社内問い合わせを効率化する方法:役立つツールも紹介

コロナ禍を経て従来の働き方が大きく変化した影響から、人事・経理・総務などのバックオフィスに寄せられる問い合わせが増加しています。問い合わせ業務を効率化し社内環境を改善するためには、課題を把握し適切な施策を検討することが必要です。

本記事では社内問い合わせを効率化する方法や、効果的なツールを紹介しています。社内問い合わせの増加に頭を抱えている方はぜひ参考にしてください。

目次

社内問い合わせ業務の課題

企業における人事・経理・総務などの各部署には、日々幅広い問い合わせが従業員から寄せられます。担当者は本来の業務と兼任しているケースが多いため、問い合わせ増加が業務遂行の弊害となっているのが現状です。

以下では、社内問い合わせ対応部署が抱える問題点を解説します。

課題1 問い合わせ対応の複雑化

デジタル技術の発展にともない、社内におけるコミュニケーション手段は多様化しています。問い合わせが電話やメール、SNS、チャットなどさまざまなチャネルを経由して寄せられるケースが増加したことで、対応の効率低下を招いているのです。

チャネルが多様化することで、対応履歴がバラバラに散在します。結果として問い合わせ管理が煩雑になり、応対業務を圧迫しているのが現状です。

課題2 対応の属人化

社内問い合わせの多くは回答に専門的な知識を要するため、経験値の高い担当者でないと課題解決できないケースが珍しくありません。担当者の不在時や問い合わせ数の多い時期は業務効率が低下し、問い合わせた従業員の疑問解決も滞ります。

このような対応の属人化は業務量の不均衡を招き、従業員の業務遂行にも悪影響を与えるため、早急な解決が急がれる課題です。

課題3 回答の遅延

問い合わせ対応部署と従業員の業務時間が一致しないことによる、回答の遅延も問題のひとつです。たとえば24時間営業や年中無休の店舗を複数抱えている企業の場合は、問い合わせ対応部署の業務時間外に発生する問い合わせも少なくありません。
その場合回答が翌営業日となるため、従業員へのスピーディな課題解決が実現できないのです。

問い合わせを受ける部署においても、翌営業日に溜まった問い合わせをまとめて処理しなければならず、本来の業務を圧迫することになります。人手に頼った対応から脱却しない限り、問い合わせ対応部署と従業員双方に弊害を及ぼすことは明白です。

社内問い合わせが増える原因

社内の問い合わせが増加する根本的な原因は、主に次のものが挙げられます。

・疑問を自己解決する文化が浸透していない
・マニュアル整備が不十分
・情報の共有ができていない

当てはまる要因があるか、自社の現状と照らし合わせながらご覧ください。

原因1 疑問を自己解決する文化が浸透していない

はじめに、従業員の意識に問題がないかを確認する必要があります。従業員のなかに「電話で聞いたほうが早い」「マニュアルの情報は古い」などの意識が根付いている場合、問い合わせを減らすことは難しいでしょう。
まずは「疑問がある場合はマニュアルを参照する」という文化を浸透させることが第一優先です。

上司が問い合わせによる課題解決を日常としている場合、部下はそれにならうため、上層部の意識改革から率先して行う必要があります。
長年にわたって染みついた文化を変革させることは簡単ではありませんが、マニュアル整備やツールの導入以前に見直すべきポイントです。

原因2 マニュアル整備が不十分

社内問い合わせが多い企業に共通してみられる特徴が、以下のようなマニュアルの未整備です。

・マニュアルが使いづらい
・マニュアルの情報が古い
・マニュアルにアクセスしづらい

たとえばマニュアル操作が難解で、各社員のパソコンから容易にアクセスできない状況にある場合「電話で聞いたほうが早い」と結論付けられてしまいます。マニュアルは誰にでも使いやすいツールと導線を用意し、最新の情報を掲載しなければ効果が見込めません。

マニュアル整備に時間を費やすことが難しい場合や検索性を高めたい場合は、専用のツールを導入することが有効に働きます。

原因3 情報の共有ができていない

マニュアルやFAQを整備しても、従業員にその情報が共有されなければ労力が無駄になります。疑問が生じた際の解決経路が複雑であれば、問い合わせの増加を食い止めることはできません。

「どこに」「どのような」情報があるのかを従業員全体に周知させることに加え、情報を探すツールの操作性にもこだわる必要があります。IT知識のない従業員でも、求めている情報を容易に探し出せるシステムを導入することが大切です。

