せっかくFAQシステムを導入したのに、全然使われない…問い合わせ件数は変わらないどころか、逆に「FAQを見てもわからない」という声が増えているなんてことはありませんか?
こんにちは!ヘルプドッグ専任コンサルタントの広瀬ナツコと申します。
私は長年、様々な企業のFAQ運用改善をお手伝いしてきましたが、残念ながら「FAQシステムを導入したのに効果が出ない」という相談が後を絶ちません。実は、FAQが使われない理由には明確なパターンがあり、適切な対策を取れば確実に改善できるんです。
FAQシステムが機能しないのは、決してシステム自体の問題だけではありません。情報設計、検索性、運用体制など、複数の要因が絡み合って「使われないFAQ」が生まれてしまうのです。
でも、安心してください。これらの課題は決して解決不可能なものではありません。私がこれまでお手伝いしてきた数多くの企業でも、適切なアプローチで必ず改善できています。むしろ、問題の根本原因が明確になれば、効果的な解決策も見えてくるんです。
この記事では、私の実務経験をもとに、FAQを「使われないもの」から「頼られるもの」に変える具体的な方法をお伝えしていきます。一緒に、お客様に愛されるFAQを作っていきましょう!
この記事でわかること
- FAQシステムが使われない5つの根本原因
- 問い合わせ削減を実現するための具体的改善策
- 効果的なFAQ運用のポイントと継続改善の仕組み
- 成功事例から学ぶ導入・運用のベストプラクティス
FAQシステムが使われない5つの根本原因
FAQシステムの導入効果が出ない背景には、運用面での課題が隠れていることがほとんどです。私がコンサルティングで関わった企業の事例を振り返ると、使われないFAQには共通する問題パターンが見えてきます。
原因1:検索しても目的の情報にたどり着けない
多くのFAQサイトで最も深刻な問題が、検索精度の低さです。ユーザーが自然な言葉で検索しても、0件ヒットが頻発したり、関連性の低い記事ばかりが表示されてしまうケースが非常に多いんです。
特に困るのは、同じ内容を異なる表現で検索した際の検索結果にバラつきが出ることです。例えば「パスワード忘れた」と「パスワードリセット」で全く違う結果が出てしまい、ユーザーが混乱してしまいます。
また、検索に慣れていないユーザーへの配慮も重要です。検索ボックスに何を入力すればよいかわからず、結局諦めてしまう方も少なくありません。
原因2:情報の整理とカテゴリ分けが不適切
FAQの内容がどんなに充実していても、情報が整理されていなければユーザーは目的の記事を見つけられません。よくある問題として、以下のようなケースがあります:
問題パターン | 具体例 | 影響 |
---|---|---|
カテゴリが専門的すぎる | 「アカウント統合」「API連携」など | 一般ユーザーが理解できない |
階層が深すぎる | 4階層以上の深いカテゴリ構造 | クリック途中で離脱する |
同じ内容が複数箇所に散在 | 支払い関連の情報が「料金」「決済」両方にある | 情報の重複と混乱を招く |
私が支援したある企業では、エンジニア目線でカテゴリを作ってしまったため、一般のお客様が全く使えないFAQになっていました。ユーザー目線での情報整理は、FAQの成功に欠かせない要素です。
原因3:記事の内容が分かりにくい・情報が古い
FAQの記事そのものに問題があるケースも頻繁に見られます。**「技術的すぎる説明」「手順が不明確」「情報の古さ」**などが主な要因として挙げられます。
特に深刻なのは、記事を読んでも解決に至らないケースです。例えば、手順説明に画像がなかったり、「詳しくはこちら」のリンクが切れていたりすると、ユーザーは結局問い合わせをすることになってしまいます。
また、システムのアップデートに伴って情報が古くなっているのに、FAQ記事だけが更新されていないという問題も非常に多いです。古い情報のせいで、かえってユーザーを混乱させてしまう結果になります。
原因4:運用体制が整っていない
FAQシステムは導入して終わりではありません。継続的な改善と運用が必要ですが、多くの企業でこの体制が不十分なのが実情です。
典型的な運用の問題点:
- 記事の更新担当者が明確でない
- 改善のためのデータ分析ができていない
- ユーザーからのフィードバックを活用できていない
- FAQの効果測定指標が設定されていない
私が関わった企業の中にも、「作って公開したまま放置」状態になってしまい、結果として使われないFAQになってしまったケースがありました。運用体制の整備は、FAQ成功の重要な要素です。
