ビジネスを円滑かつ効率的に進めるためには、社員間のこまめな情報共有が重要です。
しかし、情報共有を怠る上司や部下、同僚に悩んでいる人も少なくありません。情報共有の不足は、コミュニケーションの断絶や誤解を生む原因となり、生産性の低下やミスの増加につながることがあります。
情報共有をしない人はどのような考えを持っているのでしょうか。また、どのように対策を取ればよいのでしょうか。
今回は、情報共有をしない人の心理、その原因、および対策について詳しくご紹介します。
情報共有の重要性
現代のビジネス環境において、情報共有は企業の競争力を左右する重要な要素となっています。変化の激しい市場において、企業は迅速かつ的確に意思決定を行い、顧客のニーズに対応していく必要があります。
そのためには、社内のあらゆる情報を共有し、社員一人ひとりが状況を把握し、迅速に行動できる体制を整えることが不可欠です。
業務効率の向上
情報共有により、業務の効率が向上し、従業員全体の生産性が高まります。
例えば、過去の成功事例や失敗事例を共有することで、同じ過ちを繰り返すことを防ぎ、より効率的な業務遂行が可能になります。過去のプロジェクトにおける課題や解決策を共有することで、新規プロジェクトにおいて同様の問題が発生した場合でも、迅速に対応することができます。
また、情報共有によって、担当者間での情報伝達ミスや重複作業を減らすことができ、時間と資源の無駄を削減できます。
例えば、顧客情報や受注情報がリアルタイムで共有されていれば、営業担当者と顧客サポート担当者間での連携がスムーズになり、顧客への対応品質向上に繋がります。さらに、情報共有は、従業員間の連携を強化し、チームワークを向上させる効果も期待できます。
社内コミュニケーションの活性化
情報共有が進むことで、従業員同士のコミュニケーションが活性化し、チームワークが強化されます。
情報共有は、単に情報を伝えるだけでなく、従業員同士の相互理解を深め、信頼関係を築くための重要な手段となります。情報共有を通じて、従業員は互いの仕事内容や課題を理解し、協力し合う意識が高まります。
例えば、定期的に進捗報告会を開催することで、各々が抱える課題や困りごとを共有し、解決策を検討することができます。また、情報共有の場を通じて、従業員同士の意見交換や議論が活発化し、新しいアイデアや発想が生まれることもあります。
情報共有をしないことで起こるリスク
情報共有がきちんと行われていないと、あらゆるトラブルが発生しやすくなります。情報共有をしないことで起こる主なリスクを3つご紹介します。
リスク1:進捗やトラブルの把握・対応が遅れる
情報共有が行われていないと、それぞれの社員が抱えている仕事の状況が、上司にも社員同士にも分かりません。進捗がわからないためフォローができず、また発生したトラブルに対する対応も遅れてしまいます。特に複数のプロジェクトが同時進行している場合、情報の欠如はプロジェクト全体に波及し、最終的な成果物の質を低下させる原因となります。
進捗やトラブルへの対応の遅れは、納期が遅れたり顧客からの信頼を失ったりと、会社にとって大きな不利益になる可能性があります。さらに、問題の早期発見と解決が困難になることで、会社全体のリスク管理能力が低下し、予期しない事態に対する脆弱性が増します。
リスク2:業務効率が低下する
情報が共有されていない状況では、業務で疑問が生じた時の解決が遅れます。疑問を解決するには、解決方法を知っている人に聞くしかなく、本人も聞かれた人も業務をストップすることになってしまいます。このような状況が頻繁に発生すると、全体の作業スピードが著しく低下し、プロジェクトの進行が大幅に遅れることになります。
業務の属人化も進みやすく、それぞれの社員が自分の業務の知識しか持たなくなるため、業務効率は低下していきます。また、属人化が進むことで、特定の社員が不在の場合に業務が滞るリスクも増加し、組織全体の柔軟性が損なわれます。
リスク3:人間関係が悪化する
情報があるのに共有していないと、「なぜ事前に報告しなかったのか」「知っていたのなら教えてくれればよかったのに」と、社内での人間関係は悪化します。情報が共有されないことにより、仕事のミスやトラブルが起こることもあるでしょう。その結果、ミスやトラブルの責任がどこにあるのかを巡って、社員間の対立が深まることも考えられます。
情報共有というコミュニケーションが行われない状態では、社員間の信頼関係は築けません。信頼関係が欠如すると、協力体制が崩れ、チーム全体のパフォーマンスが低下します。さらに、職場の雰囲気が悪化し、社員のモチベーションや仕事に対する満足度が低下する可能性もあります。
情報共有をしない人の心理
組織にとって情報共有が重要であることは理解していても、実際には積極的に情報を共有しない人がいます。その背景には、様々な心理的な要因が考えられます。
重要性を感じていない
情報共有の必要性や重要性を理解していないことが原因です。
情報共有のメリットを理解していない、あるいは、自分の仕事に直接関係ないと考えているために、情報共有の必要性を感じていない場合があります。
例えば、「自分の業務はルーティンワークだから、共有するような情報はない」と考えている人がいます。また、情報共有が面倒だと感じたり、時間がないと感じたりすることも、情報共有をしない理由として挙げられます。
「情報共有に時間を取られるよりも、自分の業務を優先したい」という心理が働くためです。
共有することに抵抗がある
何かを共有することに対して、不安や恐れを感じている場合があります。
例えば、自分のアイデアやノウハウが盗まれるのではないかと不安に感じたり、共有した情報が誤解されてしまうのではないかと心配したりするケースがあります。
特に、競争の激しい業界や職種においては、自分の知識やスキルを守るために、情報を秘匿する傾向が見られます。また、情報共有によって自分の評価が下がるのではないかと懸念している場合もあります。
