営業業務には、無駄が生じやすい傾向があります。外出先で空白時間ができたり、アプローチを重ねても失注する可能性があったりするためです。営業業務の効率を上げるには、無駄に対する対策を行い、業務を見直す必要があります。
そこで今回は、営業業務の効率をアップさせるための対策についてご紹介しましょう。
営業業務を効率化する3つの対策
営業業務を効率化するには、以下の3つの対策が効果的です。
②工数削減
③移動・待ち時間の無駄を省く
これらの点を意識することで、営業効率は大きく変わります。
ここでは各対策について、順に解説していきましょう。
【対策①】1件あたりの精度を上げる
営業案件1件あたりの精度が低ければ、成約にいたる確率が下がり、業務効率は落ちてしまいます。案件ごとの精度を上げるには、準備やアプローチに時間や労力をかけなければなりません。しかし、精度が上がれば成約率も上がるため、結果として営業業務の効率を上げることができます。
【対策②】工数削減
工数が多いほど、業務には時間がかかります。業務を見直し、業務を削減したり外注したりと工数を削減する努力をすることで、全体の業務は効率化できます。
【対策③】移動・待ち時間の無駄を省く
外回りに出ることが多い営業業務では、どうしても移動時間や待ち時間などの空白時間が生じます。移動時間や待ち時間に何もしないでいることは、大きな無駄になります。
業務効率を上げるには、空白時間を生かした業務を考える必要があります。
1件あたりの精度を上げる方法
1件あたりの営業精度を上げるには、計画的に営業活動を行う必要があります。闇雲にアプローチするのではなく、情報や理論に基づいたアプローチを行うことで営業の精度は上がり、業務効率を下げる空振りの割合は削減できます。
1 情報収集の精度を上げる
情報収集は、営業アプローチの方向性を決める重要な作業です。顧客やその競合、業界、市場などあらゆる情報を集めて分析した上で、営業活動を行うようにしましょう。
また、営業の最初のフェーズであるヒアリングの精度を高めることも大切です。ヒアリングで顧客から必要な情報を引き出し把握することで、それぞれの顧客に合ったアプローチが可能になります。
ヒアリングの精度を高めるにも事前の情報収集が重要なので、常にアンテナを張っておくようにしましょう。
2 最適なタイミングでのアプローチ
現在の顧客ニーズは多様化・複雑化しています。ただアプローチを重ねるだけでは、成約を取れる確率は下がってしまいます。
営業精度を上げるには、顧客ごとに適した方法かつ適したタイミングでアプローチすることが大切です。アプローチを最適化することは、成約率アップやスムーズな顧客育成に役立ちます。
アプローチの最適化には、次章で紹介するようなITツールが役立ちます。
3 フレームワークを用いた営業トーク
営業トークには、技術が必要です。既存のフレームワークを用いて営業トークを行えば、それだけでトーク内容が充実し、顧客側の理解も得やすくなります。
営業トークに活用できるフレームワークの例を挙げてみましょう。
・3C分析(情報分析、ヒアリング時)
・BANT条件(ヒアリング時)
・SPIN話法(ヒアリング時)
・PREP法(プレゼン時)
上記のようなフレームワークに沿って営業トークを組み立てることで、トークの内容がわかりやすくなったり話をうまく流れにのせたりすることができます。多様な場面に活用できるので、営業担当者ならば知っておいた方が良いでしょう。
4 サービスコンテンツの充実
Webページの内容を充実させたり資料のダウンロードを可能にしたりと、自社のサービスコンテンツを充実させることも、営業精度向上に繋がります。
サービスコンテンツを充実させることで、顧客はわざわざ問い合わせをしなくても、自分自身である程度の疑問を解決できるためです。これにより、営業担当者が訪問したにも関わらず、まだ商品を検討する段階ではなかった、ニーズと商品が合っていなかったというようなことを防げます。
工数削減の方法
次に、工数を削減するための具体的な方法について見ていきます。
既存ツールやサービスを活用すれば、工数は大幅に削減することが可能です。人手不足が深刻な昨今において、ツールやサービスの導入は必須になっていくでしょう。
また、工数を削減するには、業務の優先順位を決め、やるべき業務を絞り込んでいくことも大切です。まずは無駄な業務をなくし、その後ツールやサービスの導入を検討すると良いでしょう。
