「社内の活気を高めたい」「社員同士のコミュニケーションを活発にしたい」と考える経営者は多いでしょう。
社内の活気やコミュニケーションを向上させる手段は多数ありますが、その中のひとつに社内ブログがあります。社内ブログはブログならではの手軽さで、会社と社員に多くのメリットをもたらします。
そこで今回は、社内ブログについて、導入メリットやポイント、実例など詳しくご紹介しましょう。
社内ブログとは
社内ブログとは、社内だけで閲覧・共有されるブログのことです。一般的なブログのように不特定多数の人に向けたものではなく、自社社員だけに向けて作成されます。
社内ブログのルールは企業によって異なりますが、多くの場合、広報担当者だけでなく、管理職を含めたあらゆる社員がブログの文章を書いたり、アクションを示して参加したりできるようになっています。
また、ビジネスに関する情報に限らず、プライベートな内容を記載したり、アンケートのように質問を投げかけて回答を募集したりと、その内容も多岐に渡ります。
社内ブログの運用には、情報共有やコミュニケーションの活性化など多くの効果が期待できます。社員たちが楽しみながら利用できるブログというツールの性質により、その効果はより大きなものになるでしょう。
また、社内ブログと同様の目的や使い方により、社内SNSを利用するケースも見られます。
社内ブログのメリット
社内ブログは、うまく運用することで多くのメリットを得られる経営手段です。
ここでは、社内ブログに期待できるメリットを6つご紹介しましょう。
メリット1 迅速な情報共有
社内ブログでは、伝えたい情報を速やかに社員全員に伝えることができます。
書類を回覧したり配ったりするような紙ベースの情報共有では印刷や配布に手間がかかり、ブログのような迅速な情報共有はできないでしょう。
また、ブログという形式はカジュアルなものであるため、情報を記事にするのにあまり時間をかける必要がありません。この点も、情報共有の迅速さに繋がります。
さらに、一方通行になるメールと違い、社内ブログにはコメントやいいねのようなアクションを返せる形式が多く見られます。これは、情報がきちんと伝わっているのか判断するツールとなり、情報の一方通行を防ぎます。
メリット2 あらゆる立場から情報を発信できる
ホームページや、マニュアル、掲示板、社内報などの内容は、どうしても「経営者から社員へ」というトップダウンの情報に偏りやすくなります。どちらかといえば、フォーマルで堅苦しい印象の記事が多いでしょう。
しかし、社内ブログの特徴はそのカジュアルさにあります。ブログはカジュアルなツールであるため、気軽に主体的な利用を行いやすく、社員からの情報発信を期待できるのです。
トップダウンだけでなく、ボトムアップの情報も共有できれば、それは企業をより良くするアイディアへと繋がるでしょう。
メリット3 企業方針や理念の共有
社内ブログは、企業方針や企業理念の社内共有にも効果的です。企業方針や理念は実務に直結せず、意識されないことも多いですが、社内ブログで企業方針や理念について定期的な発信を行えば、その内容を社員に根付かせることができます。
ブログの気軽さを生かして、具体例を含めた形で方針や理念を示すことができれば、社員も会社の方針と同じ方向を向いて、成長していけるでしょう。
メリット4 社内コミュニケーションの活性化
社内コミュニケーションの活性化は、社内ブログのメインとなるメリットです。
そもそも、ブログは書き手と読み手が意見交流を図るツールです。コミュニケーションが必要なければ、メールような一方通行の発信でも問題はないでしょう。
しかし、ブログを通して社員同士がコミュニケーションを取れるようになれば、社員間の関係性が構築されたりモチベーションが向上したり、アイディアの発案が活発になったりといった効果が期待できます。社員の成長、そして企業の成長のためにも社内コミュニケーションは重要であり、そのために社内ブログは役立つのです。
また、社内SNSにも同様の効果が期待できるでしょう。
メリット5 エンゲージメントの向上
社内ブログは、ただビジネスとして情報収集するためでなく、社員が楽しみながら利用できるようにするのが基本です。実務的な情報に限らず、日常の出来事やちょっとした豆知識など、読み物として楽しめるブログが運用されるようになれば、社員同士の絆は深まり、会社に関する知識も自然と増えていくでしょう。
これらは、社員の会社に対するエンゲージメント(愛着)向上に結びつきます。エンゲージメントが高まれば、社員のモチベーションは向上し、離職率も減少する可能性があります。
メリット6 顧客満足度の向上
社内ブログは、社員や会社だけでなく、顧客にもメリットをもたらします。ボトムアップで提供される現場の情報には、顧客のニーズが反映される可能性が高いためです。
ブログによって顧客のニーズを会社全体が把握し、ニーズに対する発案が行われていけば、やがて顧客ニーズにマッチした製品やサービスが生み出されるでしょう。すると顧客満足度は向上し、企業評価が高まります。
社内ブログを導入する際のコツ
