商談では、顧客の現状を聞き出したり、ニーズを引き出したりするために、適宜質問を行います。質問の仕方には種類があって、それらをうまく使い分けることは、商談の進展に繋がります。
今回は、いくつかある質問の仕方の中から「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」について解説していきます。使い分けについてもご紹介するので、商談時に活用してみてください。
クローズドクエスチョンとは
まずは、クローズドクエスチョンについて、その概要とメリット・デメリットを見ていきましょう。
クローズドクエスチョンは選択式の質問
クローズドクエスチョンとは、相手に選択式で答えてもらうタイプの質問のことです。
例えば、「イエスorノー」で答えられる質問や、いくつかの選択肢の中から答えを選んでもらう質問などが、クローズドクエスチョンにあたります。
クローズドクエスチョンのメリット
クローズドクエスチョンを活用するメリットを2つご紹介します。
メリット1 相手からの明確な返答を得やすい
クローズドクエスチョンのメリットは、相手からの返答を得やすいことです。あらかじめ答えられる選択肢が決まっているため、素早く明確に返答を得ることができます。
質問される相手にとっても答えやすく、質問のハードルは下がります。
メリット2 相手からの了承を得やすい
クローズドクエスチョンは、相手からの了承を得やすいのも特徴です。
例えば、「カタログを一度見てみますか?」「こちらの製品を試してみますか?」などのクローズドクエスチョンをされれば、多くの人が「はい」と答えたくなるのではないでしょうか。
このように、「イエスorノー」で答えるクローズドクエスチョンでは、相手の決断を促すことが可能です。
クローズドクエスチョンのデメリット
クローズドクエスチョンには、以下のようなデメリットがあることも知っておきましょう。
デメリット1 会話が広がりにくい
クローズドクエスチョンには、その後の会話が広がりにくいというデメリットがあります。
例えば、「今何かお困り事はありますか?」と質問し、「ないです。」と答えられては、その後の会話は続けにくくなってしまいます。
クローズドクエスチョンは、メリットを生かせるタイミングを見極めて活用することが大切です。
デメリット2 多用すると相手に圧迫感を与える
クローズドクエスチョンは、使い過ぎると相手に圧迫感を与えてしまいます。
会話の中で、あまりに何度も「イエスorノー」や選択肢の中から答える質問を投げ掛けられた場合、尋問されたり誘導されたりしているような気持ちになりませんか?
「相手はどう感じるか」という点を踏まえ、クローズドクエスチョンを多用し過ぎるのは避けましょう。
オープンクエスチョンとは
次に、オープンクエスチョンの概要とメリット・デメリットについて解説していきます。
オープンクエスチョンは相手が自由に応えられる質問
選択肢があらかじめ決まっているクローズドクエスチョンとは異なり、オープンクエスチョンは相手が自由に答えられる形の質問を指します。例えば、「どんな課題をお持ちですか?」「どう感じられましたか?」などです。
オープンクエスチョンを使う時には、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を意識して質問を行うと、相手が返答しやすくなります。
オープンクエスチョンのメリット
オープンクエスチョンには、以下のようなメリットがあります。
メリット1 自由度が高く会話が広がりやすい
オープンクエスチョンは、相手の返答の自由度が高く、会話が広がりやすい質問形式です。相手の答えた内容を踏まえれば会話が繋けやすく、話題に困ることは少ないでしょう。
そのためオープンクエスチョンは、相手と打ち解け、信頼関係を築くことにも効果的です。
メリット2 より多くの情報を引き出しやすい
オープンクエスチョンでは、クローズドクエスチョンよりも多くの情報を引き出すことができます。
クローズドクエスチョンから得られるのは選択肢による回答だけですが、オープンクエスチョンからは相手のさまざまな思いや考えを引き出し、より深く広い情報を手に入れることが可能です。
オープンクエスチョンのデメリット
オープンクエスチョンのデメリットについても見ていきましょう。オープンクエスチョンを活用する時には、以下の2点のデメリットに注意するようにしてください。
デメリット1 答える相手の心理的負担が大きくなりやすい
相手が自由に答えられるオープンクエスチョンですが、場合によっては答える相手の心理的な負担が大きくなってしまうこともあります。オープンクエスチョンに対しては、相手は「何をどういう風に答えればいいか」考えなければならないためです。
クローズドクエスチョンと同じで、オープンクエスチョンも多用すると相手の負担が大きくなるため、注意しましょう。
デメリット2 会話が逸れたり、本音を聞き出せない可能性も
オープンクエスチョンに対する返答は、自由である分、話の本質が逸れてしまうこともあります。また、本音を言ってもらえない場合もあるでしょう。
話が逸れた時に本題に戻したり、うまく本音を聞き出したりする話術については、商談で利用することができるため、営業担当は勉強しておいた方がいいでしょう。
クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの使い分け
ここからは、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの使い分けについて、具体例を挙げながら解説していきます。それぞれの質問形式をうまく使い分ければ、商談をうまく誘導し、クロージングへと導くことが可能です。
慣れないうちは、フレーズをあらかじめ考えておいても良いですね。
クローズドクエスチョンが有効なケース
クローズドクエスチョンが有効なケースと質問の具体例を挙げていきます。
・商談中やクロージング(商談をゴールへと進めたい時)
・相手の考えや事実を明確にしたい時
・決断を促したい時
「商品をいくつかご紹介させていただいてもよろしいでしょうか?」
「サービスAとサービスBでは、どちらが気になりますか?」
「一度お試しになりませんか?」
「何かご不安な点はございますか?」
オープンクエスチョンが有効なケース
オープンクエスチョンが有効なケースと質問の具体例についても見ていきます。
・ヒアリング(ニーズや状況などの情報を聞き出したい時)
・相手の考えや思いを聞き出したい時
・深い情報を聞き出したい時
・アイスブレイクの世間話で
「御社では、どのような目標をお持ちですか?」
「弊社のお客様には〇〇を課題としている方が多いですが、御社ではいかかでしょうか?」
「ご紹介した弊社の商品で、どれに一番興味をお持ちですか?」
「先日のセミナーにご参加くださりありがとうございました。いかがでしたか?」
まとめ
クローズドクエスチョンもオープンクエスチョンも、商談術として役立つ質問形式です。それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、適切な場面で使い分ければ、相手から必要な情報や回答を引き出すことができます。
慣れないうちは、2種の質問形式を使いこなせるよう、社内ロープレなどで練習すると良いでしょう。
また、「どんな質問に対しどんな回答を受けたか」「どんな情報を得たか」など、営業に関する情報を管理・共有するには、セールスイネーブルメントツールが役立ちます。情報管理以外の機能にも長けたセールスイネーブルメントツールは、営業活動の効率化に効果的です。より良い営業活動のためには、セールスイネーブルメントツールの導入検討もおすすめです。