より効率よく業務の内容や流れを引き継ぎまたは社内で共有するために、フローチャートの作成を求められることがありますが、フローチャートは実際に行われる作業を並べただけでは、分かりやすい仕上がりになりません。
この記事ではフローチャートの基本的な知識と、優れたフローチャートの作成に必要なツールを紹介しましょう。これからフローチャートの作成を考えているのなら、ぜひ参考にしてください。
フローチャートとは
フローチャートとは、業務の流れを図式化したもののことです。業務の流れや方法を伝えるには、口頭やマニュアルなどを活用する方法もありますが、フローチャートを利用すれば、より視覚的に短時間で業務の全体像を表現出来るのです。
「見やすさ」「伝わりやすさ」がフローチャートの特徴ですので、基本的には四角・三角・円などの図形の中に工程の内容や判断内容を記載し、矢印で次の工程につないでいくスタイルになります。
複雑な作業や作業中の判断によって工程の変更が必要な作業であってもフローチャートを活用すれば、次に何を行うべきかに迷うことはなくなるでしょう。
そのため、業務の作業工程、工場での生産工程などの他にも、事故発生時の緊急対応にも多くの企業でフローチャートが導入されています。
フローチャートで使用される図形の意味
フローチャートではいくつもの図形を用いて工程を表現しますが、それぞれの図形には大まかな意味が決まっています。代表的な例を紹介しましょう。
| 図形の形 | 名称 | 意味 |
| 長丸 | 端子 | 業務などのプロセスの最初と最後に使用 |
| 四角 | 処理 | 行う作業・工程を記載するために使用 |
| ひし形 | 判断 | 判断によって工程が分かれる時に使用 |
| 矢印や線 | フロー矢印 | フローの流れを表現に使用 |
会社によっては、図形の形状にこだわらずフローチャートを作成している場合もありますので、必ずしもこの通りではないこともあるでしょう。
フローチャートを作成するメリット、効果
フローチャートを作成することで、組織はどのようなメリットと効果を得られるのでしょうか？
１ 業務の全体像が把握出来る
マニュアルなどを使って作業を1つずつ確認していく方法では、１つの作業の内容はよく理解できますが、作業の過程では業務の全体像が見えにくくなります。
フローチャートでは1枚のテキスト上で全工程が把握可能なため、ゴールに向かって作業を進めていく感覚が掴みやすいと言えるでしょう。先を見据えた行動が出来るようになります。
２ 視覚的に作業を明確化する
複雑な作業を文章で説明するためにはテキストの量も膨大になり、伝達に多くの時間を必要とする場合があります。フローチャートでは視覚的に作業を明確化出来るため、複雑なプロセスの作業も短時間で分かりやすく伝えられるのです。
「次に何をすればよいのか分からない状態」が発生しにくくなり、工程の漏れも防ぐ効果もあるでしょう。
３ 業務改善がしやすい
一連の業務をフローチャートにすると、業務を非効率にしている原因や、トラブルの発生率が高い作業などが見えやすくなります。すぐに根本原因が検討可能になるため、業務改善も期待出来るでしょう。
また、業務改善を実施した場合も修正が容易であるため、フローチャートの更新作業にも手間がかかりません。
４ 業務全体が効率化する
先ほど説明した業務改善につながる部分でもありますが、フローチャートを活用することで業務の無駄を削減でき、さらに業務の伝達・引き継ぎも行いやすくなります。
フローチャートを作成することによって、業務全体が効率化されていくと考えてよいでしょう。
５ 緊急対応時に的確な判断がしやすい
例えば、災害や事故が発生した時には多くの方が動揺し正しい判断が難しくなりますが、迅速かつ冷静に緊急対応が出来なければ、後ほど大きな問題に発展したり、二次災害につながったりするおそれがあります。
事前に緊急時の対応をマニュアル化していたとしても、マニュアルを読み直す時間すら確保出来ない場合も考えられるでしょう。
そのような時にもフローチャートが用意されていれば、短時間で的確な判断が可能になり、対応者が動揺してしまっている状態でも想定されていた緊急時の対応を実施出来ます。
緊急対応時のフローチャートは、組織に限らず教育現場などさまざまな場所で導入されているのです。
フローチャート作成ツールの選び方
フローチャートの必要性が社会的に広まったことから多くのフローチャート作成ツールが用意され、その選定には時間がかかってしまうことが多いようです。
自社に最適なフローチャート作成ツールを選ぶために、こちらで紹介するポイントを理解しておいてください。
１ ツールの使いやすさ
社内の誰もが簡単にフローチャートが作成出来るように、フローチャート作成ツールはシンプルでいて使いやすいものを選ぶ必要があります。
本来エクセルやワードでもフローチャートの作成は可能なので、それらのソフトよりも使いやすいと感じられるツールでなくては、導入する意味がないのです。
実際に利用してみて、使い心地を確認するようにしましょう。
２ 自社の作業環境に合っているか
フローチャートツールの中にはWindows・Macの両方に対応していないものもあります。自社内で使用されているOSに対応可能なツール選びをするようにしてください。
３ 自社の業務に適しているか
フローチャートツールの中には、特定の業種や作業内容に特化している場合もあるため、自社で扱っている業務や作成したいと考えているフローチャートの内容に適したツールを選ばなくてはいけません。
また、多機能であればよいと考える方もいるようですが、不必要で多すぎる機能は作業の効率化を妨げてしまうおそれもあるでしょう。
使いたいと考えている機能があり、自社の用途に最適なツールを選ぶようにしてください。
４ サポート体制が整っているか
ツールを使用しているうちに何らかのトラブルや疑問点が発生した場合、すぐに対応してもらうことが可能なサポート体制が整えられているかを確認します。メール対応だけでなく電話対応やチャット対応があれば、すぐに問題の解決が出来るでしょう。
ツールによっては、フローチャートの作成や管理の方法についてのセミナーを開催しているサービスもあるようです。
５ 無料の試用期間があるか
どのようなツールにもいえることですが、実際に使用してみなくては使い勝手は分かりません。
無料のプランまたは無料の試用期間が用意されているツールを、実際に試した上で選定するようにしてください。
おすすめのフローチャート作成ツール
ここからは具体的におすすめ出来るフローチャート作成ツールを紹介します。自社に最適なツールが選べるようにしましょう。
draw.io
アカウント作成の必要がなく、すぐに使用が始められるという特徴のあるdraw.ioは、あらゆる規模の組織で作成するフローチャートに対応しています。
図形をドラッグ＆ドロップするだけでフローチャートの大枠が完成するため、誰でも簡単に優れたフローチャートが作成出来るでしょう。
保存先は自分のパソコン以外にもGoogleドライブやDropboxとも連携可能です。その機能の全てを無料で使用出来るので、まず一度試しに使ってみることをおすすめします。
まとめ
フローチャートの基本的な知識やおすすめのフローチャート作成ツールを紹介いたしました。
フローチャートがあれば、業務全体の把握をすることが容易になります。また、業務全体を視覚的に捉えることができるため、業務の改善や効率化にも役立つでしょう。
しかし、１つ１つの業務や作業を説明するのには、フローチャートだけでは情報が足りません。その場合は、業務マニュアルや作業手順書が必要になります。場面に応じて、マニュアルや手順書、フローチャートを使い分けるとより一層業務内容や作業手順の理解に役立つでしょう。