原因5:システム自体の機能不足
最後に、FAQシステム自体の機能的な限界も大きな要因です。特に自社開発のFAQサイトや、基本的な機能しか持たないツールを使っている場合に顕著に現れます。
機能不足の具体例として、「検索サジェスト機能がない」「関連記事の自動表示ができない」「ユーザーの行動ログが取得できない」などが挙げられます。
また、スマートフォンでの表示が最適化されていない、読み込み速度が遅いといった技術的な問題も、ユーザーの離脱を招く要因になります。
問い合わせ削減を実現する改善策
FAQが使われない原因を特定できたら、次は具体的な改善策を実行していきます。私の経験上、効果的な改善は段階的に進めていくことが重要です。
検索精度の向上で「見つからない」を解消
まず最優先で取り組むべきは、検索機能の改善です。ユーザーが入力した語句に対して、的確な回答を返せる仕組みを整えることが不可欠です。
効果的な検索機能の要件:
- 同意語辞書による表記ゆれ対応
- 入力途中からのサジェスト表示
- 誤字脱字の自動補正
- 関連性の高い記事の優先表示
私が支援したある製造業の企業では、検索機能を改善しただけで自己解決率が40%向上しました。特に効果的だったのは、お客様がよく使う「普段の言葉」を同意語辞書に登録したことです。
例えば「故障」「不具合」「調子が悪い」「動かない」といった表現を、すべて同じ記事に誘導できるよう設定しました。技術的な専門用語だけでなく、一般的な表現でも検索できるようになったことで、大幅な改善を実現できました。
情報設計の見直しでユーザー導線を最適化
次に重要なのが、情報の整理と導線設計の改善です。ユーザーが迷わず目的の情報にたどり着けるよう、構造を見直していきます。
効果的な情報設計のポイント:
改善項目 | 具体的な施策 | 期待効果 |
---|---|---|
カテゴリの簡素化 | 3階層以内に収める | 離脱率の低下 |
共通語での表現 | お客様目線のラベリング | 理解度の向上 |
人気記事の前面配置 | よく見られる記事をトップに | 自己解決率の向上 |
用途別の入り口設定 | 「初めての方」「困った時」など | ユーザビリティの改善 |
情報設計を見直す際は、必ずユーザーテストを実施することをお勧めします。実際にお客様に操作してもらい、どこで迷うか、どこで離脱するかを観察することで、改善点が明確になります。
記事品質の向上で一次完結率を高める
検索性と導線が改善できたら、記事そのものの品質向上に取り組みます。「見つけた記事を読めば確実に解決できる」状態を目指していきます。
記事品質向上の具体的手法
- 結論を最初に提示する構成
- 手順には必ず画像や動画を添付
- 想定される疑問を先回りで解消
- 関連記事への適切な内部リンク設置
私が支援した金融機関では、記事の冒頭に「この記事で解決できること」を明記し、手順説明にはすべてスクリーンショットを添付することで、一次完結率を60%向上させることができました。
また、記事の最後に「解決しましたか?」の評価ボタンを設置し、「いいえ」を選択したユーザーには関連記事や問い合わせフォームへの誘導を行うことで、ユーザー満足度も大幅に改善しました。
継続改善の仕組み作りと運用体制の整備
FAQの効果を持続させるためには、継続的な改善の仕組みが欠かせません。データに基づいた改善サイクルを構築していきます。
効果的な運用体制の要素
- 週次・月次での効果測定とレポート作成
- ユーザーの検索ログ分析による記事改善
- 問い合わせ内容の分析と新規FAQ作成
- 関係部署との情報共有と連携体制
私がお手伝いしている企業では、毎週30分程度の「FAQ改善ミーティング」を開催し、検索されたが見つからなかった質問や、評価の低い記事を特定して改善につなげています。
この取り組みにより、継続的にFAQの品質が向上し、問い合わせ件数の削減効果も持続しています。重要なのは、改善を「仕組み」として組織に根付かせることです。
成功事例から学ぶFAQ運用のベストプラクティス
実際にFAQ改善で成果を上げた企業の事例をご紹介します。どの企業も、段階的な改善アプローチで大きな成果を実現されました。
EC企業A社:検索機能改善で問い合わせ50%削減
年商数十億円規模のEC企業A社では、商品に関する問い合わせが急増し、カスタマーサポートチームが疲弊していました。
導入前の課題
- 商品の使い方に関する同じ質問が繰り返し寄せられる
- FAQはあるが検索しても見つからない
- サポートチームの残業時間が慢性化
