どのような業務を行っていても、クレームは避けられないものです。しかし、クレームが発生した際に最も重要なのは、その後の対応です。本記事では、クレーム対応をマニュアル化するために知っておくべきクレームの種類や対応手順をまとめました。
クレーム対応マニュアルを作成する前に、ぜひ参考にしてください。
クレームとは
クレームとは「顧客が企業に対して感じる要求や主張」のことで、多くの場合、怒りや不満が伴います。
クレームと似た言葉に「苦情」がありますが、クレームが正当な理由に基づく顧客からの主張であるのに対し、苦情は不平や不満など感情を主体とした主張とされることがあります。しかし、現在の日本では、クレームと苦情が明確に使い分けられることは少なく、ほとんどの場合、同じ意味で扱われています。
適切なクレーム対応が必要な理由
冒頭でもお伝えした通り、すべての顧客に満足してもらい、クレームが全く発生しないサービスや商品を提供することは難しいです。しかし、だからと言ってクレーム対応を軽視してはいけません。
ここでは、クレーム対応が企業にとって不可欠な理由を説明します。
理由1: 改善が必要な点が分かる
企業が顧客に提供するサービスや商品は、改善を重ねることでより優れたものになります。クレームは、顧客から求められている改善点が要約されたものだと考えられます。
「クレームは宝」という考え方があるように、クレームが発生した後の対応が企業の今後を左右すると言えるでしょう。注意すべき点は、発生したクレームをただ収めるだけでは、その後の成長は期待できないということです。クレームをサービスや商品の改善のための貴重なフィードバックと捉えましょう。
理由2: 担当者が受ける精神的なストレスを緩和する
「クレームは宝」という表現がある一方で、非常に悪質なクレームも存在します。顧客という立場を利用した理不尽な主張や、暴言を含むクレームに対応する担当者が受ける精神的なストレスは計り知れません。
そのため、クレーム対応は企業全体で取り組むべきであり、担当者を孤立させず、サポートする体制が必要です。適切なクレーム対応をマニュアル化し、個人に過度な負担をかけないようにしましょう。
理由3: 二次クレームを防ぐ
適切なクレーム対応ができていない場合、クレーム対応に不満を抱いた顧客が二次クレームを発生させることがあります。クレーム対応では、相手が感情的になりやすいため、対応ミスや対応の遅れには特に注意が必要です。
こうした問題を防ぐために、クレーム対応の初動が非常に重要です。
クレームの種類
クレームは顧客の数だけ存在するわけではなく、種類ごとに大まかに分類することができます。クレームを分類することで、各種類に応じた対応を考えることが容易になります。ここでは、クレームを4つの種類に分けて説明します。
1. 品質不良
これはサービスや商品の品質に問題がある場合のクレームです。たとえば、カラーやサイズの間違い、発送遅延、賞味期限切れなどが該当します。品質不良に関するクレームは特に早急な対応が必要であり、サービスや商品の改善が求められます。
2. 間違った接客
従業員の対応に関するクレームで、言葉遣いや接客態度、対応の誤り、対応の遅れなどが原因となります。顧客の自尊心を傷つけるような行為は、顧客に不満や怒りを引き起こす可能性が高いです。このようなクレームが発生した場合、接客マニュアルの見直しや従業員教育の徹底が必要になるでしょう。
3. 社内ルールを顧客に押し付ける
社内ルールを顧客に一方的に押し付けることで発生するクレームです。たとえば、「発送までには3日かかると社内で決まっている」「社内ルールでは担当者の変更ができない」などが挙げられます。システム上対応が難しい場合もありますが、顧客に柔軟に対応できない理由を説明し、お願いするスタンスを取ることで、相手が受ける印象を大きく改善できます。
4. 顧客の勘違いや不注意
顧客の勘違いや不注意によって発生するクレームもあります。たとえば、入会時に説明された内容を「聞いていなかった」、希望していた商品とは異なるものを購入して「思っていた商品と違った」などのケースです。どちらに非があるかではなく、顧客に勘違いさせてしまった原因を見つけ、改善策を考えることが重要です。
チャネル別のクレームの特徴
