既存顧客にずっと愛されるサービスを続ける努力も必要ですが、企業は既存顧客への営業と同時に新規顧客の開拓も行わなければいけません。既存顧客は残念ながら絶対に離れていかないというわけではありませんので、新しい顧客が増えなければ、売上は維持できません。
今回の記事では新規顧客開拓のアプローチ方法と、そのプロセス・ポイントについてわかりやすく解説します。新規顧客開拓が上手く進まないと考えているのなら、ぜひ参考にしてください。
新規顧客開拓が重要な理由
技術が向上して類似商品が簡単に生み出せる今では、企業がどんなに努力をしても既存顧客が別の企業に流れてしまうリスクが存在します。現段階で十分な顧客数を確保しているとしても、より手頃な価格で良い品質の類似品を提供する企業が現れれば、すぐに既存顧客を失ってしまうでしょう。
そのため、企業は常に新規顧客の開拓に力を注ぎ、成長し続ける必要があるのです。
また、新規顧客開拓は営業人材の育成にも有効です。商品に対して関心の薄い顧客に商品を購入してもらうという成功体験や成功体験に至るまでの失敗経験が、営業力の向上に役立つでしょう。
新規顧客開拓のアプローチ方法
新規顧客を開拓するアプローチ方法は「プッシュ型」「プル型」の2種類に分類されます。それぞれのアプローチ方法の特徴は次の通りです。
プッシュ型
プッシュ型の新規顧客開拓とは、アウトバウンド型とも呼ばれる企業自ら顧客にアプローチをする営業手法を指しています。具体的には、テレアポ、ダイレクトメール、飛び込み営業などが代表的なプッシュ型だと言えるでしょう。
新規開拓をする顧客を選びやすく、短期間で成果を得られるというメリットがありますが、多くの労力が必要で営業活動が非効率になってしまう可能性も考えられます。突然相手に営業をかけるスタイルなので、顧客から疎まれることが多く、営業マンの負担も大きくなるでしょう。
プル型
プル型の新規顧客開拓は、見込み客に向けて自社商品の情報を発信し、顧客自ら自社にアプローチをしてもらう営業手法を指しており、インバウンド型とも呼ばれます。
代表的なプル型の新規顧客開拓はインターネットを使って情報を発信する方法で、元から商品に興味がある顧客を集められることから、効率良く少ない人員でも営業活動が進められます。
ただし、プッシュ型の新規顧客開拓よりも高度なノウハウが求められ、多くの時間が必要になるというデメリットも存在します。特にコンテンツマーケティングやSEO対策などは特別な知識が必要になるでしょう。
プッシュ型の新規顧客開拓
プッシュ型の新規顧客開拓の例を紹介しましょう。
プッシュ型① ダイレクトメール
代表的なプッシュ型の新規顧客開拓の方法であるダイレクトメールは、電子メールと郵便の2種類が存在します。特に電子メールを使ったダイレクトメールでは、非常に少ないコストと労力で、多くの新規顧客にアプローチが可能です。
また、昔ながらの方法である郵便のダイレクトメールは、実際に送り先にカタログやチラシが届くことから、顧客に手に取ってもらえる可能性が高いというメリットがあります。
プッシュ型② テレアポ
電話を使って見込み客に電話をかけ、商品の魅力を伝え商談の機会を得るという営業手法です。高いトーク力が求められますが、テレアポ業務自体をアウトソーシングで受け付けているサービスも数多く存在します。
テレアポは、特にインターネットを苦手と感じる世代への営業方法として有効です。
プル型の新規顧客開拓
次に、プル型の新規顧客開拓の例を紹介しましょう。
プル型① 自社サイトやブログを運営する
自社サイトやブログを運営し、リスティング広告などを使って顧客を誘導します。自社サイトやブログでは、商品の情報を顧客に伝えるだけでなく、資料請求や問い合わせなどの行動を促すことも出来るでしょう。
ただし、世の中には数えきれないほどのサイトが存在するので、顧客に自社サイトを見つけてもらうためのSEO対策が欠かせません。
プル型② SNSを使って情報を配信する
Facebook・Twitter・Instagram・YouTubeなどのSNSを使って情報を配信しながら、顧客と接点を結んでいきます。本来BtoCビジネスに有効と言われている手法ですが、BtoBビジネスでも見込み客である企業に勤める「個人」に対したアプローチが出来るでしょう。
