3分でわかるISOの基礎知識|特徴や種類、メリットを解説

ISOによる製品やサービスの国際標準化は、企業の信頼性や競争力を高めるために非常に有効です。国際的な取引をより有利にするために、多くの企業が製品やサービスに関するISOを取得しています。しかし、ISOの対象となるのは製品やサービスだけではありません。近年では、マネジメントシステムに関するISOも注目されており、各企業が規格に基づいたシステム構築を目指しています。

では、このマネジメントシステムのISOとはどのようなものなのでしょうか。まず、そもそもISOとは何を指し、どのようなメリットがあるのでしょうか。今回は、ISOとマネジメントシステムについて詳しく見ていきましょう。

目次

ISOとは

まず、ISOとはどのようなものかを押さえておきましょう。

ISOは国際規格を作成する国際組織

ISOは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)を指します。スイスのジュネーヴに本部を置く非政府組織であり、160ヵ国以上が加盟しています。各国を代表する標準化機関で構成されるこの機構は、さまざまな産業分野での国際規格を作成・審査し、「国際標準化」を推進しています。

国際標準(国際規格)・国際標準化とその重要性

国際標準(国際規格)は、製品に関する国際的な基準や取り決めを指します。これを満たすことで、世界中で同じ品質・レベルの製品やサービスの提供が可能となります。

国際市場で製品を取り引きする際には、製品の互換性や消費者利益の保証が必要です。国によって製品のサイズや安全性が異なる場合、互換性がなく、消費者利益が損なわれる可能性があります。こうした保証がなければ、国際市場での取引はスムーズに進みません。

そこで、国際標準(国際規格)が活用されます。製品の品質、性能、サイズ、安全性、試験方法などが定められ、国際取引の円滑化や新技術・新製品の国際的普及において重要な役割を果たしています。

ISO規格の対象は「製品」と「マネジメントシステム」

ISO規格とは、ISOによって定められた国際規格を指します。ISO規格は「製品」と「マネジメントシステム」の大きく2つに分けられます。

製品を対象としたISO規格の例

  • ネジ
  • クレジットカードのサイズ
  • 非常口のマーク

マネジメントシステムを対象としたISO規格の例

  • 品質マネジメントシステム
  • 環境マネジメントシステム
  • 食品安全マネジメント

製品を対象としたISO規格は「モノ規格」と呼ばれ、製品の仕様や品質を詳細に定めています。これにより、どの国でも同じ仕様・品質の製品を売買し、使用することが可能となります。

一方、マネジメントシステムを対象としたISO規格は、「モノ」ではなく「仕組み」を規格化したものです。このマネジメントシステムについては、次章で詳しく説明します。

なお、ISOとは国際標準化機構そのものを指す略語ですが、同時にISOが定めた国際規格そのものを指すこともあります。また、ISO規格の認定には審査が必要で、審査をクリアした場合には登録証が授与され、ISO規格の認定が行われます。

マネジメントシステムとは

マネジメントシステムの基本

前章では、ISO規格の対象には「モノ」と「マネジメントシステム」があることを説明しました。では、この「マネジメントシステム」とは何でしょうか?

マネジメントシステムとは

マネジメントシステムとは、組織を目標達成に向けて動かすための管理システム(仕組み)のことを指します。組織運営の規定やルール、手順などを体系化したものです。

「マネジメント」とは「管理」を意味します。つまり、マネジメントシステムとは、組織を管理するためのシステムです。組織を効率的に運営し、目標を達成するためには、従業員やその仕事を管理する必要があります。管理がなければ、組織の活動は統制できず、仕事の質も低下してしまいます。

そこで、マネジメントシステムが必要となります。マネジメントシステムは、目標達成に向けて組織を運営・管理するための規定やルール、手順、責任・権限を体系化したもので、組織を効果的に動かすための「仕組み」です。

この「仕組み」を国際標準化し、ISOが規格として定めたものが「ISOマネジメント規格」です。「モノ」ではなく「仕組み」にも国際規格を設け、それに従って各企業がマネジメントシステムを構築することで、製品やサービスの生産過程における効率化や品質向上が期待できます。これにより、企業の信頼性や競争力が向上します。

主なISOマネジメントシステムの特徴

ISOマネジメントシステムには、幅広い分野があり、さまざまな種類があります。ここでは、代表的な11種類のマネジメントシステムを挙げ、それぞれの特徴を表で紹介します。