社内問い合わせ対応を効率化する4つの方法

問い合わせ数を削減することと同様に大切なことは、回答に要する手間を削減することです。具体的には以下の方法が有効に働きます。

・問い合わせ経路を一本化する
・問い合わせ内容を可視化する
・FAQやマニュアルを整備する
・問い合わせを管理し業務分担を最適化する

問い合わせ対応を効率化し、本来の業務にリソースを集中させるためにもぜひ参考にしてください。

方法1  問い合わせ経路を一本化する

社内問い合わせが電話やメール、チャットなど複数のチャネルから寄せられている場合、まずは経路を一本化しましょう。経路を一本化することで応対履歴の管理や担当者への振り分けが容易になり、問い合わせ業務全般の効率化につながります。

また、問い合わせフローを統することも効果的です。

第一段階としてマニュアルやFAQなどの自己解決できる手段で解決を試みて、それでも解決できない場合のみ担当部署へ問い合わせるというフローを徹底することで、問い合わせ件数を削減できます。

方法2 問い合わせ内容を可視化する

よくある質問内容を可視化することで、マニュアルやFAQの精度が向上します。問い合わせ内容を可視化するためには、問い合わせ経路を一本化したうえで適切に応対履歴を管理することが大切です。

問い合わせと回答をセットで蓄積することで、その後の問い合わせ対応にナレッジとして生かすこともできます。蓄積したナレッジは部署内で共有できるため、対応の属人化を防ぐことにも貢献するでしょう。

方法3 FAQやマニュアルを整備する

問い合わせ内容を分析し、マニュアルやFAQに落とし込む内容を定めましょう。マニュアルやFAQを効果的に運用するためには、以下の管理体制を整えておくことが大切です。

・情報更新の担当者を決める
・マニュアル・FAQの使い方を従業員に周知する

アクセスのしやすさや管理の容易さが利便性・使用率の向上につながるため、専用ツールを導入して整備することをおすすめします。

方法4 問い合わせを管理し業務分担を最適化する

問い合わせを適切に管理することで、対応の抜け漏れや業務の偏りを防ぐことができます。対応中の問い合わせステータスを管理し、特定の担当者に対応が集中しないよう振り分けをすると業務が一気に効率化するでしょう。

担当者の負担軽減にもつながるため、人材不足が課題の企業には特に最適です。

社内問い合わせ対応の効率化に役立つツール

社内問い合わせ対応を効率化するためには、専用のツールを導入することが最も効率的かつ確実な方法です。ここでは以下のツールの詳細を説明します。

・ナレッジ共有ツール
・FAQシステム
・チャットボット
・問い合わせ管理ツール

問い合わせ対応部署において特に導入事例が多いツールであるため、ぜひ自社の業務効率化にお役立てください。

1 ナレッジ共有ツール

ナレッジ共有ツールとは、有益な情報を蓄積し社内メンバー全体で共有できるツールのことです。問い合わせ対応部署内での情報共有に加え、マニュアルを作成し社内Wikiとして活用できるツールもあります。
ツールは以下の基準で選定すると社内への導入がスムーズに進むでしょう。

・テンプレート機能があり情報の入力や作成が容易
・マルチデバイスに対応している
・操作が簡単

人材育成や業務効率化に寄与するため、ナレッジ共有ツールは多くの企業で活用されています。

2 FAQシステム

FAQシステムとは、よくある質問を整理・検索できるシステムのことを指します。疑問に対して瞬時に解決を図ることができるため、従業員にとって最も利便性の高いツールのひとつです。

有益なFAQを網羅するためには、頻繁に寄せられる問い合わせの内容を把握する必要があります。寄せられる問い合わせ数が膨大で内容の精査が追いつかない場合には、問い合わせを管理できるツールと併用することで効率的に運用できるでしょう。

3 チャットボット

チャットボットとは、従業員からの質問に回答してくれる自動会話プログラムのことです。よくある質問と回答をチャットボットに登録することで、問い合わせ対応を自動化できます。

定型的な問い合わせはすべてチャットボットに誘導できるため、有人対応が必要な問い合わせ数の大幅削減に寄与します。高度な対応にリソースを集中でき、業務効率化とともに応対品質の向上も期待できるツールです。

4 問い合わせ管理ツール

問い合わせ管理ツールとは、電話やメール、チャットなど複数のチャネルから寄せられた問い合わせを一元管理するシステムのことを指します。個々の問い合わせに対して「対応済み」「対応中」などステータスを管理できることや、問い合わせ内容に応じた担当者の自動振り分けができることが特徴です。

ツールによってはテンプレート機能やナレッジ蓄積機能を有するものもあるため、自社の課題や既存ツールとの兼ね合いで最適なシステムを選びましょう。

まとめ

問い合わせ数の増加を阻止し業務を効率化するために、目的に合わせたツールの導入を検討してみましょう。まずは自社の課題を整理し、適切な対応を選択することからスタートです。

対応部署と従業員双方の業務環境を改善し、自社の生産性向上にお役立てください。

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