優れたマニュアルがあれば、社内教育や業務の引き継ぎがスムーズに行えるようになり、社内の業務を効率化することが可能です。社内マニュアルと聞くと、必要事項が記載されていれば十分だと考える方もいるかもしれませんが、実際にはその内容の見え方を左右するレイアウトも重要です。
この記事では、見やすいマニュアルを作成するためのデザインの作り方を紹介します。
マニュアルを見やすくするデザインのポイント
デザインと聞くと、プロが行うものだと感じるかもしれませんが、マニュアルのデザインは決して難しいものではありません。マニュアルに適したデザインはパターン化されており、一度その方法を身につければ、あとは応用するだけです。まずは、基本的な見やすいマニュアルデザインのポイントを押さえておきましょう。
1. マニュアルのレイアウトを整える
読みやすいレイアウトを整えるためには、マニュアル内の余白を意識することが重要です。細かい文字がぎっしりと詰め込まれたマニュアルは、読みにくく、「長すぎる」「難しい」と感じられる可能性があります。文章は、必要な内容を無理に詰め込まず、極力簡潔でシンプルなものにすることが求められます。
文字数を減らせない場合は、ページ数を増やすことも検討しましょう。余白を活用して、エリアごとに項目を分けることで、読みやすくすっきりとしたデザインに仕上がります。また、項目内で説明を完結させ、複数の項目を行き来しなければならないレイアウトは避けるべきです。
2. 読みやすいマニュアルのフォント
基本的に、1つの書類で複数のフォントを使用しない方が良いでしょう。複数のフォントを使用すると、読む人に違和感を与えたり、統一感を欠いたりすることがあります。一般的にマニュアルで使用されるフォントの系統には、明朝体やゴシック体があります。それぞれのフォントが持つ印象は以下の通りです。
- 明朝体: 高級感、伝統、丁寧さ
- ゴシック体: 安心感、モダン、シンプルさ
「ヒラギノ明朝」「ヒラギノゴシック」など、フォントの細分化もありますが、マニュアルの内容に合ったフォントを選ぶと良いでしょう。読みやすさを優先するのも一つの方法です。また、今後も長く使用するマニュアルであれば、文字化けのリスクがある認知度の低いフォントは避けることをお勧めします。
3. マニュアルの文字カラー・太さなどの装飾
マニュアル内には業務上で注意すべき重要な点がいくつもあるかもしれませんが、すべての重要な文章をカラーにしたり太字にしたりするのは避けるべきです。強調された文字が多すぎると、本当に重要な点が分かりにくくなります。また、赤、青、ピンク、太字など多彩な装飾を用いてしまうと、一番アピールしたい点がどれなのかが曖昧になってしまいます。
重要な点を目立たせるのは良いですが、強調する箇所は絞り込み、装飾のパターンも数種類に限定するようにしましょう。
4. 図・表・写真を挿入して視覚的に分かりやすいマニュアルにする
業務フローが複雑な場合や、文章だけでは伝えにくい内容のマニュアルには、積極的に図や表を挿入することをお勧めします。必要であれば写真を活用するのも良いでしょう。複数の画像を1ページに挿入する際は、可能な限り図・表・写真などの大きさを揃えて並べることで、より見やすいマニュアルに仕上げることができます。
文章だけでは伝わりにくい内容でも、図・表・写真を活用することで、簡単に理解できるようになる可能性があることを理解しておきましょう。
マニュアルの表紙・目次を作成する際の注意点
見やすいマニュアルのデザインについて説明しましたが、マニュアルの表紙と目次を作成する際には、特に注意すべき点があります。これからマニュアルをデザインする際は、表紙や目次にも十分気を配りましょう。
1. マニュアル表紙のデザインの注意点
表紙はどのような書類においても、その書類の顔となります。つまり、表紙を手に取っただけで、何のマニュアルであるか、内容がわかる必要があります。マニュアルの表紙は「分かりやすさ」を重視するべきであり、デザインが優れているかどうかよりも、マニュアルの内容を的確に表現しているかが重要です。
そのため、使用する画像や図がない場合、無理にデザインを施そうとせず、文字のみでも問題ありません。また、会社によってはマニュアル表紙のデザインが既に決められている場合もあるため、事前に確認が必要です。
2. マニュアル目次のデザインの注意点
目次はあまり重視されないことが多いですが、実際にはマニュアル全体の骨組みとして非常に重要です。骨組みがしっかりしていない建物が不安定であるのと同じように、マニュアル作成においても本文ではなく、まず目次から作り始めることをお勧めします。
目次の項目は、マニュアル全体の流れがわかり、読みたい項目がどこにあるのかがすぐにわかるよう工夫しましょう。
(修正前の目次例)
- システム初期登録
- 受注業務
- 在庫管理
このような目次では、項目が大まかすぎて、希望の項目をすぐに見つけることが難しくなります。マニュアルを初めて読む人や、業務中に困った時に参照する人の立場に立って、目次の項目を考えましょう。
(修正後の目次例)
- システム初期登録
1.1 IDと初期パスワードを受け取る
1.2 パスワードの変更
1.3 必要事項の入力 - 受注業務
2.1 受注システムの立ち上げ
2.2 受注の登録
2.3 複数の受注を登録する
このように修正された目次であれば、必要な項目がすぐに見つけられるでしょう。マニュアルの目次は、大まかすぎず、細かすぎないバランスを大切にすることが重要です。
デザインにこだわりすぎもNG!
マニュアルは「見やすい・分かりやすい」ものであることが最も重要です。そのため、奇抜なデザインや芸術的なデザインを追求する必要はありません。
マニュアルデザインはフォーマット化して使える
マニュアルに独創性は必要ありません。優れたマニュアルデザインやフォーマットがあるなら、それを積極的に活用しましょう。現在では、インターネット上で無料のマニュアルフォーマットが配布されていることもありますし、自分で一度作成したマニュアルをフォーマット化するのもお勧めです。
一度使いやすく応用しやすいフォーマットを手に入れれば、そのフォーマットを他のマニュアルにも使用することで、マニュアル全体のスタイルが統一されます。フォーマットが統一されているマニュアルは、読む側にも理解しやすいものになるでしょう。
シンプルなデザインこそ伝わりやすい
シンプルなデザインは読みやすく、フォーマット化しやすいデザインと言えます。そのため、マニュアル作成時にはなるべくシンプルなものを意識すると良いでしょう。自分が気に入ったデザインよりも、マニュアルの読みやすさを優先すれば、自然にシンプルな仕上がりになるはずです。
まとめ
マニュアルのデザインを作成する際に知っておくべきポイントや注意事項を紹介しました。一般的に、マニュアルは多くの人が長期間使用し続けるものです。シンプルで読みやすいデザインを考える際には、常に「読む側に立って」客観的な視点でマニュアルを作成するよう心掛けましょう。