SNSの活用には、自社アカウントを運用して良質なコンテンツを配信しながらフォロワーを増やしていく方法と、SNS広告を配信する方法の2パターンがあります。SNS広告ではユーザーデータを活用した精度の高いターゲティングが可能なため、ピンポイントで自社商品のターゲットにアピールが出来るのです。
プル型③ プレスリリースを配信する
プレスリリースとは、報道機関に向けて企業の新しい取り組みや新商品などを発表する文書のことを指しています。プレスリリースがSNSやテレビ番組、インターネットメディアで取り上げられれば、高い拡散効果が期待出来ます。
新規顧客開拓を行うプロセス
新規顧客開拓にはプッシュ型とプル型があることをお伝えしました、その代表的なプロセスを説明しましょう。
1 ターゲットを決める
自社商品を必要としている新規顧客は、どのような層の人なのかを絞り込んでいきます。ターゲットが明確になれば、対象を絞ったアプローチが出来るようになるのです。
同時に、そのターゲットに心の響くキャッチコピーやメッセージを考えましょう。それには、ターゲットのニーズを十分理解する必要があります。
2 適切なアプローチ方法を考える
先ほど紹介したプッシュ型・プル型を参考に、自社のターゲットと自社商品に最適なアプローチ方法は何かを考えていきます。若い世代にはインターネットを使ったアプローチが適している場合が多いですが、商品によってオフラインの方が高い効果が得られる可能性もあります。
ターゲットの特性、商品や商品の訴求ポイントによって、適切なアプローチ方法が変わることを理解し、その効果を最大化させる方法を選択してください。
3 見込み客からのヒアリング
実際に新規顧客開拓を開始したら、アプローチした顧客にヒアリングを行い、顧客のニーズの確認をしながら効果測定を実施しましょう。必要であれば取り組みを改善しながら、今後の新規顧客開拓・商品開発に役立ててください。
新規顧客開拓を成功させるポイント
最後に、新規顧客開拓を成功させるために知っておくべきポイントを説明します。
ポイント1 既存顧客を分析する
新規顧客のターゲットを絞る際には、まず既存顧客を分析して顧客がなぜ自社商品を使用しているのかを把握するべきです。企業が思っているものとは別の理由が商品の訴求ポイントである可能性も考えられます。
また、既存顧客が今の商品に求めているアップデートは、新規顧客も同じ考えを持っている場合が多いでしょう。
ポイント2 新規顧客開拓の予算を明確にする
新規顧客開拓のためには一定の予算が必要です。新規顧客開拓は一時的なイベントではないことから、継続して捻出可能な予算を明確にし、予算に見合った計画を立てるべきでしょう。
一般的には、新規顧客開拓には既存顧客に向けた営業よりも多くの費用が必要になります。
ポイント3 ITツールの活用
CRMやSFAなどの営業活動を支援するITツールを活用することも、新規顧客の獲得には重要です。
ITツールを活用することで、顧客情報や商談の進捗状況の管理が便利になり、組織全体での情報共有も可能になります。情報の管理・共有が便利になることで、営業担当が営業活動のコア業務に集中でき、営業活動の効率化に役立ちます。
また、組織全体での情報共有は、営業組織全体の営業力の底上げにも繋がります。商談の成功事例や失敗事例なども共有し、営業組織全体で営業活動の最適化に取り組むことで、営業活動を営業担当個人に属人化させずに済むでしょう。
まとめ
新規顧客開拓のアプローチ方法には、プッシュ型・プル型の2種類が存在し、自社の商品やターゲットの特性、商品の訴求ポイントに合わせて適切なアプローチを考える必要があります。ここで判断を誤ると、期待する成果が得られなくなってしまいます。新規顧客開拓時のポイントを参考に、効果の高いアプローチで新規顧客を獲得出来るようにしてください。
また新規顧客の開拓に注力するのであれば、セールスイネーブルメントツールなどの営業ツールの導入も検討するといいでしょう。獲得できた見込み客の情報の管理や共有がスムーズになり、適切なタイミングでアプローチすることができるようになります。