提案が採用されるかどうかを左右する提案書は、内容だけでなくデザインにもこだわらなくてはいけません。
オリジナリティ溢れるデザインを考える必要はありませんが、「見やすい」「理解しやすい」と感じられる提案書があれば、提案の内容がより洗練されているように感じてもらえるのです。
デザインと聞くと「特別な知識が必要なのではないか」という印象から、ハードルが高いと感じてしまう方もいます。しかし実際には、ほんの少しの工夫をするだけで、提案書のデザインを良く出来ます。
今回の記事では、パワポで提案書を作る時に知っておくべき簡単なルールをまとめました。パワポの提案書のデザインを向上させたいと考えているのなら、ぜひ参考にしてください。
提案書とは
提案書とはビジネスの場で個人または企業に対し、自分が伝えたいと考えていることをまとめたものを指しています。
提案書を使って、顧客の抱える課題、課題の解決策、自社商品が課題の解決に役立つ事実とともに、導入のための費用やスケジュールを説明するのです。
具体的な提案書の例は下記のとおりです。
・新しい商品やビジネス活動の提案書
・環境問題に対応するための提案書
・顧客管理や顧客の囲い込みのための提案書
・販促活動のための提案書
・新規顧客開拓のための提案書
また、提案書と似た言葉に「企画書」がありますが、企画書はプロジェクトのアイデアを社内の人に伝えるために作られます。提案書と企画書は、作成のタイミングと提案先が違うということです。
提案書が重要な理由
提案書がなくても顧客に提案をすること自体は可能です。しかし、提案書を使った方がより顧客の理解を深められます。
また、提案先が企業の場合は、提案書が社内で共有されて提案の承認に役立ちます。多くの企業では提案を受ける担当者と、最終判断を下す決裁者は別であるため、提案書の役割がより重要になるのです。
提案書のデザインにセンスがないと起こる問題
デザインのセンスのない提案書は、次のような問題を起こします。
問題1 提案内容が理解しにくい
顧客は、ストレスなくより短い時間で内容が理解出来るシンプルな提案書を求めています。
提案を理解するために多くの時間が必要な提案書は、たとえ優れた内容であっても評価されません
デザインが優れた提案書は「読む相手の理解のしやすさ」が考え抜かれているので、顧客にストレスを感じさせません。
デザインと言うと「見た目だけ」の印象を持たれる方もいますが、デザインは読みやすさに直結すると考えるべきです。
問題2 記憶に残る提案が出来る
人間は多くの情報を視覚から得ているために、耳から聞いた情報よりも優れたデザインの提案書から受けた印象の方が強く記憶に残ります。
提案書そのものの印象が強ければ、他社の提案との差別化が出来るのです。
優れたデザインの提案書を作ることが出来れば、似たような提案が続いた場合でも、自社の提案を選んでもらえる可能性が高くなります。
パワポでセンスのある提案書に変える簡単ルール
パワポでセンスのある提案書を作る時には、次のルールを守ってください。どのルールも簡単なものばかりですが、これらの点を意識するだけで、提案書の印象が大きく変わります。
現段階でデザインの改善が必要だと感じている提案書があるのなら、その提案書のデザインがルールを守れているのか確認してみてください。
ルール1 1つのスライドには1つのメッセージを入れる
パワポで作成するデザインは、スライドショーを使って提案を行う場合が多いため、1つのスライドには1つのメッセージを書くようにします。
たくさんの情報を1つのスライドに詰め込んでしまうと、何が言いたいのか伝わらず、重要なポイントが分からないと思われてしまいます。
また、スライドショーでの提案を広い会場で行う場合には、あまりにも文字が小さいと、後ろの席の方が見えにくくなります。作成する提案書を広い会場で複数人の方に見てもらう場合には、文字の大きさにも注意が必要です。
具体例を画像で説明しましょう。
こちらの画像には、1つのスライドに多くの情報が盛り込まれており、読みにくさを感じます。
1スライドに記載するテーマを1つに絞り、文章もより簡潔なものに変更しました。
