社内での情報共有に便利なネットワークとして、多くの企業では社内イントラネットを構築しています。社内イントラネットは、「紙ベースの社内報をデジタル化する」「情報をリアルタイムで発信する」など、さまざまな目的に活用されており、情報共有をより安全で迅速、かつ便利なものへと進化させています。
では、社内イントラネットとは具体的にどのようなものなのか、そしてどのようなメリットを持つのでしょうか。
今回は、社内イントラネットについて詳しくご紹介します。
社内イントラネットとは
イントラネットの意味
「イントラネット」の「イントラ」とは、「〜内の」「〜中の」という意味を持つ言葉です。つまり、社内イントラネットとは「会社における内部ネットワーク」を指します。
インターネットとの違い
私たちが日々活用しているインターネットは、世界共通の通信仕様を用いることで、あらゆる通信機器から接続できる巨大なネットワークです。一方、社内イントラネットは、会社内のユーザーだけが接続できるネットワークです。接続範囲が限定されているため、社内だけで安全に情報共有ができる仕組みになっています。
エクストラネットとの違い
また、イントラネットの中には企業の枠を超え、複数の企業から接続できるものもあります。これはエクストラネットと呼ばれます。
用語の変化
近年では「社内イントラネット」という言葉を耳にする機会が減少しています。代わりに、社内イントラネットの各機能を指して、「社内ポータルサイト」「グループウェア」「社内Wiki」などと呼ぶケースが増えています。
社内イントラネットの仕組み
通信プロトコルを利用した構築
社内イントラネットは、インターネットと同じように通信プロトコル(※)を用いてネットワークを構築します。社内限定のネットワークであるため、通常のインターネットのようにあらゆる情報を得ることはできませんが、その分、安全な情報共有が可能です。
つまり、社内イントラネットは、インターネットの仕組みを基に、限定された範囲で構築されたネットワークだと言えるでしょう。
※通信プロトコル
コンピューター間で、データをやりとりするために定められた手順・規約。(デジタル大辞泉より)
社内イントラネットの昔と今
社内イントラネットの変遷
「社内イントラネット」や「社内イントラ」という言葉は、一昔前にはよく聞かれましたが、現在ではあまり使われていません。その背景には、ニーズやサービスの変容があります。
社内イントラネットは、情報共有やデータ保管など、多様な機能をまとめたビジネス手段として、重要な役割を果たしてきました。しかし、社内イントラネットによって行われていた各機能は、次第にイントラネットの枠から分化し、各機能が独立したサービスやツールとして利用されるようになりました。
新たなツールと呼称
こうして生まれたのが、「社内ポータルサイト」「グループウェア」「社内Wiki」「社内SNS」などと呼ばれるツールです。各機能が独立したことに加え、クラウドサービスが普及したことで、「社内イントラネット」という言葉はあまり使われなくなり、「社内ポータルサイト」や「グループウェア」などが主流となっています。
現在の状況
現在、企業の多くは、「社内イントラネット」という呼称を使用せず、各機能に特化したツールやクラウドサービスを通じて情報共有やデータ保管を行っています。これらのツールやサービスを統合したプラットフォームは「デジタルワークプレイス」と呼ばれ、かつての社内イントラネットと同様の役割を果たしています。
社内イントラネットのメリット
近年、ツールの分化が進み「イントラネット」と呼ばれることが減っているものの、社内イントラネットには多くのメリットがあります。ここでは、主なメリットを6つご紹介します。
メリット1:情報共有が迅速に行える
社内イントラネットを利用すれば、情報を迅速に社員全員に伝えることができ、共有がスムーズに行えます。共有したい情報や各社員に確認してもらいたい書類も、イントラネット上で発信することで、その後の対応が簡単になります。紙の書類による情報発信のように回覧や回収をする必要がなく、更新も容易です。
また、緊急性の高い情報も社内イントラネットを通じて迅速に発信でき、紙の書類を印刷して回覧する手間が省けます。
メリット2:組織のビジョンを浸透させられる
社内イントラネットを活用することで、組織のビジョンを容易に発信できます。日常的に組織のビジョンに触れることで、社員にそのビジョンが浸透しやすくなります。会社の目指す方向性を社員が理解すれば、同じ方向を向いて活動を進めることができ、モチベーションやエンゲージメントの向上にもつながります。
メリット3:相互コミュニケーションが可能に
社内イントラネットには、チャットやコメント、リアクションなどのコミュニケーション機能が搭載されています。これにより、情報発信が一方通行にならず、相手の反応を知ることができ、相互コミュニケーションが可能になります。上司や部下とのコミュニケーションが円滑になり、情報共有や人間関係の構築がスムーズになります。
近年では、SNSのようなソーシャル機能を搭載するイントラネットサービスも増え、柔軟なコミュニケーションが可能になっています。
メリット4:部署の垣根を超えたコミュニケーションができる
社内イントラネットを活用することで、部署や事業所を超えたコミュニケーションが実現します。イントラネット上のコンテンツは、社内の異なる部署や離れた事業所の社員でも閲覧でき、情報やファイルを全社的に共有することができます。
この機能をうまく活用することで、離れた事業所と共同でプロジェクトを進めたり、各事業所の優れた取り組みを参考にすることができます。コミュニケーション機能やソーシャル機能も活用することで、部署や事業所の垣根を超えた情報共有と意思疎通が可能になります。
メリット5:コストと手間の削減ができる
紙ベースでの情報共有に比べて、社内イントラネットを活用した情報共有は、コストと手間を大幅に削減できます。用紙代やコピー代などの印刷費は、書類の枚数が増えると膨大な額になりますが、イントラネットを使用すればこれらのコストを抑えることができます。
また、紙の書類は保管にもコストと手間がかかりますが、データでの管理により、探し出す手間も減少します。デジタル化された情報共有により、発信や保管にかかるコストと手間を削減できます。
メリット6:業務効率化・生産性向上
社内イントラネットでは、あらゆるデータを一元管理できます。各担当者にデータを送信する手間が省け、複数の人が同時にデータを確認・編集できるため、作業が効率的に進められます。
また、データのやり取りや検索の手間が不要になることで、生産性が向上し、社員はストレスなくスムーズに業務をこなせるようになります。
まとめ
社内イントラネットには、情報共有をより便利に、そして活発にするというメリットがあり、多くの企業で活用されてきました。現在では、ツールやクラウドサービスを利用した情報共有やデータ管理が主流となり、「イントラネット」という言葉を耳にする機会は減少しましたが、社内での「情報共有を可能にする機能」の重要性は依然として変わりません。
ご紹介した社内イントラネットサービスをはじめ、情報共有のためのツールやサービスの導入は、多くの企業で進んでいます。スムーズな情報共有を通じて企業の競争力を向上させるためにも、これらのツールやサービスの導入は大いに役立つでしょう。