マネジメントシステムの種類 マネジメントシステムの概要 マネジメントシステムの狙い
ISO9001(品質マネジメントシステム) 一貫した質の製品やサービスの提供を行い、顧客満足度を向上させるためのマネジメントシステム。
100万以上の組織が導入しており、全世界でもっとも普及している。
一貫した製品・サービスの提供
顧客満足の向上
(https://www.jqa.jp/service_list/management/service/iso9001/)
ISO14001(環境マネジメントシステム) 環境負荷を削減するためのマネジメントシステム。
経済的ニーズと環境パフォーマンスを両立しながら環境を保護する仕組み。
環境パフォーマンスの向上
順守義務を満たすこと
環境目標の達成
(https://www.jqa.jp/service_list/management/service/iso14001/)
ISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム) 情報資産の保護・活用のためのマネジメントシステム。
情報のマネジメントによりリスクを低減し、有効活用するための仕組み。
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の確立・実施・維持・継続的な改善
情報セキュリティのリスクアセスメントおよびリスク対応
(https://www.jqa.jp/service_list/management/service/iso27001/)
ISO22000(食品安全マネジメントシステム) 食品の安全管理を実施するためのマネジメントシステム。
安全でリスクのないフードサプライチェーンを目指す。HACCPの食品衛生管理手法を基にしている。
消費者に安全な食品を提供するマネジメントシステムの確立
(https://www.jqa.jp/service_list/management/service/iso22000/)
ISO13485(医療機器-品質マネジメントシステム) 医療機器製品・サービスの規制対応、リスク低減のためのマネジメントシステム。
世界の医療機器の品質管理における規制のベースとなっている。
医療機器の顧客要求事項や規制要求事項を満たす製品・サービスの提供
(https://www.jqa.jp/service_list/management/service/iso13485/)
ISO45001(労働安全マネジメントシステム) リスクを除去・低減し、安全で健康に働くことができる労働環境を整備するためのマネジメントシステム。
国内には労働安全衛生に関する多くの規格があるが、その中でもISO45001は初の国際規格という点で注目されている。
労働安全衛生パフォーマンスの向上
労働に関する負傷や疾病の防止
安全で健康的な職場提供
(https://www.jqa.jp/service_list/management/service/ohsas/)
ISO20000(ITサービスマネジメントシステム) 一貫した質のITサービスの提供を行い、顧客満足度を向上させるためのマネジメントシステム。
サービスの内容やリスクの明確化、継続的な管理や改善、効率性などを実現する仕組み。
ITSMS(ITサービスマネジメントシステム)の確立・実施・維持・継続的な改善
(https://www.jqa.jp/service_list/management/service/iso20000/)
ISO39001(道路交通安全マネジメントシステム) 道路交通安全のためのマネジメントシステム。
交通事故による死傷者を減らすという企業の交通安全に対する姿勢を示し、顧客信頼度向上を目指す。
交通事故減少によるコスト削減
企業イメージの向上
ビジネス機会の損失低減
従業員満足度の向上
(https://www.jqa.jp/service_list/management/service/iso39001/)
ISO55001(アセットマネジメントシステム) ライフスタイルを通じて、組織の持つ資産の最大限の可用性や収益性を確保するためのマネジメントシステム。 資産管理体制の構築、実施、維持、改善
資産管理に必要な情報の収集・管理のプロセスの確立
(https://www.jab.or.jp/iso/iso_55001/)
ISO50001(エネルギーマネジメントシステム) 組織のエネルギーパフォーマンスを可視化して把握・改善し、省エネルギーによるコスト削減を実現するためのマネジメントシステム。 エネルギーパフォーマンス把握・改善による省エネルギー
(https://www.jqa.jp/service_list/management/service/iso50001/)
ISO22301(事業継続マネジメントシステム) 事業継続を脅かす潜在的な脅威から事業を守り、効果的な対策を行うためのマネジメントシステム。
自然災害やシステムトラブル、停電などが起こった際に、速やかな復旧・再開を目指す。
事業の脅威に対する組織的な対応策の構築と運用
BCMS(事業継続マネジメントシステム)の有効性の評価
継続的な改善
(https://www.jqa.jp/service_list/management/service/iso22301/)

まとめ

ISOマネジメントシステムの構築は、顧客からの信頼性を高めるだけでなく、業務の生産性をも向上させます。企業の競争力アップを図るなら、ISOマネジメントシステムの取得を検討するのもひとつの方法でしょう。

また、代表的なISOマネジメントシステムであるISO9001では、文書管理についても規定されています。この文書管理では各文書の要件や適切な保管について事細かに定められていますが、その内容を実践するためにはツールの活用が有効です。ツールを利用することにより、文書管理はより正確で簡単になるでしょう。

このように、ISOマネジメントシステムの取得においては必要に応じてツールを活用し、効率的な運用を目指すと良いでしょう。

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