改善施策
- 先回りスマート検索の導入
- 商品カテゴリごとの専用FAQ設計
- よくある質問の前面配置
結果として、導入から3ヶ月で問い合わせ件数を50%削減し、サポートチームの労働時間も大幅に改善されました。特に効果的だったのは、商品名の表記ゆれに対応した検索機能で、お客様が入力した商品名のバリエーションすべてに対応できるようになったことです。
SaaS企業B社:運用体制見直しで自己解決率70%達成
クラウドサービスを提供するB社では、機能に関する問い合わせが多く、技術サポートのリソースが不足していました。
改善アプローチ
- 開発チームとサポートチームの連携強化
- 機能アップデート時のFAQ同時更新ルール確立
- ユーザーフィードバックの定期的な分析と改善
この取り組みにより、自己解決率が70%に向上し、技術サポートがより高度な問い合わせに集中できるようになりました。特に重要だったのは、開発チームとの連携により、新機能リリース時にFAQも同時に更新される体制を作ったことです。
製造業C社:段階的改善で顧客満足度大幅向上
産業機械メーカーのC社では、製品の操作方法に関する問い合わせが多く、お客様からの不満も増加していました。
段階的改善プロセス
- 第1段階:検索機能の改善とカテゴリ整理
- 第2段階:動画解説の追加と記事品質向上
- 第3段階:予防的FAQの作成と運用体制強化
成果:問い合わせ件数40%削減、顧客満足度20%向上
この事例で特筆すべきは、動画解説の効果です。複雑な機械操作を文章だけで説明するのは限界がありましたが、動画を活用することで理解度が飛躍的に向上しました。
FAQ運用で失敗しないための重要ポイント
これまでの経験から、FAQ運用で失敗しないための重要なポイントをお伝えします。これらを意識することで、導入効果を最大化できます。
ユーザー目線での設計を最優先にする
FAQを作る際に最も重要なのは、常にユーザー目線で考えることです。社内の都合や組織構造ではなく、お客様がどんな言葉を使い、どんな流れで情報を探すかを基準に設計していきます。
ユーザー目線設計のチェックポイント:
- カテゴリ名はお客様が理解できる言葉か
- 検索時に使われる自然な表現に対応しているか
- 手順説明は専門知識がなくても理解できるか
- モバイルでも使いやすい設計になっているか
私は必ず、実際のお客様にFAQを使ってもらうユーザーテストを実施します。社内で「わかりやすい」と思っても、実際のユーザーには伝わらないケースが多いからです。
データに基づいた継続的な改善サイクルを構築する
FAQの効果を持続させるためには、感覚ではなくデータに基づいた改善が必要です。定期的にデータを分析し、問題点を特定して改善につなげる仕組みを作りましょう。
重要な測定指標
指標 | 目的 | 改善アクション |
---|---|---|
検索ヒット率 | 検索精度の把握 | 同意語辞書の更新 |
記事評価スコア | 記事品質の測定 | 低評価記事の改善 |
自己解決率 | 全体効果の測定 | 導線とコンテンツの最適化 |
問い合わせ削減率 | ビジネス成果の測定 | 予防的FAQ作成 |
データ分析で大切なのは、数値だけでなく「なぜその結果になったのか」を考えることです。例えば、特定の記事の評価が低い場合、内容が分かりにくいのか、そもそも間違った記事に誘導されているのかを詳しく調べる必要があります。
組織全体での取り組みとして位置づける
FAQ運用を成功させるためには、特定の部署だけでなく、組織全体での取り組みとして位置づけることが重要です。
効果的な組織連携の例
- 新商品・サービス開発時のFAQ作成ルール
- カスタマーサポート部門からの改善提案制度
- 営業部門からの顧客課題共有
- 経営層によるFAQ成果の定期レビュー
私が支援した企業の中でも、経営層がFAQの重要性を理解し、全社的な取り組みとして推進している企業ほど、大きな成果を上げています。FAQ運用は単なるツールの問題ではなく、組織的な取り組みなのです。
よくあるご質問
Q1: 既存のFAQシステムがありますが、新しいシステムに変更すべきでしょうか?
A1: まずは現在のシステムで改善できる部分から取り組むことをお勧めします。記事の品質向上や情報整理は、システムを変更しなくても可能です。ただし、検索機能や分析機能に明らかな不足がある場合は、システム変更も検討の価値があります。重要なのは、システムありきではなく、ユーザーの課題解決を最優先に考えることです。
Q2: FAQの効果が出るまでにどのくらいの期間が必要ですか?