社内ブログは、ただ導入しただけでは前述のようなメリットを得られません。ここからは、社内ブログ導入・運用にあたってのコツを4点ご紹介しましょう。
コツ1 社内ブログ導入の目的を明確にする
社内ブログ導入の前には、まず社内ブログを導入する目的を明確にしておくことが大切です。目的が曖昧なまま導入・運用をスタートさせてしまっては、期待していた効果が得られなかったり、何のためにブログを運用しているのかあやふやになったりしてしまう恐れがあります。
「何のために」社内ブログを導入し、「誰に」「どのような形で」運用してもらうのか、明確なビジョンと目的を持っておきましょう。
コツ2 社内ブログ導入に関して社員の理解を得る
社内ブログの導入は、社員にとっては実務の増加です。煩わしく思ったり自ら主体となった発信が苦手だったりする社員もいるでしょう。
社内全体で情報共有しコミュニケーションを取るには、社員全員に社内ブログの導入と運用を理解してもらわねばなりません。そのためには、目的や効果、社員に求めることをきちんと事前に説明し、理解を得た上でのブログ導入を目指しましょう。研修やセミナーなど、説明の場を設けるのも良いでしょう。
コツ3 きちんとしたルールを整備する
ブログは、使い方を誤れば、炎上したり使われなくなったりと、秩序を保つのが困難になる可能性があるツールです。よって、運用前にはきちんとしたルールを整備し、社員に周知しておくことが大切です。
基本の使い方や投稿者の順番、禁止事項など、細かなルールを定め、その内容を導入前に社員へ発信するようにしましょう。
また、ルールはいつでも確認できるようにしておきましょう。
コツ4 操作性に優れた専用ツールを導入する
社内ブログ導入の際には、一から自社でブログシステムを立ち上げるよりも、既存のブログツールを利用する方がスムーズです。ブログツールはさまざまな企業からリリースされており、ブログの投稿や管理などが比較的簡単にできるようになっています。専用ツールだけに、セキュリティもしっかりとしているものが多いでしょう。
ただし、操作性はそれぞれのツールによって異なります。ブログでやりたいことやブログを扱う人によっても、求める操作性は違ってくるでしょう。
既存ツールを利用する場合には、機能やコストだけでなく操作性にも着目し、社員が使いやすいツールを選定することが重要です。
社内ブログを導入している企業事例
社内ブログを導入している企業は多いですが、ここでは成功事例を2社挙げ、その内容をご紹介します。
株式会社ファーストリテイリング
ユニクロを運営するファーストリテイリングでは、約15年前から社内ブログを運用しています。
店舗数が多いユニクロでは、店舗からの情報や意見を吸い寄せる手段を模索しており、それにブログが活用されたました。基本の形式は、本部から質問事項を発信し、それに対して全店の店長や店員が回答するという形です。
これにより、現場の情報や意見が把握できるようになりました。また陳列方法やポップの使用方法などの共有も行えるようになり、現場からのアドバイスによりチラシの精度も上がりました。
ミニストップ株式会社
イオン系列のコンビニ大手ミニストップも、当時の業務改革の一環として、10年以上前から企業ブログを導入しています。
ミニストップでは、人材確保やノウハウの共有などといったテーマごとに社員が議論を交わす会合が開催されています。しかし、店舗は全国にあり、すべての従業員が会合に参加することはできません。
そこで、ブログが活用されました。会合の議事録はブログで発信され、全国の従業員が閲覧できるようにしました。
また、議事録だけではブログのカジュアルさを生かせないと、社員のプライベートブログも同ブログに掲載し、参加のハードルを下げています。
これにより迅速な情報共有と、離れた場所で働く従業員同士の絆が生まれ、これらは実務にも社内の雰囲気向上にも役立っています。
社内ブログにおすすめのツール
toaster teamトースターチーム
トースターチームは、業務の見える化を通じて、業務効率や生産性の向上、人材の即戦力化を実現するAIマニュアル作成管理ツールです。マニュアルや動画マニュアル、用語集など、業務に必要なノウハウと知識、経験をひとつにまとめて活用することができます。
【料金プラン】
月額料金 35,000円〜
Talknote
Talknote は、コミュニケーションを活性化させ、組織文化の醸成や浸透を行うことに特化した社内掲示板ツールです。
売上報告や日報、クレームなど様々な内容をテーマごとにコミュニケーションとして集約し、その内容を善し悪しの基準としていくことで価値観を共有して、全従業員が同じ価値観で行動することができるような仕組みとなっています。
チャット機能に「いいね!」やスタンプの機能が備わっているため、自分が発した内容の評価がわかりやすく、表現しにくいニュアンスもスタンプで伝えることができるなど、コミュニケーションがとりやすいだけでなくモチベーション向上にも繋がります。
【料金プラン】
初期費用+基本プラン+オプション
契約内容によって費用が異なるため要問い合わせとなっています。
