現在、従業員満足度は多くの企業で重要視されています。この記事では、従業員満足度の意味やその構成要素を分かりやすく説明しますので、従業員満足度が向上することで得られるメリットについて理解しましょう。
従業員満足度とは?
従業員満足度は働きがい・働きやすさなどについての社員の満足度を表す指標のことで、英語の名称は「Employee Satisfaction」、略称で「ES」と呼ばれることもあります。日本全体が少子高齢化が進み労働人口が減少している今では人材を確保するという目的もあり、この従業員満足度を重視する企業が増えました。
従業員満足度は仕事へのモチベーションにも直結するため、従業員満足度が高い企業は生産性も高くなり、結果的に顧客満足度を向上させる効果が期待出来ます。ここからは従業員満足度の構成や向上させるメリットについて、より細かく説明していきましょう。
従業員満足度の低さがもたらす悪影響
従業員満足度が低い企業では従業員のモチベーションも低くなり、非常に多くの悪影響が起こります。前向きに業務に取り組めない状態では社内のコミュニケーションも消極的になりやすく、結果的に組織全体の生産性が下がってしまうおそれもあるでしょう。
従業員の不満がさらに溜まれば、転職などによる流出を防ぐことも困難になってしまうのです。重要な人材の流出が続くと、企業の経営に問題が及ぶ場合もあるのです。
従業員満足度を向上させるメリット
先ほど従業員満足度の低下による悪影響について説明いたしましたが、従業員満足度を向上させるメリットについても理解しておきましょう。
顧客満足度が高くなる
従業員満足度が高い企業では、従業員が自社の商品・サービスについて十分な理解をした上で、その魅力をしっかりと顧客に伝えることが出来ます。顧客はその企業を選べば、どの従業員からも満足いくサービスを受けられるため、企業全体に対して非常によいイメージが持てるようになるでしょう。
少し前までは顧客満足度を重視するあまりに従業員満足度を犠牲にする企業もあったのですが、それは結果的によい方向には進みませんし、従業員が疲弊してしまいます。従業員満足度を向上させることが顧客満足度につながるということです。
人材の流出を阻止出来る
企業に対して不満を抱えている従業員は、別の会社に転職してしまう可能性が高くなります。従業員満足度が高い企業では、その企業で長く働きたいと思える環境が整えられているため、優秀な人材が流出してしまうことを阻止出来るのです。
採用活動・人材教育には多くのコストがかかりますので、人材の流出は企業にとって大きな損失につながります。
企業の生産性が向上する
従業員満足度の高い企業の従業員はモチベーションが高く、積極的かつ前向きに業務に取り組めるようになります。社内のコミュニケーションも十分に取れている場合が多いので、業務全体の生産性も向上するのです。
活性化された社内では、日々新しいアイデアや取り組みが行われ、企業は成長を続けられるでしょう。
従業員満足度の構成要素
従業員満足度を構成する要素は、大まかに4種類に分類されます。それぞれの要素を理解しておかなければ従業員満足度の見直しも難しくなってしまいますので、それぞれの構成要素を知りましょう。
1.企業のビジョンに共感している
企業にはそれぞれビジョンがあります。そのビジョンに共感出来ていない従業員は「同じゴールを見ていない」状態になりますので、組織の一員であることに自覚も持ちにくく、目標のない作業に対してのモチベーションを保つことが困難になります。しかし、実際には組織のビジョンが従業員に浸透していない場合も多いです。
まずは従業員全員にに自社のビジョンの説明し、それに対して行うべき行動を共有・共感することを目標としましょう。このアプローチは入社時だけでなく定期的に実施出来るとよいです。
2.職場での人間関係
従業員は基本的に非常に長い時間を会社で過ごしています。そのため、職場での人間関係が険悪なものになると、毎日大きなストレスを感じてしまうのです。さらに一度崩れてしまった人間関係は簡単に直るものではありません。
職場での人間関係は遠くから見ていても問題に気づきにくく、当事者同士も積極的にトラブルの発信はしたがらないことが多いので対策も困難です。トラブルが大きくなってしまう前の段階で何らかの介入か調整が出来るとよいでしょう。
社員同士が関心を持ち合い、柔軟にコミュニケーションが取れる環境が整った企業風土を用意することで、このようなトラブルの発生頻度を抑える効果が期待出来ます。
3.快適な職場環境
仕事がしやすい就業環境、ワークライフバランスが実現する勤務形態、従業員のニーズに応えた福利厚生などが職場環境を快適にする要素の代表例です。また、女性比率の多い職場では、職場環境がより重要視される傾向があるようです。
現在は福利厚生サービスのアウトソーシングも一般的になっており、そのサービスの種類も多岐にわたります。アウトソーシングを利用すれば、充実した福利厚生を備えておきながらコストの削減・担当者の業務効率化が可能でしょう。
4.組織のマネジメントに納得している
所属している企業のマネジメントに納得出来ているかどうかも従業員満足度に直結します。自分をマネジメントする上司を信頼し、上司の判断に納得が出来ているかということです。
上司に不信感があるまたは上司のマネジメントスキルが不足している状態の組織では「何を頑張っても正当に評価されない」と感じられてしまいますし、間違ったマネジメントのせいで業務が非効率な状態に陥ってしまうでしょう。
従業員の承認欲求を満たしながら、的確な指示・人員配置が可能な人間をマネジメント側に配置する、またはそのように教育しなければ、組織のマネジメントに納得してもらうことは出来ません。
従業員満足度調査の調査項目
多くの企業では、いくつかの項目を元に従業員満足度を調査していますが、その項目は企業の選択した調査方法によって変わります。ここではその項目の具体的な例を紹介しますので、従業員満足度調査の調査項目を考える時の参考にしてください。
【仕事満足度】
・自分に適している業務内容・仕事量が用意されているか
・業務を通じて自分が得られるスキルや成長感があるか
・自分自身の将来のイメージが出来る環境か
【職場満足度】
・働きやすい職場環境が整っているか
・清潔で安全な環境で仕事が出来ているか
【上司満足度】
・上司に必要なマネジメントスキルが備わっているか
・自分が上司から正当な評価を得られているか
・上司とコミュニケーションが取れているか
【会社風土満足度】
・社内規定やマナーが順守されているか
・セクハラ・モラハラ・パワハラなどが存在していないか
【待遇満足度】
・労働に見合った給与が得られているか
・サービス残業や休日出勤がないか
【福利厚生満足度】
・多くの勤務形態が用意されているか
・退職金や年金制度が整っているか
・その他魅力のある福利厚生が整っているか
【経営満足度】
・会社のビジョンを理解出来ているか
・会社のビジョンに共感出来ているか
まとめ
従業員満足度の意味や構成などについて説明いたしました。従業員満足度は改善の努力を始めたとしても、すぐに効果が得られるものでありません。効果が感じられるまでは一定の時間が必要であることを理解した上で、出来るだけ早い段階で取り組みを進めた方がよいでしょう。