1 インサイドセールス・オンラインセールスの導入
電話やメールなどを用いて顧客への営業を行うインサイドセールス、オンラインで商談などを行うオンラインセールスは、通常のセールスに比べ「相手先への訪問」という工数を減らすことができます。さらにコロナ禍においては、顧客に安心感を与えることもできます。
ただし、インサイドセールスやオンラインセールスで顧客と良好な関係を築くのは簡単ではありません。顧客のニーズやタイミングに合った最適なアプローチが求められます。
2 ITツールの活用
あらゆる業務をサポートするITツールは、多くの企業で活用されています。主な例を挙げてみましょう。
・SFA
・CRM
・MA
・セールスイネーブルメントツール
・ビジネスチャット
・グループウェア など
上記のようなツールは、営業活動や顧客の情報をツール上で一元管理したり、マーケティングや情報分析を自動で行ったりと、営業業務を効率化します。顧客情報の追跡や分析によって、行うべきアプローチやそのタイミングも提示するため、確度の高い顧客への接触ができ、成果も出やすくなります。
3 テンプレートの活用
メールや書類、資料などを毎回一から作成していては、業務効率は上がりません。社内で、過去のメールや資料をテンプレートとして整備し、あらゆる場面に活用できるようにしておけば、メールや書類、資料作成の工数は大幅に減り、作成に必要な時間を削減することができます。
4 アウトソーシングの活用
一部の業務をアウトソーシングするというのも、工数削減による効率化のひとつの方法です。データ入力やDMの発送などといったノンコア業務をアウトソーシングすれば、自社社員はコア業務に集中して取り組むことができ、負担も軽減させられます。
アウトソーシングでは、依頼内容の業務に特化した人材が作業を行うため、多様な業務を抱える自社社員が担当するよりも、早く正確にその業務をこなしてもらえるというメリットもあります。
移動・待ち時間の無駄を省く方法
外出を効率的にし、さらに社外でもできる業務を事前に準備しておくことで、移動や待ち時間の無駄は随分減らすことができます。
1 外出のルールづくり
なんとなくのスケジュールで顧客の訪問を行っていると、内勤業務と外勤業務のバランスが取りにくくなります。また、内勤業務と外勤業務両方を行う日が多いと、移動時間や待ち時間もそれだけ多くなってしまいます。
あらかじめ自身で外出のルールを定めておけば、この無駄は減らせます。「外出は水曜日と木曜日」「〇〇エリアは〇日に訪問」など、外出をできるだけまとめるようなスケジュールを立て、実行するようにしましょう。
2 エリアや移動ルートに基づいた顧客管理
エリアや移動ルートに基づいて、顧客の管理を行うことも、移動時間や待ち時間の無駄削減に繋がります。同一エリアの顧客や移動ルート内の顧客をリストとしてまとめ、訪問スケジュールを組むことで、効率的に顧客先を回ることが可能になります。
このリストと、前述した外出ルールを併せることで、業務を非効率化する移動の無駄をなくすことが可能です。
3 業務を移動中にできるものとできないものに分けておく
移動の電車内や商談の合間の空き時間など、外出中にはどうしても待ち時間が発生します。
事前に担当業務を「外でできる業務」と「会社でしかできない業務」に分け、「外でできる業務」を待ち時間や移動中に行えば、待ち時間の無駄は省けます。例えば、メールの確認や作成、資料の確認などは、外での待ち時間でも行えます。
外出中にうまく「外でできる業務」をこなせば、在社時には「会社でしかできない業務」に集中して取り組むことができ、業務効率は上がります。
まとめ
営業業務の効率を上げるには、一人ひとりが業務効率を意識することが大切です。人手不足が深刻になり企業競争も激化する中で、業務効率の向上は企業の重要な課題となっています。ご紹介した3つの面から対策を練り、必要に応じて業務の見直しを行いましょう。
また、営業業務を効率化させるには、営業ツールやセールスイネーブルメントツールなどの営業サポートツールが役立ちます。ツールを活用すれば、営業に関わる業務を総括的に管理し、最適化することが可能です。情報の管理や共有業務は簡単になり、営業アプローチの精度を上げることも可能でしょう。営業業務の効率化を目指すなら、ツールの導入も検討してみてください。