商談は営業担当者のコア業務であり、顧客に自社の商品やサービスの魅力と購入のメリットを伝えるために欠かせないものです。商談の場では、顧客が抱える課題を明確にし、その課題を解決できる提案として自社商品の購入を促します。
しかし、顧客の課題を正確に把握できていなかったり、商品購入のメリットが十分に伝わらないといった理由で、商談がうまく進まないこともあるでしょう。
この記事では、商談をより質の高いものにするための営業ステップと、商談を成功させるコツを紹介します。営業の成果が思うように得られていないと感じている方は、ぜひ参考にしてください。
商談を成功させる営業の5ステップ
商談を成功させるためには、以下の5つのステップを順序よく進めることが重要です。それぞれのステップを理解し、効果的な営業活動を行いましょう。
STEP 1: 事前準備
顧客の抱えている課題を把握することが営業活動の事前準備にあたります。顧客に直接ヒアリングしなければ正確な情報は得られませんが、同じ業界の顧客が抱えがちな課題を参考に、顧客の悩みを予測してください。
顧客の課題がわからなければ的外れな提案をしてしまう恐れがあり、今後の営業活動に悪影響を及ぼします。顧客の課題を正確に把握できてこそ、その課題を解決する提案が可能になります。思い込みで一つの課題に絞らず、複数の課題を予測しておくと良いでしょう。
STEP 2: アプローチ
事前準備がしっかりできていれば、顧客に対して最適なアプローチ方法が見えてきます。商談の場で顧客の課題に触れることで、顧客からの信頼を得やすくなり、「自社の事情をよく理解している営業担当」と感じてもらえるでしょう。
このアプローチ段階で顧客との距離を縮められれば、次のステップであるヒアリングで、より多くの情報を収集することが可能になります。
STEP 3: ヒアリング
ヒアリングでは、顧客との対話を通じて本音を引き出し、事前に予測しておいた「顧客が抱えているであろう課題」が正しかったかを確認しながら進めます。営業担当が想定していなかったニーズが見えてくることもあるでしょう。
顧客に共感する姿勢を大切にすれば、営業担当はより多くの情報を集められるようになります。多くの情報を得るほど、次のステップであるプレゼンテーションで、顧客に最適な提案ができるのです。
STEP 4: プレゼンテーション
ここまでの情報をもとに、顧客への提案内容をまとめ、プレゼンテーションを行います。プレゼンテーション開始前には、顧客と自分の意識に相違がないかを確認し、顧客の立場に立ったオリジナルな提案であることをアピールしましょう。
ステップ1~3を十分に行っていれば、顧客視点に立った優れたプレゼンテーションが可能です。プレゼンテーションに慣れていない方は、事前に何度も練習しておくことをおすすめします。
STEP 5: クロージング
クロージングは、顧客に提案への返事をもらうステップです。まずは、顧客の疑問や懸念点を解決し、提案への理解度を深めてもらいましょう。もし商談が成約に至らなかった場合でも、しつこい営業は避け、次の機会に活かせるようにしてください。
これまでのステップで顧客との強い信頼関係が築けていれば、別のタイミングで再度商談のチャンスが得られる可能性があります。顧客の意見を尊重したクロージングを心掛けましょう。
商談を成功させるコツ
営業活動の正しいステップを踏んでも、成果が得られない場合があります。商談を成功させるためのコツを知り、自分の行動を見直してみましょう。
コツ1: 顧客の立場に立って考える
顧客にとって良い商品やサービスとは、自分の抱える課題が解決でき、多くのメリットが得られるものです。そのため、商品の特徴や魅力だけを伝えても、顧客にとってプラスになるとは感じてもらえません。
営業担当は、顧客の立場に立ち、顧客のニーズを探りながら自社商品の購入が顧客にどのような影響をもたらすかを考えましょう。これにより、顧客ごとに最適な提案方法が見つかるはずです。
【相手の話を聞く → 自分なりの仮説を立てる → 仮説を確認する → 足りない情報をヒアリングする】という流れで、より顧客の思考に近づけるようにしましょう。
コツ2: ヒアリングを重視した商談をする
相手のことを理解するために最も効果的な方法はヒアリングです。話を聞かなければ、顧客が抱える課題が見えず、提案の方向性も定まりません。
ただし、まだ信頼関係が築けていない営業担当に対して、自社の課題を積極的に話す顧客は少ないため、業界の状況などを参考に課題の仮説を立て、それをもとにトークを進めながら核心に近づいていきましょう。
顧客との距離を縮めるには、顧客の趣味に合わせたトークや業界に関する知識を十分に身につけておくと良いでしょう。
コツ3: クロージングで顧客の決定を確認する
クロージングでは、成約の有無を明確にするために、顧客の判断を確認します。
どんなに話が進んでも、成約に至らなければ営業が成功したとは言えません。最適なタイミングを見計らってクロージングを進めましょう。
商談の中で、顧客の購入意思を確認するテストクロージングというテクニックを使えば、顧客が商談過程で感じた疑問や懸念点を解消し、成約の確度を高めることができます。積極的に活用しましょう。
ただし、クロージングで顧客に「押し売り」という印象を与えると、築いた信頼関係が壊れてしまいます。成約が得られなかった顧客は、今後の見込み顧客になる可能性があるため、しつこい営業は避けましょう。
コツ4: 商談を振り返って改善を繰り返す
自分の営業力を高めるためには、商談ごとに目標を設定し、商談終了後に良かった点・悪かった点を振り返りましょう。結果の前には必ず過程があり、結果だけに囚われると自分のスキルを向上させることができません。商談で見つけた改善点は、すぐに次の商談に活かしてください。
また、自分だけの考えで改善を繰り返すよりも、上司や先輩などの意見を取り入れることで、より多くのことを学ぶことができます。客観的な意見を聞き、改善点を見つけることが重要です。
コツ5: 商談に集中できる環境を整える
営業担当の目標は成約を取ることです。そのため、事務作業よりも商談に集中する必要がありますが、商談以外の業務に多くの時間を割かなければならないこともあります。具体的には、見積書作成、請求書作成、経費精算、営業資料作成などが挙げられます。
営業活動を支援するツールを活用して、繰り返しの業務を自動化または効率化すれば、事務作業に費やしていた労力と時間を削減し、商談に多くの時間を割けるようになります。限られた時間を有効に使うためには、営業活動の効率化を図ることが重要です。
まとめ
商談を成功に導くためのステップとコツを理解するだけで、商談の質を飛躍的に向上させることができます。この記事を参考に、自分の行動に改善点がないかを見直してみましょう。初めは難しいと感じるステップがあるかもしれませんが、経験を重ねるうちに成果につながる商談ができるようになります。
また、商談を成功させるコツでも紹介したように、ツールを活用して商談に集中できる環境を整えることも効果的です。営業ツールやセールスイネーブルメントツールなどは、営業担当の負担を軽減するだけでなく、営業活動全体の最適化にも役立ちます。商談を成功させるためには、「1つの商談」という観点と「営業活動全体」という観点の両方で効率化を目指しましょう。