顧客がクレームを入れるには、いくつかのチャネルが存在します。それぞれのチャネルには特有の特徴があります。ここでは、チャネル別のクレームの特徴を説明します。
1. 電話
電話は緊急性が高いクレームや複雑な要件に利用されることが多く、年齢層が高い顧客が好む手段でもあります。電話でのクレーム対応では、必ず録音して記録を残すようにしましょう。
2. メール
メールを使用してクレームを訴える顧客は、緊急性よりも正確に問題点を伝えたいと考えている場合が多いです。そのため、状況を改善するために役立つ返信を行うことが重要です。メールで十分な情報が得られない場合は、追加の情報を依頼し、適切な対応を行いましょう。
3. チャット
チャットは手軽にクレームを伝えられる手段であり、特に若年層が利用しやすい方法です。短時間にメッセージのやりとりが繰り返されるため、誤解が生じないように注意が必要です。
4. 対面
直接対面でクレームを伝えに来る顧客は、不満や怒りなどのネガティブな感情を担当者にぶつける傾向があります。このような場合、顧客が感情的になっているため、クレームの本質が見えにくくなっていることも考えられます。
このような状況では、相手の要求や要望を丁寧に聞き取り、最善の提案をわかりやすく伝えることが重要です。
クレーム対応の手順
ここからは、クレーム対応の基本的な手順について説明します。この手順に沿って対応を進めるようにしてください。
手順1: クレームの内容を理解する
顧客が何に不満を感じているのかをしっかりと聞き取り、共感を示して、怒りや感情といったネガティブな感情を和らげます。第一印象が非常に重要であるため、言葉遣いや間の取り方、相槌にも十分な配慮が必要です。対面の場合には、表情や視線にも注意を払いましょう。
手順2: クレームの事実を確認する
顧客から聴取した内容を整理し、クレームの事実を見極めて記録します。事実確認は、次のステップで問題解決策を提示する際に重要な基礎となります。
手順3: 問題の解決策を提示する
顧客が抱えている問題を解決するための案や代替案を提示します。複雑なクレームや対応が困難なクレームの場合、この段階で情報共有ができると良いでしょう。関係者と連携して、最適な解決策を提案します。
手順4: クレームへのフォロー
提示した案によってクレームが解決した場合、お詫びだけでなく、クレームに対する感謝の気持ちも顧客に伝えましょう。適切なクレーム対応を行えば、顧客が企業から離れる可能性を低くすることができます。
手順5: クレームを改善につなげる
顧客から受けたクレームをサービスや商品の改善につなげます。情報共有の方法は企業によって異なりますが、スムーズに情報を浸透させるために、情報共有ツールなどを活用するのが効果的です。
クレーム対応のポイント
クレーム対応では、不満や怒りを感じている顧客を納得させる対応が求められます。そのため、顧客を否定したり疑ったりせず、まずは顧客の主張に共感することが重要です。
会社に非がないクレームであっても、「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」などと部分的な謝罪をして、相手の気持ちに寄り添いましょう。また、ただ相手の話を聞くだけでなく、共感を示しながらクレームの本質を見極める能力も必要です。
特に感情的になっている顧客の場合、クレームの要点が見えにくくなることが多いですが、相手の話をしっかり聞きながら、顧客の要求が何であるかを把握するように努めてください。
クレーム対応時は、普段以上に丁寧な言葉遣いを心掛け、落ち着いた口調で相手の感情を和らげるようにしましょう。
まとめ
この記事では、クレームの種類や対応手順について説明しました。適切なマニュアルを活用すれば、さまざまなクレームに対して最適な対応ができ、担当者ごとの負担も軽減されます。この記事を参考に、優れたクレーム対応マニュアルを作成してください。
また、マニュアル作成には、マニュアル作成に特化したツールの利用が便利です。マニュアル作成ツールでは、便利なテンプレートが用意されており、更新や共有も簡単に行えます。マニュアルを整備する際は、マニュアル作成ツールの導入も検討すると良いでしょう。
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