多くの企業で目標管理制度を導入して従業員の育成を行っています。目標管理制度を運用していくうえで欠かすことができないのが「目標管理シート」です。
なぜ目標管理シートが必要なのでしょうか?
評価はどのように行われるのでしょうか?
また、目標達成をするためには具体的に、どういった目標を設定すれば良いのでしょうか?
目標管理シートの意味や構成について知ってこれらの疑問を解消し、しっかりと活用できるようにしていきましょう。
目標管理シートとは
目標管理シートは、文字通り定めた目標の達成に向けて進捗管理するためのツールです。
フォーマットを印刷した紙に直接書き込むこともありますが、現在はExcelやWordなどのソフトや人事評価システムに搭載された目標設定のための機能、アプリケーションなどを使って作成されることのほうが多いのではないでしょうか。
目標管理シートの基本構成
目標管理シートに記載する内容としては次のようなものが挙げられます。
- 目標(「売上前年比105%」など具体的に定められたもの)
- 目標達成のための取り組み方法
- スケジュール
- 進捗状況
- 達成度
- 振り返り
- 上長による評価、コメント、アドバイス、改善策
目標達成するための道のりを上長が評価し、フィードバック(評価内容を伝えてさらに良い結果へ導くための手法)を行うツールであるため、目標設定や達成状況の記載にとどまらず上司からの評価欄などを設けられることが一般的となります。
目標管理シートを活用するメリット
目標管理シートはただ単に仕事の評価をするためのものにとどまらず、いくつものメリットを持っています。
1 従業員のモチベーションを向上させることができる
目標なく働いていては何のやりがいもありません。
設定した目標に向かって行動し、目標を達成していくことによって仕事に意味を持たせることでやりがいを感じてモチベーションが向上します。
モチベーションが向上すれば次の目標に向かって頑張ることができますので、良い流れを作ることができるでしょう。
なお、目標は達成できる程度のものではなく適度な難易度のものにすることと、目標設定をする際に上司から「何を期待しているのか」という点を明確に伝えることが大切です。
2 生産性が向上する
自分が達成すべき目標が明確になることで、どういった結果を出せば給料や昇進に反映されるかを従業員自身が把握することができます。
また、目標には期限が設定されています。期限内に目標を達成するために効率よく動いたり、無駄を省いたりする工夫が行われることになりますので、結果として組織全体の生産性が向上することになるのです。
3 能力アップ
適度な難易度の目標を設定すると述べましたが、これはモチベーション向上だけでなく従業員の成長意欲を喚起するための効果も持ち合わせています。
例えば「売上を上げる」といったフワッとした目標では具体的な改善策が伴いませんが、「上半期の売上を前年比の120%にするために売れ筋商品の在庫を適切にする」などの具体的な目標があればとるべき行動が明確になりますので、自分に不足しているスキルや知識を把握することができます。
従業員がスキルや知識を身につけることができれば能力もアップするというわけです。
目標管理シートを活用する際のポイント
実際に目標管理シートを活用する際にはどういったポイントを抑えておけば良いのかチェックしておきましょう。
ポイント1 具体的な目標を立てる
目標は具体的な数値を用いて設定しましょう。
例えば営業職を行っている人が「顧客から信頼される存在となる」という目標を立てたとします。
その場合は「顧客から信頼される存在」という評価を正しく証明するためにはどうすれば良いのかを数値で考えます。
具体的には「成約数○件以上」「顧客のリピート率○%」といった目標を設定しましょう。数値にすることで客観的に評価することができるようになりますし、達成するために必要な要素が明確になるため進捗管理も行いやすくなります
ポイント2 適度な数の目標を立てる
目標が無駄に多いと達成までのプロセスが増えてしまうことや着手する種類の多さに対応できなくなり、モチベーション低下に繋がります。
そのため目標は1年で3つ以内ぐらいで設定した方が良いでしょう。
複数設定しなければならないと言う場合は優先順位をはっきりとさせて、長めのスパンで達成できるように設定するなど工夫を行いましょう。
ポイント3 必ず期限を設ける
期限がない目標は意味がありません。
「昨年の契約件数の2倍契約を獲得する」という目標があったとしても、期限がなければ極端にいうと10年かかったとしても達成したことになってしまいます。それでは全くの無意味です。
期限を定めることでやるべきことを明確にすれば動きが変わりますし、進捗状況次第で軌道修正することもできるようになります。
達成が難しい場合は下方修正をすることもあると思いますが、達成できることがわかった場合は上方修正を行うとモチベーションが上がるでしょう。
ポイント4 定期的に進捗状況の確認と評価を行う
上司との面談やチームミーティングなどで定期的に進捗状況を共有することで、目標がどこまで達成できているのか、達成に向けてどう動くべきなのかなどが見えてきます。
また、目標達成のための取り組みについての評価を受けることもできるでしょう。
期限を設けるのと同じで、この確認や評価が行われなければただ目標を設定しただけになってしまうため意味がありません。
【職種別】目標管理シートの設定例
目標管理シートの目標をどのように設定すればいいのか、具体的な例文をご紹介しましょう。
事務職
事務職は目標設定するに際に数値化できる内容が少なく、定性的(数値では表せない抽象的なさま)な目標になってしまう傾向にあります。
そのため、事務職の目標設定としては業務で抱えている問題の改善や、法改正などにより新たな制度導入が求められている場合は円滑な導入をすることなどを目標として設定することによって問題改善や新制度の導入度合いで目標の達成度を把握することができます。
業務で抱える問題の改善であれば「コピー用紙の費用がかかりすