顧客満足度を向上させるFAQサイトを目指すためには、作成後の適切なメンテナンスが必要不可欠です。よいFAQサイトを育てることで、問い合わせの削減やCVの向上につながります。
本記事ではFAQサイトの改善方法やチェックポイント、確認すべき指標などを解説しています。「FAQサイトのなにを改善すべきかわからない」「問い合わせ削減のための施策を知りたい」とお悩みの担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
よいFAQサイトかどうかをチェックするポイント
FAQサイトを改善するためには、既存のFAQサイトの現状を正しく認識することから始めます。よいFAQサイトに共通している特徴は、以下の3点です。
・探しているFAQを見つけやすい
・FAQで課題の自己解決ができる
・定期的にFAQがアップデートされている
これらの中に不十分な点を見つけ、改善策を探ることが大切です。まずは、上記3つのチェックポイントについて詳しく解説します。
ポイント1 探しているFAQを見つけやすいか
FAQサイトには、大前提として「ユーザーの疑問を素早く解決できること」が求められます。そのために必要な要素は、以下の3点です。
アクセス性 | ・Google検索でたどり着きやすいこと ・企業のWebサイトからFAQページへ移動しやすいこと |
デザイン性 | ・パソコンだけではなくスマホ画面にも最適化されていること ・文字サイズやカラーが見やすいこと |
検索性 | ・キーワード検索で求めているFAQがヒットすること ・カテゴリ分けされていて探しやすいこと |
それぞれの項目を満たすことが「情報を探しやすいFAQサイト」であるための条件です。
ポイント2 FAQで課題の自己解決ができるか
顧客に課題の自己解決を促すためには、以下の条件を満たす必要があります。
・FAQの数
多くのユーザーの疑問を網羅的にカバーするためには、相応の数が必要です。項目が多すぎても求めている情報が探しづらいため、ニーズのない情報は随時削除するなどの整理を同時に行います。
・明瞭な回答
求めている回答にたどり着いたとしても、顧客が回答の意味を理解できなければ意味がありません。FAQには、誰にでも伝わる明瞭な説明が求められます。
ポイント3 FAQ のアップデートを定期的にできているか
FAQは作成して終わりではありません。ユーザビリティの高いFAQを運用するためには、顧客の声を反映した更新・改善が必要不可欠です。更新作業の際は、以下のポイントを重視しましょう。
・システマチックな更新作業
更新担当者を決め、作業・チェックをチーム内で分担のうえ定期的にメンテナンスできるよう一連の作業をシステム化します。
・FAQの利用分析
アクセス解析やアンケート、VOCなどから多角的にFAQページの利用状況を分析し、改善に生かします。
FAQサイトを改善するために確認すべきデータ
FAQサイトを改善するために確認するべき指標は以下の5点です。
・0件ヒット率
・クリックスルー率
・FAQ閲覧後の問い合わせ件数
・VOC
・アンケートポジティブ率
それぞれのデータから読み取れることを解説します。
1 0件ヒット率
0件ヒット率とは、ユーザーがFAQサイトの検索窓でキーワードを打ち込んだ際「検索結果なし」と表示される割合のことです。たとえば100回検索されたとき「検索結果なし」と表示された回数が15回であれば、0件ヒット率は15%となります。
顧客視点で考えると「検索結果なし」と回答されることは、店頭へ出向いた際に門前払いにあうことと同義なのです。そのためこの数値は、FAQ開設直後であっても30%未満を死守することがマストとされています。
0件ヒットが発生する要因は、主に以下の2パターンが挙げられます。
・FAQがあるにもかかわらず、検索キーワードとマッチしないためヒットしない
0件ヒット率を低下させなければ、ユーザーのサイト離脱や再訪率の低下、コールセンターへの問い合わせ増加を招きます。可能な限りこの割合を引き下げることが、FAQ改善で取り組むべき重要事項の1つです。
キーワードの内容に関するFAQ拡充や、タイトルへのキーワード追加などの対策を練りましょう。
2 クリックスルー率
