BIは現在における有効な経営手段の一種であり、多くの企業に取り入れられています。また、専用のBIツールも多数リリースされており、企業の判断をサポートしています。
とはいえ、BIとは何なのか、BIツールとはどんなものなのか疑問に思っている方もいるでしょう。
そこで今回は、BIおよびBIツールの概要や機能、選び方についてご紹介します。
BIツールとは
まずは、BIツールとはどのようなツールなのかご説明しましょう。
- BIとは
- ビジネスインテリジェンス(Business Intelligence)。経営の意思決定や判断にデータを活用する手法のこと。
代表例として、データマイニング(※1)やデータビジュアライゼーション(※2)等が挙げられる。 - BIツールとは
- ビジネスインテリジェンスに役立つツールのこと。データの収集や分析を行い、経営の意思決定に役立つデータを提供・管理する。
BIツールは、各企業の既存データと連携し、そのデータを分析・収集して、見やすくわかりやすいレポートへとアウトプットします。そして企業は、そのデータに基づいた意思決定を行います。
主観に踊らされず、客観的な判断を行うためには、データの活用が欠かせません。データによる数字を読み取れば、市場のニーズや自社の問題点等を正確に把握できます。
そのため、膨大なデータの収集・管理を行うBIツールは有効な経営手段として欠かせないものになっており、多様なツールが各社からリリースされています。
※1データマイニング
膨大なデータを分析して有益な情報を見出し、マーケティングに役立てる手法
※2データビジュアライゼーション
データの可視化
BIツールの主な機能
BIツールに搭載されている機能は、主に以下の5種に分けられます。
- ①データ収集機能
- 分析するデータを収集する機能。複数のシステムや多様な形式で存在しているデータを抽出する。
- ②OLAP分析機能
- 蓄積されたデータベースからデータの関連性を分析し、問題点や対策を見つけ出す機能。問題の解消に役立つ。OLAPとは、Online Analytical Processing(オンライン分析処理)のこと。
ex.前年との売上比較、来月の売上予想 - ③データマイニング機能
- データを統計的に分析して一定の法則を見つけ出す機能。マーケティングに役立つ。
ex.来期商品を購入する見込みがある顧客やその傾向 - ④シミュレーション・プランニング機能
- 過去のデータを元に、適切なシミュレーションやプランニングを導き出す機能。
- ⑤レポート・ダッシュボード機能
- 収集・分析したデータをグラフや表などでレポート化したり、分析結果を一覧にしたりと、情報を視覚化する機能。
OLAP機能とデータマイニング機能は混同されやすいですが、OLAPはデータを多角的に分析し、データマイニングはデータを統計的に分析するという違いがあります。
BIツールを導入するメリット、効果
ご紹介したように、BIツールにはデータを活用するための機能が搭載されています。
このツールを導入すれば、以下のようなメリットや効果が期待できます。
1 効率的で正確なデータ収集が可能
BIツールは、さまざまな形で保存されているあらゆる既存データを収集・分析します。作業はコンピュータが行うためスピードが速く、正確で信頼できるデータが得られます。
もし、このデータ収集・分析を人間の手で行なった場合はどうでしょうか。作業には時間がかかり、ミスや抜けが発生する可能性も高く、レポーティングされたデータは正確性に欠けます。不正確なデータは判断要素として相応しくありません。
BIツールの導入は、このような問題を解決し、効率的で正確なデータ活用に役立ちます。
さらに、あらゆるデータを多角的・統計的に関連付けて考えることができる点も、BIツールならではでしょう。
2 誰でも利用できる
BIツール導入のメリットは、誰でも必要な時に必要なデータを利用できる点にもあります。
人の手によるデータ分析には、通常、専門知識やノウハウが必要です。しかし、BIツールを導入すれば、全ての分析はツールが行うため、専門知識やノウハウのない人であっても、必要なデータを簡単に手に入れることができます。
BIツールによって、多角的に分析された正確なデータを誰でも利用できる環境が整えば、より多くの場面で有効なデータ活用が行われるようになるでしょう。
3 属人化防止
データ集計業務は複雑であり、人の手で行う場合には、慣習やそれぞれの独自のやり方に影響されやすい傾向にあります。そのため、データ集計業務は属人化しやすく、担当者でなければ作業ができなかったり、担当者がいなければ詳細が分からなかったりするケースが多く見られました。この状態では、データ活用は快適に行えません。
しかし、データ集計および分析をBIツールに任せれば、作業は全てツールが行うため、業務の属人化を防げます。すると、データ活用がしやすくなるとともに、担当者の負担削減も叶います。
さらには、集計業務の効率化、正確化や業務削減も期待できます。
BIツールの選び方
データ活用が重視される現在では、BIツールも多様化しており、多くのツールがリリースされています。そこでここからは、多様化しているBIツールの選び方についてご説明しましょう。
1 目的・課題に合った機能は搭載されているか
BIツールは、ツールによって搭載されている機能が異なります。そのため、BIツール選定時には、まず「誰がどんな時に何のために何を分析したいのか」「どんな問題点を解決したいのか」という目的や課題を明確にし、各ツールの搭載機能についても把握するようにしましょう。その後、目的、課題とマッチするBIツールを選定していきます。
2 データの連携は可能か
BIツール選定時には、既存データとの連携可否についても確認しておきましょう。導入してからツールとデータを連携できなかったとなると、ツールは活用できず、導入コストが無駄になってしまいます。
自社の既存データがどのシステムにどのような形で保存されているのかまず確認し、それらがツールと連携しているか調べた上で、導入するBIツールを決定してください。
3 コストとの折り合い
BIツールの導入・運営にかかるコストには、ツールによって差があります。BIツールの多くは、月・年ごとの利用料金制となっているため、導入時だけではなく、継続的な費用負担が必要になります。よって、長期的に見た希望コストとのマッチングは必須です。
BIツール選定時には、コスト面にも注目するようにしましょう。
4 使いやすさに問題はないか
BIツールを導入後より多くの従業員に活用してもらうには、ツールの使いやすさが重要です。操作性に優れていなければ、導入したBIツールが活用されなくなってしまう恐れがあるためです。
選定時には各BIツールの特徴や使い方をよく調査し、トライアルが可能な場合は活用して、自社にとって使い勝手の良いツールを選定しましょう。
5 サポートの充実・トライアルの可否
サポート制度やトライアル可否に着目するのも、BIツールの選定方法のひとつです。サポート制度が充実したツールであれば、導入後の不具合にも対応してもらえ、従業員は安心してツールを利用できます。
また、トライアルが可能なツールであれば、目的とのマッチングや使い勝手を実際に試しながら、本当に自社に合ったツールを選ぶことができます。
まとめ
BIツールは、経営戦略を練ったり、課題の解消を図ったりといった経営に関する意思決定や判断に際して、正確なデータでサポートを行います。BIツールによる自社の状況や市場ニーズの正確な反映は、企業経営の鍵となるでしょう。
ただし、BIツールを有効に活用するには、ツールの選び方が重要です。それぞれのBIツールの特徴を把握し、自社に合ったものを導入するようにしましょう。