ワークフローとは、業務の流れを指す言葉で、業務フローと呼ばれることもあります。ワークフローが非効率な場合、業務全体の効率が下がってしまいます。特に日本では、昔ながらの承認ルートがそのまま採用されている企業が多く、現在の働き方に合わない「承認が進まない」「業務が滞る」といった状態に陥っている可能性があります。
今回の記事では、ワークフローの承認ルートがなぜ重要なのか、そして承認ルートのタイプについて説明します。
ワークフローの承認ルートとは
ワークフローの承認ルートとは、申請された内容が承認を経て決裁されるまでの道筋を指します。ワークフローを作成する際には、承認ルートを設定する必要があり、状況に応じた定期的な見直しが欠かせません。そのため、企業には独自の承認ルートが存在しています。
また、申請内容によって必要な承認者や承認者数が異なり、重要度の高い申請ほど多くの承認者が必要な、複雑な承認ルートを辿ることになります。
適切な承認ルートを設定することで、関係部署に情報が行き渡らないまま決裁が下りてしまう、あるいはプロジェクトが進んでしまうといった問題を防ぐことができます。
ワークフローの作成に承認ルートが重要な理由
ワークフローを作成する際、または見直す際に承認ルートが重要である理由には、次のようなものがあります。承認ルートの重要性を理解し、自社のワークフローに問題がないかを考えてみましょう。
理由1: スムーズにワークフローを進める
ワークフローが定められていても、承認ルートが明確でなければ決裁が進まず、業務が滞ってしまいます。承認者が一人であれば承認ルートの設定は不要かもしれませんが、重要度の高い事柄や複数の部署に関係する申請には、複数の承認者を設定する必要があります。
順序良く承認を進めるためには、適切な承認ルートが必要です。
理由2: ミスや不正を予防する
承認ルートが用意されていない状態では、ワークフローの中でミスや不正が発生していることに気づけません。チェックすべき事項を確認するべき人が見逃すと、許可できない内容の稟議を承認してしまうリスクがあります。単なる記載ミスであればまだしも、悪意のある不正を見抜けなければ大問題です。
また、必要な承認が得られないまま決裁が下りることも、重大な問題です。
理由3: 代理承認者の設定で稟議が滞らない
複数の承認者が設定されている場合、承認者の一人が出張などで不在になると、長期間稟議が進まないことがあります。その結果、決裁が下りずにビジネスチャンスを逃してしまう可能性があります。
承認ルートに代理の承認者を設定しておけば、承認者が不在でも問題なく稟議が進みます。
特に、申請内容に適した承認ルートが設定できれば、ワークフロー全体を効率良く進めることが可能になります。
承認ルートのタイプ
承認ルートには、直線型、並列型、条件分岐型の3種類があります。ここでは、それぞれの承認ルートの特徴や違いを分かりやすくまとめました。申請内容に合わせて、適切な承認ルートを設定する際に参考にしてください。
直線型
直線型は基本の承認ルートであり、その名の通り一直線で決裁を進めていきます。申請内容で承認者が変動しない場合には、この直線型ルートを導入すればシンプルな承認ルートが作れます。
一般的には、申請者の上司が承認者1、その上層部の上司が承認者2というように、承認が進むごとに承認者の階級が高くなります。
【担当者の例】
- 申請者:一般社員
- 承認者1:課長
- 承認者2:部長
- 決裁者:社長
この直線型の承認ルートは、並列型や条件分岐型の承認ルートを作る際の基本となります。
並列型
並列型は、複数の部署に関係する事柄の決裁を進めるために複数の承認ルートを辿る必要がある場合に用います。最初に直線型の承認ルートを作成し、その上で複数の承認ルートに分割していきます。
並列型の承認ルートでは、次の3種類の承認方法があります。
- AND承認: 全ての承認者の承認が必要。一般的な承認方法。
- OR承認: いずれかの承認者の承認のみで決裁が進む。急ぎの決裁に有効。
- 多数決承認: 指定された人数以上の承認を得られた場合に稟議を進める。
条件分岐型
条件分岐型の承認ルートは、金額や申請内容によって承認ルートが変わる場合に活用します。あらかじめ設定した条件に基づいて承認ルートを分岐させます。
例えば、「10万円未満の物品購入の最終決裁者は部長」「10万円以上の物品購入の最終決裁者は社長」などの条件分岐が考えられます。条件分岐型の承認フローを社員に把握してもらうことが重要です。
ワークフローの作成はワークフローシステムで効率化
紙ベースの申請や承認を電子化すれば、テレワーク時でも稟議を効率良く進めることが可能です。その際に有効なのが、ワークフローシステムです。ワークフローシステムを導入すれば、申請内容を自動的に判別し、適切な承認ルートを選択できます。
パソコンやスマホ、タブレット端末でも利用可能なシステムを選ぶことで、働く場所に縛られずに稟議の申請・承認が可能になります。決裁の状況も可視化できるため、迅速な対応も行えます。
まとめ
ワークフローには承認ルートの設定が欠かせません。直線型、並列型、条件分岐型の3種類の承認ルートがあり、自社に適した承認ルートを設定する必要があります。現在の承認ルートに問題点がないか点検し、適切な承認ルートが設定されているか確認してください。
同時に、ワークフローシステムの導入も検討してみましょう。現在、多くの業務を効率よく進めるためのツールが存在しており、他の業務も含めて効率化を目指すことが重要です。