1つのスライドに含める情報を限定することで、すっきりと内容が理解しやすい仕上がりになっています。
ルール2 文章や図形はきちんと整列させる
こちらの画像のようなデザインは、ごちゃごちゃとして見えにくいだけでなく、見る人に「適当に並べた」印象を持たれてしまいます。
提案に対する意識が低いと感じられてしまうと、提案が採用される可能性は低くなるのです。
下の画像のように、オブジェクトを整列させるだけで、すっきりと見やすいデザインに変わります。
2枚の画像の印象は、大きく変化しています。
ルール3 色を使い過ぎない
重要な点を強調するためにカラーを使うのは間違っていませんが、何色ものカラーを使い過ぎてしまうと、何が重要な点なのが分かりにくくなるだけでなく、統一感が感じられずにごちゃごちゃとした印象になります。
下の画像のようなデザインでは統一感も感じられず、ただ色を増やしたようにしか感じられません。
提案書に使うカラーは、白のベースカラー、企業や提案商品のテーマカラーであるメインカラー、重要なポイントを強調するためのアクセントカラーの3色程度に抑えてください。
アクセントカラーは、テーマカラーとのバランスを見ながら決めると統一感のあるデザインに仕上がります。
また、文字色はブラックよりも少しだけグレーが入ったものを使えば、見る人の目に優しい提案書に仕上がります。
ルール4 フォントは1種類で統一する
特別な理由がない限りは、提案書に使用するフォントは1種類に絞ります。複数のフォントが混在していると、下の画像のように、文字が読みにくくなってしまうのです。
提案書で使用されるフォントは読みやすさを優先するべきであるため、多くの場合はメイリオや游ゴシックが選ばれます。
ルール5 パーツごとにフォントサイズを統一する
フォントサイズを全て統一する必要はありません。
フォントサイズはそのスライドの文字量に合わせて変更すれば良いですが、パーツごとに統一させるべきです。
なぜなら、フォントサイズが合っているだけで、すっきりしたデザインに見えるのです。
この画像は先ほど使用した画像の文字サイズのみをバラバラにしたものですが、まとまりのない印象になっています。
テンプレートの活用も一手
「提案書のデザインを考えている時間がない」「デザインを考えるのが苦手だ」という方は、テンプレートを活用することをおすすめします。
パワポは多くビジネスパーソンに利用されていることから、いくつもの無料テンプレートが流通しているのです。
「パワポ 提案書 テンプレート」のようなキーワードで検索をすると、多くの優れたデザインのテンプレートが見つかります。
下記のサイトでは、非常に多くのパワポのテンプレートが配布されているため、参考にしてください。
https://ja.smiletemplates.com/free/powerpoint-templates/0.html
もちろん自分でデザインを作成した方が自由度は高いので、これらのサイトで見つけたデザインを参考にして自分で提案書のデザインを考えるという手段もあります。
また、ダウンロードしたデータにアレンジを加えて、自分が使いやすいテンプレートを作ることも出来ます。
まとめ
優れたデザインの提案書は、見る人に「理解されやすい」「伝わりやすい」「印象に残る」というメリットがあります。内容の同じ提案でも、デザインの違いによって提案の採用が左右される場合もあるのです。
この記事で紹介したパワポの提案書を作る時に守るべきルールは、誰もがすぐに取り組める簡単なものばかりです。ルールを守った提案書を作成してみると、デザインの違いによるメリットを感じられるはずです。
作成した提案書は、顧客にファイルを共有することも多いと思いますが、そんな時に便利な営業ツールも存在しています。URLを送るだけで簡単に資料の共有ができるだけでなく、資料の管理も行え、独自の資料サイトも作成することが出来ます。
提案書を顧客に共有する機会が多いのであれば、メールで送付するのではなく、便利なツールを活用することも検討してみるといいでしょう。