クリックスルー率とは、検索結果に表示されたFAQが実際にクリックされた割合を示すものです。計算式は「クリックスルー率=クリック率/検索結果の表示回数」で求められます。
クリックスルー率が低い場合は「検索キーワードに合致したFAQはあるが、ユーザーが求めている内容とズレていたためクリックされなかった」ということが想定されます。このような事態の原因は以下のとおりです。
・ユーザーが必要とするFAQが用意されていない
質問文を万人に理解しやすい文言に改良したり、キーワードに対して適切なFAQを追加したりするなどの対策が必要です。
3 FAQ閲覧後の問い合わせ件数
FAQを閲覧後、さらに問い合わせをしたユーザーの割合を調べることも大切です。アクセス解析ツールであるGoogleアナリティクスを活用すると、FAQページから問い合わせページへの遷移率がわかります。
この遷移率は、FAQで課題の自己解決が叶わなかったことを表しているため、以下の施策で改善を試みる必要があるでしょう。
・該当する問い合わせ内容をFAQに追加する
回答の内容をわかりやすく修正し、FAQの網羅性を向上させる取り組みが必要です。
4 VOC
企業に寄せられるVOC(顧客の声)は、利便性の高いFAQを作成するうえで必要不可欠なデータです。VOCを収集する経路は、主に以下の3つが挙げられます。
・SNS
・アンケート調査
より精度の高いFAQにブラッシュアップするためには、顧客の声や問い合わせ内容を分析し、既存のFAQと突き合わせたうえで不足している項目を随時追加する作業が必要です。
5 アンケートポジティブ率
アンケートポジティブ率とは、顧客がFAQコンテンツを「解決した」「役に立った」などポジティブに評価をした割合のことを指します。
FAQサイトのアンケート機能を使用すると「この回答は役に立ちましたか?」と回答に対する満足度を顧客に問うことができます。ポジティブな回答が得られないコンテンツには、以下のような原因がある場合がほとんどです。
・回答内容が不足している
検索キーワードに対して適切なFAQを紐づけたり、回答内容のボリュームを増やしたりすることで満足度の向上を図る必要があるでしょう。
FAQサイトの改善ポイント
FAQサイトのユーザビリティを高めるために必要となる具体的な施策は以下のとおりです。
・FAQの項目を増やす
・検索窓の配置を見直す
・SEO対策を強化する
・FAQを内容ごとにカテゴリ分けする
・問い合わせをランキング形式で表示する
・顧客が理解しやすい回答を用意する
・定期的にFAQをブラッシュアップする
これらの施策をひととおり網羅することで、万人に「使いやすい」と感じてもらえるFAQサイトが完成します。
1 FAQの項目を増やす
まずは顧客の疑問を網羅するために、FAQの項目を充実させましょう。0件ヒット率やクリックスルー率、VOCなどからピックアップした問い合わせ内容を中心に、随時追加します。
顧客の自己解決を促し、満足度の向上や問い合わせの削減につなげるために必要不可欠な施策です。
2 検索窓の配置を見直す
FAQ内で求めている情報を検索しやすくすることはもちろん、サイト全体を通じてFAQにアクセスしやすい導線を整えましょう。
検索窓はFAQページだけではなく、全ページへ設置することでアクセス性を高めることができます。顧客がFAQページ自体を探す手間を省けるため、サイトの離脱率低下にもつながります。
3 SEO対策を強化する
SEOの強化により検索順位が向上すると、顧客はGoogleをはじめとする検索エンジンから直接FAQサイトにたどり着けるようになります。検索エンジンで上位表示されるFAQを作成するためには、以下に代表されるSEO対策が必要です。
・ページを要約したメタディスクリプションを設定する
・検索キーワードを意識してFAQのタイトルや説明文に盛り込む
検索エンジンに評価されやすいサイト設計を採用することにより、顧客のスムーズな情報収集に寄与します。
4 FAQを内容ごとにカテゴリ分けする
FAQサイトの検索性を高めることは重要ですが、情報にたどり着く手段を「検索」に頼りすぎないことも大切です。どのようなキーワードで検索したらいいかわからない顧客や、検索自体に慣れていない世代の利便性も考慮し、情報を内容ごとに分類しましょう。
