世の中には、初めから完璧なものは存在せず、ビジネスにおいても同じことが言えます。業務は日々改善を繰り返し、無駄を省きながら効率化を進めていく必要があります。
過去のやり方に固執し、業務改善を拒む風潮がある会社では、大きな成長を期待することが難しくなってしまいます。
この記事では、業務改善報告書の意味や作成方法をまとめました。まずは業務改善を積極的に進める方法を理解するために、業務改善報告書についての知識を身につけましょう。
業務改善報告書とは
業務改善報告書は、業務改善をする内容を社内・社外に対して提案、周知するための書類です。
読む相手に伝わりやすい業務改善報告書を作成するには、期待する結果や効果を書き残すだけでなく、どのような方法を用いて改善を進めるか、改善に必要な費用や人員なども明確にする必要があります。
その種類には、改善を実現させるために新しい機器やシステムの導入などコストがかかる有償なものの他、ちょっとしたアイデアを形にするような無償のものもあります。
また、業務改善提案書と呼ばれることもありますが、意味は同じです。
業務改善報告書を作成するメリット
業務改善報告書を作成することで、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか?
1. 業務改善の事実・ノウハウを社内で共有できる
優れた業務改善を多くの部署や業務で参考にすれば、別の業務改善に応用が可能です。業務改善報告書を用いて社内で情報を共有することで、組織全体の成長を促せるようになるでしょう。
2. 上司や責任者の理解を得やすくなる
口頭での説明や、きちんとまとめられていない業務改善の提案は、内容を把握するだけで多くの時間がかかり、その改善で得られるメリットや効果を伝えられません。
どんなに優れた業務改善でも、会社で承認が得られなければ実現が難しくなります。しかし、業務改善報告書としてわかりやすい書類が作成されていれば、上司や責任者はその業務改善についての理解が深めやすくなるのです。
3. 業務改善の内容を客観的な視点で評価できる
業務改善が成功した場合・失敗した場合のどちらでも、行った改善に対して客観的な評価が必要です。しかし、業務を客観視することは本来難しいものです。
業務改善報告書で評価を実施すれば、次の業務改善時に活用できるヒントを手に入れることもできるでしょう。特に業務改善に問題が発生した場合には、その原因がどこにあったかがわかりやすくなります。
4. 次の業務改善につながる
業務改善報告書を見直して業務全体の見直しを実施すれば、さらなる改善点が発見できることがあります。
業務改善がうまく進められなかった場合には、改善自体の修正すべき点が見えてきますし、業務改善で一つの目標が達成された場合にも次に必要な改善を見つけられるでしょう。
業務は絶え間なく改善していくことで、より良い状態に成長を続けるものです。常に次の改善を見据える必要があります。
業務改善報告書に記載する項目
業務改善報告書には正式なテンプレートがあるわけではなく、自由に作成することができます。しかし、記載するべき項目を理解しておくことが重要です。ここでは、業務改善報告書に記載するべき項目を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
業務が抱えている問題・現状
業務の中で発見した問題を明確にし、改善すべきポイントを指摘します。なるべく客観的な視点で記載するようにし、自分や一部の社員だけの問題として見られないよう注意してください。業務全体に影響のある問題であることを強調することで、改善の必要性を効果的に伝えます。
具体的な業務改善の方法
前述した問題を解決するための具体的な方法を記載します。ただ結論だけを述べるのではなく、手順やプロセスまで詳細に説明することで、業務改善が現実的であることを示します。理想論にとどまらず、「何をどうするか」「何をどう変えるか」に焦点を当て、具体性を持たせた記載を心がけましょう。
業務改善により期待できる効果
業務改善を実施することで期待できる効果を具体的にまとめます。抽象的な表現は避け、可能であれば数字を用いて説明することが効果的です。例えば、業務改善によって作業時間が何時間減るか、人員が何人減らせるか、経費がどの程度削減できるかを明確に示します。期待できる効果が大きいほど、業務改善の承認を得やすくなります。
業務改善に必要な費用・期間・人員
業務改善には、新しい機器やシステムの購入、人員の確保など、コストやリソースが必要となる場合があります。このために必要な費用、実施期間、必要な人員を具体的に記載し、業務改善報告書を読む相手に改善策の実現可能性を評価するための材料を提供します。たとえメリットのある業務改善であっても、膨大な費用や人員が必要になる場合は、改善方法の見直しが求められるかもしれません。自分自身で業務改善を精査する際にも、この項目は欠かせません。
業務改善報告書を書く際のポイント
業務改善報告書を作成するには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。これらを理解しておけば、初めて業務改善報告書を作成する場合でも、分かりやすく伝わりやすい報告書を作成できるでしょう。
1. 明確で具体的な書き方をする
業務改善報告書には、可能な限り抽象的な表現を避けるようにしましょう。例えば、「この業務改善によって業務は劇的に効率化します」ではなく、「この業務改善によって業務に必要な時間を1/3削減する効果が期待できます」といった数字を用いた説明を心掛け、その根拠も分かりやすくまとめます。正確な数字でなくても、具体的な効果を示すことが改善案の魅力を伝えるポイントです。
2. 伝わりやすい書き方をする
読み手に伝わりやすい文章を書くためには、5W1H(When いつ、Where どこで、Who 誰が、What 何を、How どのように)を意識した文章作成を心掛けましょう。5W1Hを活用することで、誰が読んでも理解しやすい文章を作成でき、必要な情報の記載漏れを防ぐことも期待できます。
3. 客観的な視点で記載する
業務改善報告書では、主観的な書き方を避け、客観的な視点で記載することが重要です。業務改善が必要な問題は、自分だけの問題ではなく、業務全体や会社全体に影響を与えるものであることを伝える必要があります。当事者のモチベーションや個人的な感想ではなく、作業効率の低下やミスの増加、無駄な工程の存在など、客観的なデータや事実に基づいた記載を心掛けましょう。また、専門用語の使用を避け、業務に直接関係のない社員や上司にも分かりやすい表現を心掛けてください。
4. 業務改善報告書を共有しやすい環境を整える
作成した業務改善報告書が社内でスムーズに共有できる環境を整えることも重要です。紙で管理しているだけでは、迅速な共有が難しくなってしまいます。情報共有ツールの導入を検討し、優れた業務改善報告書を社内で容易に共有できる環境作りを進めましょう。
まとめ
業務改善報告書の基本的な意味や作成方法、ポイントについて解説しました。どんなに優れた業務改善のアイデアを持っていても、報告書として社内で共有しなければ、そのアイデアを実現させることは困難です。業務改善報告書の作成方法を学び、多くの人にその改善案の魅力を伝えてください。業務改善を繰り返すことで、業務だけでなく、組織全体の成長が期待できるでしょう。