覧、他部署のイントラリンクなどコンテンツは多岐に及び、英語版も発行しています。
B社では、Web社内報導入により、社員が自らアクセスして情報を得られる環境が整い、社内での情報共有がスムーズになりました。
現在もアクセスデータを分析しながら、読まれるコンテンツ作成に取り組んでいます。
まとめ
Web社内報の導入は、デジタルシフトが進む現在に即した経営施策のひとつです。社内報をWebにすることによるメリットは、企業にとって大きなものでしょう。
Web社内報開始にあたっては、専用のWeb社内報サービスを利用することで、円滑で効果的なWeb社内報作成が可能になります。中には情報共有ツールでWeb社内報の作成や発信が可能な場合もあるため、ナレッジ共有の推進を考えている企業では、情報共有ツールの導入を検討するのもひとつでしょう。
ただし、サービスやツールはそれぞれ特徴が大きく異なります。サービスやツール選定は、自社のニーズを踏まえ慎重に行いましょう。
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