自分で作成した動画に翻訳サービスを利用することで、より多くの言語で視聴してもらえるようになります。現在、グローバル化が進んでいるため、趣味の動画はもちろん、企業内で作成したマニュアル動画や商品の紹介動画などでも、翻訳機能が求められる機会が増えています。
この記事では、動画を翻訳するための方法や翻訳サービスについてまとめました。動画の多言語化を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
動画翻訳の種類
動画の翻訳には「字幕翻訳」と「音声翻訳」の2種類があります。それぞれの翻訳方法の特徴を説明します。メリットとデメリットを比較して、適切な翻訳方法を選びましょう。
字幕翻訳
字幕翻訳は、最も一般的に利用されている翻訳方法で、翻訳された文章が動画内に表示されます。また、音声内容がテキスト化されるため、SEO対策としても効果的です。ただし、デメリットもあります。日本語を他の言語に翻訳すると、文章が長くなりすぎることが多い点です。
長すぎる字幕は視聴者にとって読みづらく、理解が追いつかないまま動画が進行してしまう恐れがあります。そのため、元の日本語の言い回しを調整したり、翻訳内容を適切に短縮する工夫が必要です。
音声翻訳
音声翻訳は、いわゆる「吹き替え版」として知られ、映画などでよく用いられる方法です。翻訳された文章をもとに音声を吹き替える作業が必要なため、字幕翻訳よりも手間がかかることが多いです。映像と吹き替え音声がずれると、動画のクオリティが低下する可能性があるため、より高い技術と注意が求められます。
主な動画翻訳サービス
ここからは、特に多くの方が利用している動画翻訳サービスを紹介します。それぞれのサービスに特徴があるため、自分に最適なサービスを選んで導入してください。
1. YouTubeの翻訳機能
動画配信サービス大手であるYouTubeには、無料で使用可能な自動翻訳機能が搭載されています。YouTube Studioというツールを使って、自分のチャンネルの動画に翻訳を追加できます。方法は簡単で、YouTube Studioからアップロード済みの動画を選択し、希望する言語を選ぶだけです。
翻訳方法には自動翻訳と手動入力の2つがあり、動画の長さや内容に応じて選択すると良いでしょう。YouTubeで動画配信を行っている方にとっては、最も手軽に字幕翻訳を追加できる手段ですが、自動翻訳の精度が低い場合があるため、完成した翻訳の修正や確認が必要です。
なお、YouTubeの自動翻訳が対応しているのは字幕翻訳のみです。
2. 動画翻訳アプリ・ソフト
自動翻訳アプリやソフトには、無料のものから有料のものまで多くの種類が提供されています。翻訳の精度や機能はサービスによって異なるため、どれが最適か一概には言えませんが、有料サービスには以下のような機能が備わっている場合があります。
- テキストから字幕翻訳や音声翻訳を作成する
- 音声を自動で認識し、字幕翻訳や音声翻訳を作成する
有料サービスの場合、基本的に無料の試用期間が設けられていることが多いので、その期間を利用していくつかの翻訳アプリ・ソフトを比較してみると良いでしょう。
1. Google翻訳
無料で利用できるGoogle翻訳では、単語、フレーズ、ウェブページを英語から100以上の他言語にすぐに翻訳できます。また、音声の読み上げ機能やスマートフォン専用のアプリも用意されています。
2. DeepL
DeepL翻訳は、ドイツのDeepL GmbH社が開発したニューラル機械翻訳サービスです。Google翻訳よりも精度が高く、微妙なニュアンスを持つ表現の翻訳が得意で、高い評価を受けています。無料でデスクトップアプリが利用できる点も特徴です。
3. 翻訳会社
翻訳会社に動画の翻訳を依頼すると、非常に精度の高い翻訳が得られるため、自分で行う作業が最小限に抑えられます。自動翻訳とは異なり、日本語の細かいニュアンスまで汲み取った翻訳が可能です。ただし、その分費用が高く、発注から納品までの時間も長くかかります。
また、動画翻訳に必要な全ての作業を翻訳会社に依頼することは難しく、受け取った翻訳を元に字幕の入力や吹き替え作業を別途行う必要があります。
動画翻訳サービスの選び方
これまで紹介してきたように、動画翻訳サービスにはアプリやソフトを含め、多くの種類があります。ここでは、自分に適したサービスを選ぶために知っておくべきポイントを紹介します。
1. 翻訳に用意する予算と期間を決める
翻訳サービスは種類によって費用が大きく異なります。例えば、YouTubeの自動翻訳機能を使用すれば、無料で翻訳が可能であり、動画の長さによっては数分で作業が完了することもあります。しかし、翻訳会社に依頼する場合は費用がかかります。具体的には、日本語から他言語への翻訳のみで10分あたり10,000円以上、他言語から日本語への翻訳やマイナーな言語への翻訳には追加料金が発生することが一般的です。
また、発注から校正、納品までの各段階を経るため、翻訳を受け取るまでには一定の期間がかかります。動画の翻訳に使用する予算と期間を考慮したうえで、適切なサービスを選びましょう。
2. 翻訳を希望する言語が対応しているか
世界にはさまざまな言語が存在しますが、すべての言語に対応している翻訳サービスはほとんどありません。英語や中国語など主要な言語以外への翻訳を希望する場合は、その言語に対応しているサービスを見つける必要があります。
また、翻訳会社に依頼する場合、会社ごとに得意な言語が異なることがあります。口コミや実績を確認し、翻訳を希望する言語を得意とする会社を選ぶことが重要です。
3. 翻訳の精度
翻訳の精度はサービスによって異なります。他言語から日本語への翻訳であれば、違和感や誤りに気づくことができるかもしれませんが、翻訳後の言語に不慣れな場合、翻訳の精度を確認するのは難しくなります。単語の翻訳だけであれば簡単ですが、文章全体となると、細かなニュアンスが重要になります。不適切な翻訳では、動画のメッセージが正確に伝わらず、場合によっては視聴者に不快感を与えることもあります。
英語については義務教育で学んだ知識があるかもしれませんが、それでもニュアンスを完全に理解するのは難しいものです。他の言語ではさらに精度確認が難しくなります。翻訳会社に依頼する場合はあまり心配はありませんが、自分で翻訳の精度を確認する際には、複数の翻訳サービスを利用して内容を比較するなどの工夫が必要です。
4. 動画の専門性が高いかどうか
動画の内容が専門的な知識を含む場合、翻訳はさらに難しくなります。例えば、医学、金融、法律などの分野では、専門用語が多く使用されるため、専門分野外の人には難しいものです。専門性の高い動画に関しては、無料のYouTube自動翻訳や一般的な翻訳サービスでは十分な翻訳が期待できないかもしれません。
翻訳会社に依頼する場合も、依頼先が専門分野での実績を持っているかどうかを確認することが重要です。
まとめ
動画翻訳サービスの種類や選び方を説明いたしました。動画が多言語化出来れば、その用途はより広くなります。最適な翻訳サービスを探し、積極的に動画を他の言語にしてみましょう。翻訳を成功させるだけで、今まで想定していなかった販路や用途が生まれるかもしれません。