A2: 適切な改善を行えば、通常1〜3ヶ月で効果を実感できます。ただし、記事数やユーザー数、改善の規模によって差があります。最初の1ヶ月で検索精度と導線を改善し、2〜3ヶ月目で記事品質の向上と運用体制の整備を行うのが効果的なスケジュールです。重要なのは、小さな改善から始めて段階的に効果を積み上げることです。
Q3: 社内にFAQ運用の専任担当者がいないのですが、運用は可能でしょうか?
A3: 兼任でも十分に運用可能です。重要なのは、週に数時間でも継続的に改善に取り組むことです。最初は月次でのデータ確認と記事更新から始め、慣れてきたら週次での改善サイクルに移行することをお勧めします。また、複数部署で分担することで、負担を軽減しながら効果的な運用を実現できます。
Q4: スマートフォンでの利用を考慮する必要はありますか?
A4: 絶対に必要です。多くのサービスでスマートフォンからのアクセスが50%以上を占めています。スマートフォンでの検索しやすさ、記事の読みやすさ、操作のしやすさは、FAQ成功の重要な要素です。レスポンシブデザインへの対応や、タップしやすいボタン設計など、モバイルファーストの視点で設計することが大切です。
Q5: AIチャットボットとFAQサイトはどちらが効果的ですか?
A5: 用途によって使い分けるのが最も効果的です。FAQサイトは情報を一覧で確認でき、複雑な手順説明にも適しています。一方、チャットボットは簡単な質問への即答や、適切なFAQ記事への誘導に優れています。両方を組み合わせることで、より幅広いユーザーニーズに対応できます。予算や運用体制を考慮して、段階的に導入することをお勧めします。
ヘルプドッグなら「使われるFAQ」を簡単に実現
これまでFAQが使われない問題と対策についてお話ししてきましたが、正直なところ、これらの改善を自社で一から実施するのは簡単ではありません。
そこで私たちがお勧めしているのが、セルフサポートシステム「ヘルプドッグ」です。
ヘルプドッグの特徴は、「見つかる・伝わる」を重視した設計です。先回りスマート検索機能により、お客様が入力した語句が多少違っても的確な答えを返せますし、検索が苦手な方でも迷わず自己解決できるサイト構造を簡単に構築できます。
特に私がお勧めしたいのは、AIによる改善支援機能です。「どんな検索が失敗しているか」「どの記事が役立っていないか」がすぐにわかるため、継続的な改善を効率的に進められます。
また、ノーコードで誰でも記事作成・更新ができるため、専門知識がなくても日々の運用を負担なく継続できます。月額39,800円から導入でき、24時間365日稼働で1時間あたりわずか55円という圧倒的なコストパフォーマンスも魅力です。
私自身、多くの企業のFAQ改善をお手伝いしてきましたが、ヘルプドッグを導入された企業では、従来の課題が驚くほどスムーズに解決されています。もしFAQ運用でお困りでしたら、ぜひ一度ご相談ください。

まとめ
いかがでしたでしょうか。
FAQシステムが使われない問題は、決して珍しいことではありません。私も数多くの企業で同じような課題に直面してきました。でも、適切な改善策を段階的に実施すれば、必ず効果を実感できるようになります。
大切なのは、「FAQは作って終わり」ではなく、「育てていくもの」だと考えることです。お客様の声に耳を傾け、データに基づいて継続的に改善していけば、FAQは必ず強力なサポートツールになってくれます。
私自身、「使われないFAQ」から「頼られるFAQ」への変化を何度も目の当たりにしてきました。最初は小さな改善から始めても、積み重ねることで大きな成果につながります。
もしFAQ運用でお困りのことがあれば、一人で悩まずにお気軽にご相談ください。一緒に「お客様に愛されるFAQ」を作っていきましょう!
筆者:広瀬ナツコ
セルフサポートシステム「ヘルプドッグ」専任コンサルタント。カスタマーサポート業界で12年の実務経験を積み、FAQ設計からナレッジマネジメント、AIを活用した効率化まで幅広く支援。これまでEC、通信、金融、製造業など多業界で「使われないFAQ」を「頼られるFAQ」に変革。現場の生の声を大切にし、データと感情の両面から改善アプローチを提案することで、問い合わせ削減と顧客満足度向上の両立を実現している。「技術と人の心をつなぐFAQ設計」をモットーに、企業のサポート戦略パートナーとして伴走中。