例えば、自分が苦労して得た情報やノウハウを簡単に共有することで、自分の評価が下がってしまうのではないかと考える人がいます。
面倒だと思っている
情報を共有することが手間だと感じているため、行動に移せないことがあります。
情報共有のシステムが複雑であったり、共有する情報が多すぎて、どの情報を共有すれば良いのか分からなかったりする場合、従業員は情報共有を面倒だと感じるかもしれません。
例えば、社内システムへの情報登録が複雑で時間がかかったり、共有すべき情報が多岐に渡り、整理ができていなかったりする場合です。また、共有した情報が活用されなかったりすると、従業員はモチベーションが低下し、情報共有を避ける傾向があります。
情報共有しているつもり
本人は情報共有をしているつもりでも、情報共有に対する認識が他の社員と異なっている場合もあります。情報共有のタイミングや情報共有すべきと捉える基準が異なるためにすれ違いが起き、情報共有していないように感じるのです。
情報共有に対する捉え方の違いは、ルール作りが曖昧な点に問題があると考えられます。
情報共有をしない心理が生まれる原因
情報共有をしない心理が生まれる原因は、大きく以下のふたつに分けられます。
原因1:情報共有できる仕組みが整っていない
情報共有できる仕組みが整っていないと、情報共有は十分に行われません。
情報共有を効率化するツールがないために情報共有のプロセスを面倒に感じたり、情報共有におけるルールが定まっていないために認識の違いが起きたりして、「情報共有しない」という心理が生まれてしまうのです。
さらに、情報共有のための適切なトレーニングやサポートが不足している場合、社員はどのように情報を共有すべきか分からず、結果として情報が共有されない状況が生まれます。
原因2:社員の意識に問題がある
「情報を自分だけのものにしたい」「失敗を咎められたくない」という社員の意識が、情報共有しない心理を生んでいることもあります。
情報共有を円滑にするためには、全社員に情報共有の重要性を認識してもらわなくてはなりません。また、情報共有した社員自身に対するメリットを設けることで、社員の意識は大きく変わるでしょう。
例えば、情報共有を積極的に行った社員に対して評価や報酬を与える制度を導入することで、情報共有の文化が育まれ、全体の業務効率が向上するでしょう。
情報共有を促進するための対策方法
情報共有を促進し、組織を活性化するためには、単に「情報を共有しましょう」と呼びかけるだけでは不十分です。従業員が積極的に情報共有に参加したくなるような仕組みや環境作りが重要になります。
明確なルールを策定
情報共有に関する明確なルールを作り、全員が従うよう促します。
情報共有の目的、対象となる情報、共有方法、責任者などを明確に定めることで、従業員は情報共有の必要性と重要性を理解し、積極的に情報共有に参加するようになります。
例えば、「顧客情報は、営業部門と顧客サポート部門で共有する」「日報は、毎日17時までに社内システムに入力する」といった具体的なルールを定めることで、従業員の行動を促すことができます。また、ルールを策定することで、情報共有の質を高め、情報漏洩のリスクを軽減することもできます。
評価制度の導入
情報共有の実施程度を評価に反映し、インセンティブを与える仕組みを作ります。
情報共有を積極的に行っている従業員に対して、評価や報酬を与えることで、従業員のモチベーションを高め、情報共有を促進することができます。
例えば、人事評価において「情報共有」を評価項目の一つとして設定し、積極的に情報共有を行っている従業員に対して高い評価を与えることができます。また、情報共有の貢献度に応じて、報奨金や表彰制度を設けることも効果的です。
ただし、評価制度を導入する際には、情報共有の質や量だけでなく、情報共有の目的や効果なども考慮する必要があります。単に情報量を増やせば良いというわけではなく、組織目標達成に貢献する質の高い情報共有を評価することが重要です。
適切なツールを導入
情報共有を簡素化するためのツールを導入し、従業員が使いやすい環境を整えます。
情報共有ツールを導入することで、従業員は簡単に情報を共有したり、必要な情報を検索したりすることができるようになります。
例えば、社内SNSやチャットツールを導入することで、気軽に情報共有できる環境を作る、社内Wikiやナレッジデータベースを構築することで、情報を一元管理し、検索性を高めるなどの方法があります。また、情報共有ツールを利用することで、情報共有の履歴やアクセスログを記録することができ、情報管理の効率化を図ることができます。
情報共有の文化を醸成する
情報共有を促進するためには、制度やツールを導入するだけでなく、情報共有を重視する組織文化を醸成していくことが重要です。
経営層や管理職が率先して情報共有を行い、情報共有の重要性を繰り返し伝えることで、従業員一人ひとりの意識改革を促す必要があります。
例えば、経営層が定期的に社員向けに情報発信を行ったり、部門長がチームミーティングで情報共有の時間を設けたりすることで、情報共有を習慣化することができます。また、情報共有を通じて成果を上げた事例を共有することで、従業員のモチベーション向上に繋げることもできます。
まとめ
現在では情報共有の重要性が認識され、多くの会社が情報共有の活性化のための試みを続けています。
その一手段としてよく用いられるのが、本文でもご紹介した情報共有ツールやマニュアル作成ツールの導入です。情報共有ツールやマニュアル作成ツールを用いれば、情報共有や蓄積、活用もスムーズに行えるようになります。ツールの利用は、情報共有しない心理の改善にも効果的でしょう。
情報共有がうまくいかないと感じている方は、是非一度、情報共有ツールやマニュアル作成ツールの導入を検討してみてください。
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