たとえば以下のようにカテゴリ分けすると、顧客は求めている情報を探しやすくなります。
・ログイン方法
・手続き方法
・支払方法
検索フォームを使用せずとも必要な情報にたどり着けるよう、カテゴリはFAQサイトの目につきやすいところに表示させるのが効果的です。
5 問い合わせをランキング形式で表示する
問い合わせ件数が多い順にFAQを並べることで、多くの顧客が知りたがっている情報を上部に表示できます。検索する前段階で情報を見つけてもらうために、ランキングは検索窓の近くに配置しましょう。
6 顧客が理解しやすい回答を用意する
せっかく求めている情報にたどり着いても、顧客が回答の意味を理解できなければ意味がありません。回答内容がわかりづらいと、問い合わせの増加やユーザーの離脱を招きます。回答は以下の項目に注意して作成しましょう。
・極力短い文章で回答する
・図解・動画などを用いて直感的な理解を促す
「誰にでも伝わる回答」を用意することが、ユーザーの利便性を向上させるポイントです。
7 定期的にFAQをブラッシュアップする
FAQには常に最新情報を記載できるよう、定期的な更新作業を欠かさずに行いましょう。情報が古いと、間違った情報や顧客のニーズにマッチしない情報を提供してしまいます。
VOCをはじめとする各データを確認し、顧客ニーズの変化を随時FAQに落とし込む作業が必要です。FAQの更新には手間がかかるため、管理・運用は特定の個人に任せるのではなく、チーム作業を行うことが望ましいです。
更新作業を行うチームと、チェック・公開を行うチームを分けるなど、繁忙期でもコンスタントに継続できる環境を構築しましょう。
FAQサイトを改善する際の手順
FAQサイトを改善するための具体的な手順を、4ステップにわけて解説します。
手順1 FAQサイトのKPIを設定する
まずは、FAQサイト改善の目標値(KPI)を設定します。KPI設定の具体例は以下のとおりです。
・顧客の自己解決を促すため、0件ヒット率を〇%まで低下させる
・顧客満足度向上のため、アンケートポジティブ率〇%以上を目指す
数値目標は具体的に、かつ自社の課題に沿って設定しましょう。
手順2 KIP達成のための改善方法を決める
続いて、数値目標を達成するうえで必要な改善策を練ります。たとえばFAQサイトの「PV数を増やす」という目標に対しては、以下のような施策が有効です。
・SEO対策をする
・SNSやメルマガなどを駆使して流入経路を増やす
蓄積されたデータを活用すると、改善点や施策が明確に定まります。
手順3 施策を実行する
改善点や改善方法を明確にしたのち、施策を実行に移します。
たとえば、
・回答内容をわかりやすく改善する
・FAQをカテゴリ分けする
など、FAQの内容を見直す施策は、そもそもFAQサイトへの導線が適切であって初めて効果を発揮するものです。
そのため、FAQサイト自体の利便性に問題がある場合は
・検索窓の配置場所を検討する
・FAQへのリンクを全ページに配置する
など、FAQへの遷移率を増加させる施策を優先的に行いましょう。
手順4 結果を分析し更なる改善点を探る
施策の実行後、データを分析したうえで目標値の達成率を確認します。後の課題解決に役立つ有用なデータとなるため、施策の実行により「どのような結果が得られたか」は数値とともに蓄積しましょう。
FAQ管理システムを導入することで、コンテンツごとのアンケート評価やPV数、検索キーワードなどのデータを自動で取得できるため効果測定が容易になります。
目標達成できなかった項目は、原因を探り次の改善策に生かします。このように、PDCAサイクルを回すことでFAQページの精度はますます向上します。
まとめ
本記事では、FAQサイトの改善方法や確認すべき指標などを解説しました。優れたFAQサイトの条件は、顧客が求める情報に速やかにアクセスでき、課題を自己解決できることです。
FAQサイトを改善する際は、現状のデータを確認したうえで取り組むべき施策を検討しましょう。カスタマーサポートに特化した専用のツールを活用することで、これらのデータ分析が容易になります。「データ分析に時間がかかる」「どこから改善したらいいかわからない」という場合は、ツールを上手に活用してよいFAQサイトを育てていきましょう。