Yammer
Yammer は、Microsoft社が運営する社内限定の社内掲示板ツールです。
対話集会や社内会議、トレーニングなどを簡単に作成して実施できます。
「一対多」のコミュニケーションを得意とするツールとなっており、大勢に一気に情報を伝えることができます。また、必要な情報を探しやすい良さがあります。
チャットのようにスピード感を持って伝達する能力は低いですが、固定的な情報や全社に対する情報提供などにおすすめです。
また、Microsoft社の高いセキュリティが利用できることも大きなポイントとなるでしょう。
【料金プラン】
Yammerは単体でのプラン提供は終了しています。
利用する場合はMicrosoft Office365に契約して、機能として含む形となります。
Yammerの一人あたりの料金プランは下記の通りです(全て年間契約)。
・Office 365 E1:870円/月
・Office 365 E3:2,170円/月
・Office 365 E5:3,810円/月
Talknote
Talknoteは社内の様々な情報を共有・蓄積できる社内掲示板ツールです。従業員が「ノート」と呼ばれるページを作成し、投稿された「ノート」はタイムライン形式やカテゴリ別に閲覧できます。単なる情報共有だけでなく、Talknote上でのコミュニケーションを数値化し組織のコンディションをスコア化する機能も搭載されています。
料金体系は初期費用に加えて月額サービス利用料とオプションとなっています。また、14日間の無料トライアルも提供されています。
LINE WORKS
LINE WORKSはLINEが提供するビジネス用のチャットツールです。社内外とのチャットだけでなく、掲示板機能を使って社内への情報共有も可能です。掲示板の閲覧・編集権限を柔軟に設定できるため、情報レベルに合わせて情報を共有できます。見逃しを防ぐためのプッシュ通知や必読設定などの機能も備わっているため、掲示板にありがちな確認の抜け漏れを防止できるのも嬉しいポイントです。
料金は2つの有料プランと無料プランが提供されています。
【LINE WORKSの料金プラン】
・フリー:¥0
ユーザー数100人まで、ストレージ5GB
・スタンダード:¥540 / 月 / ユーザー(年額契約の場合¥450 / 月 / ユーザー)
ユーザー数無制限、ストレージ1TB
・アドバンスト:¥960 / 月 / ユーザー(年額契約の場合¥800 / 月 / ユーザー)
ユーザー数無制限、ストレージ100TB
rakumo ボード
rakumo ボードはGoogle サイトを社内掲示板・ポータル化できるサービスです。掲示板機能では、様々な情報を投稿し、部署やグループなどに分けて表示できます。回覧機能を使えば、確認期限の設定やリマインドメールの送付ができるため、より確実に情報の共有や周知が可能です。
rakumo ボードはGoogle サイトを利用するため、利用にはGoogle Workspaceの契約が必要となります。料金はrakumoボードのみのプランと、その他のrakumo シリーズのサービスがセットになった2プランが提供されています。
【rakumo ボードの料金プラン】
・rakumo ボード:¥150 / 月 / ユーザー
rakumoボードのみ利用可能
・rakumo Basicパック:¥390 / 月 / ユーザー
rakumo シリーズの情報共有系サービスが利用可能
・rakumo Suiteパック:¥780 / 月 / ユーザー
rakumo シリーズ全製品を利用可能

WaWaOffice
WaWaOfficeは企業内LANを利用したグループウェアです。掲示板機能が搭載されているため、社内掲示板ツールとして利用可能です。柔軟なアクセス権の設定が可能なため、重要な情報は特定のグループのみに共有する、といった使い方ができます。
WaWaOfficeはその他にもオプションとして営業日報やタイムカード、Web社内報などのサービスが提供されており、WaWaOfficeと連携することで、社内の情報共有をさらにスムーズにできます。
料金は1IDごとの料金と月額基本料金が発生します。また、14日間の無料トライアルも提供されています。
【WaWaOfficeの料金プラン】
・月額料金:¥400 / 月 / ユーザー
・基本料金:¥2,500 / 月

desknet’s NEO
desknet’s NEOはスケジュール管理やワークフローなど業務効率化を図るための様々な機能が備わった国産グループウェアです。社内掲示板の機能も搭載されており、全社宛てや部署をまたいだグループメンバー宛てなど、さまざまな分類で情報を掲載・共有できます。
承認機能も備わっているため、通達や告知を作成した後にシステム内で上長などに承認を取ってから掲載することも可能です。
料金はクラウド版と2つのオンプレミス版のプランが提供されています。また、無料トライアルも利用可能です。
【desknet’s NEOの料金プラン】
・クラウド版:¥400 / 月 / ユーザー
