営業活動の中で「受注確度」という言葉を使う場面があります。確度とは、辞書で「確かな度合い」と定義され、受注確度は受注に対する確かさの度合いを表したものです。
顧客ごとの受注確度を管理し可視化することで、より効率的な営業活動を実現する指標となります。これに着目することで、最適な戦略策定が可能になります。
そこで今回は、受注確度の概念、その管理方法、そして管理するメリットについて詳しく解説します。営業活動の効率化を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
受注確度とは
受注確度とは、営業活動において提案した自社製品やサービスが、顧客によって購入され、受注に至る可能性を示す指標のことです。例えば、提案した製品を顧客が購入する可能性が高い場合には「確度が高い」と表現し、購入の見込みが薄い場合には「確度が低い」と表現します。この「確度」という言葉は、受注に限らず、確実度を示すために用いられることが多いです。
取引先ごとに受注確度を明確に表すことは、最適な営業戦略の策定に役立ちます。ただし、これを効果的に行うためには、営業チーム全体で受注確度の基準が統一されている必要があります。個々の営業担当者が感じる主観的な確度にはどうしても差が生じてしまうためです。この問題を避けるために、営業組織が受注確度を指標として活用する際には、まず明確な基準を設けることが重要です。
受注確度を統一する際に役立つ基準
前述のとおり、営業組織で戦略立案の指標として受注確度を活用するには、確度を表現するための基準が必要です。基準を設けることで、営業担当者全員が同じ基準に基づいて受注確度を評価できるようになり、有効な指標として機能します。
この基準としてよく用いられるのが「BANT」というフレームワークです。
BANTとは、法人営業におけるフレームワークで、以下の4つの要素の頭文字を取ったものです。
- Budget(予算)
- Authority(決裁権・決裁者)
- Needs(顧客ニーズ)
- Timeframe(導入時期)
BANTは、営業時の顧客へのヒアリングでよく使われるフレームワークであり、「予算」「決裁者」「顧客ニーズ」「導入時期」という4つの要素を把握することが営業活動において重要です。企業側の提案がこれらの要素を満たすほど、受注の可能性が高まると考えられています。
このため、営業組織では、受注確度の基準として「BANT情報がいくつ揃っているか」を採用することが一般的です。BANTの要素とその内容に基づいて確度を設定し、その基準に沿って営業担当者が各案件の確度を評価することで、統一的な表現が可能となります。
受注確度を管理するメリット
受注確度を管理することには、以下の3つのメリットがあります。
メリット1: 確度に合ったアプローチを実施できる
受注確度を管理することで、担当者は顧客の確度に応じたアプローチを実施できます。例えば、確度の高い顧客には優先的にアプローチを行い早期受注を目指し、確度の低い顧客との商談は打ち切りを検討するなどです。
限られたリソースを有効に活用するためには、受注確度に応じた対応が不可欠です。確度が高い顧客には早めにアプローチする必要がありますし、確度が低い顧客に無駄な時間を費やすことは避けたいところです。受注確度を管理することで、効果的なアプローチが可能になります。
メリット2: 全体的な営業戦略を立てやすくなる
受注確度に関する情報は、個別の案件だけでなく、営業組織全体の戦略策定にも役立ちます。例えば、「受注確度が高い顧客が少ないため、新規開拓に注力する」「受注確度が中程度の顧客には、受注率が高い担当者を向かわせる」といった判断が可能です。
特に売上が求められるタイミングでは、受注確度が高い顧客へのアプローチが優先されるべきですし、確度が低い顧客が多い場合には、新規開拓や確度を上げる施策が必要です。このように、受注確度は効果的な営業戦略を立てるための重要な指標となります。
メリット3: 売上を正確に予測しやすくなる
売上目標を達成するためには、正確な売上予測が欠かせません。受注確度を管理することで、売上予測の精度が向上します。確度が高い案件を売上予測に反映し、確度が低い案件を除外することで、実際の売上に近い予測が可能になるためです。
正確な売上予測ができれば、それに応じた目標設定や対策を講じやすくなり、営業活動全体の効率化にもつながります。
受注確度の管理に便利な営業ツールの機能とメリット
受注確度の管理には、営業ツールの活用が効果的です。営業ツールを使うことで、顧客情報や案件情報など営業に関する情報を一元管理でき、情報の可視化や分析、共有、蓄積を行うことが可能になります。
営業ツールには、次のような機能が搭載されています。
顧客管理
会社名、担当者名、役職、連絡先といった基本情報や接触履歴など、顧客に関する情報を管理する機能です。この機能により、情報を活用した営業アプローチができるだけでなく、担当者不在時に他の担当者がスムーズに顧客対応を行うことが可能になります。
案件管理
各営業案件における見込み顧客や担当者、提案製品、進捗、受注予定日、見込額などを管理する機能です。受注確度は、案件管理の一項目として扱われることが多いです。この機能により、営業の進捗管理や最適な戦略策定が可能になります。
商談管理
実施した商談の詳細を管理する機能です。商談の理由や内容、商談日時、担当者、これまでの商談履歴、次回のアクションなどが記録されます。進捗把握やアドバイス、成功パターンの情報共有に役立ちます。
行動管理
営業担当者の営業プロセスに応じた行動を管理する機能です。架電数やアポイント数、実際の訪問数、提案した商材数とその受注率などを管理します。このデータをもとにPDCAを回すことで、営業活動の継続的な改善が可能です。
売上予測
条件に応じた売上予測や予実管理を行う機能です。担当者や顧客、製品ごとに売上予測を立てることができます。
スケジュール・タスク管理
各営業担当者のスケジュールやタスクを管理する機能です。計画的な営業活動の実行に効果的で、ツールによってはアラート機能も備わっています。
資料トラッキング
送付した資料が顧客に開封されたタイミングやその閲覧状況をトラッキングし、通知する機能です。閲覧状況から顧客の興味を把握することができます。
データ分析
営業に関するデータを分析し、条件に応じて集計・出力する機能です。顧客管理や案件管理のデータ分析はもちろん、送付した資料のトラッキングにより、顧客の購買意欲を推測することも可能です。
営業ツールでは、これらの機能を活用して案件ごとに受注確度を入力・管理することができます。確度別に情報を表示したり、営業メンバーと情報を共有したりすることができるため、担当者は受注確度に応じた最適なアプローチを実施しやすくなります。営業ツールを用いることで、確度管理がより正確で効率的になります。
まとめ
受注確度は、営業のアプローチの仕方やタイミングを判断するための有効な指標です。顧客ごとの確度をしっかりと管理しておくことで、営業活動において「何をいつすべきか」が明確になります。
正確に受注確度を管理するためには、営業ツールの活用をおすすめします。営業ツールを利用することで、顧客ごとの確度管理が正確かつ容易になり、情報の組織内共有もスムーズに行えます。中には、顧客の興味や連絡のタイミングを通知してくれるツールもあり、これを活用することで営業活動がさらに効率的かつ効果的になります。営業管理の正確性を高め、管理者の負担を軽減するために、営業支援ツールの導入を検討してみてください。