27種類の標準アプリケーションが利用可能
・スモールライセンス:¥39,800 / 5ユーザー〜
27種類の標準アプリケーションが利用可能、300名までのオンプレミス導入向けライセンス
・エンタープライズライセンス:¥500,000〜
27種類の標準アプリケーションが利用可能、300〜数万名までのオンプレミス導入向けライセンス

GroupSession
GroupSessionは無料で利用できるグループウェアです。掲示板機能では、様々なテーマで掲示板を作成することができるため、全社だけでなく個別のグループごとでの情報共有も可能です。投稿した内容は検索することもできるため、情報共有だけでなく、ナレッジの蓄積にもつながります。
GroupSessionは無料プランと2つの有料プランが提供されています。
【GroupSessionの料金プラン】
・GroupSession:無料
ユーザー数無制限
・GroupSession byCloud:¥300 / 月 / ユーザー
ユーザー数5〜300、データ容量2GB / ユーザー
・GroupSession ZION:要問合せ
ユーザー数300〜

iQube
iQubeは株式会社ガイアックスが提供するクラウド型のグループウェアです。社内のノウハウ蓄積に特化した機能が備わっており、業務の属人化を防ぐことができます。掲示板機能では1つの議題に対して複数のコメントを投稿できるため、業務上のディスカッションを促進できます。さらに議題はタグ付けや検索ができるため、過去の議論の内容を確認することもできます。
料金は3ヶ月まで利用できる無料プランと3つの有料プランが利用できます。
【iQubeの料金プラン】
・エントリープラン:無料
最長3ヶ月まで利用可、ストレージ30MB / 全体、人数10IDまで
・テレワークプラン:¥330 / 月 / ユーザー(年額契約の場合¥275 / 月 / ユーザー)
ワークフロー機能など、テレワーク推進で重要となる機能に絞ったプラン
・スタンダードプラン:¥440 / 月 / ユーザー(年額契約の場合¥400 / 月 / ユーザー)
スケジュール機能を重点的に利用するのに適したプラン
・プレミアムプラン:¥770 / 月 / ユーザー(年額契約の場合¥550 / 月 / ユーザー)
全機能を利用可能
NI Collabo360
NI Collabo360は電子稟議や経費精算など、社内の業務効率化を実現するグループウェアです。回覧板やナレッジ・コラボレーション機能を使うことで社内掲示板としても利用が可能です。回覧板機能では、システム内で従業員向けの情報共有が可能です。過去に作成した回覧板を参照できるなど、情報共有の手間を削減できます。ナレッジ・コラボレーション機能ではオンライン上で意見交換ができるバーチャル会議室を作成できます。時間や場所を問わず意見交換ができるため、社内のディスカッションを促進できます。
料金はクラウド版とパッケージ版の2つが提供されています。また、導入前に利用できる30日間の無料トライアルも用意されています。
【NI Collabo360の料金プラン】
・クラウド版:¥360〜 / 月 / ユーザー
サーバーを持たない月額課金制
・パッケージ版:¥58,000〜 / 10ユーザー〜
社内サーバーやレンタルサーバーにインストールして使う買い切り型
NotePM
NotePMは「社内版ウィキペディア」として、社員が情報を書き込み、蓄積し、それらを編集・検索・閲覧することで社内の知りたいことを簡単に確認することができる社内掲示板ツールです。
書き込みの内容は社内マニュアルや業務ノウハウ、製品設計書など様々です。
文書作成や情報整理が簡単で、社外メンバーとも連携をとれるなど使いやすく柔軟な対応が特徴となっています。
【料金プラン】
•スターター 3ユーザー:1,000円/月
• ベーシック 8ユーザー:3,600円/月
• スタンダード 15ユーザー:5,700円/月
• プラス 25ユーザー:9,500円/月
•プロ 50ユーザー:17,500円/月
• プレミアム 100ユーザー:30,000円/月
登録は1分でできるほど簡単で、30日間無料のお試し期間が設けられています。

まとめ
社内ブログは、他の手段にはないカジュアルさで、社員と企業の絆を強めます。社員の理解を得られたなら、企業としてチャレンジしてみると良いでしょう。
また、ブログ作成ツールにはさまざまな種類がありますが、ブログだけを作成するツールではなく、情報共有ツールをブログ用に利用するのもおすすめです。
情報共有ツールは、個々の社員が持つノウハウを共有するのに便利なツールで、マニュアル作成やファイル共有、チャットなどの幅広い機能を搭載しています。ノート機能を用いてブログ型の発信を行えば、情報共有ツール内で社内ブログを運用することも可能でしょう。
社内で使用するツールは、多くなると管理が難しくなります。ブログ運用とともに効率的なナレッジ共有を検討している場合には、これらを情報共有ツールで一本化するのも手でしょう。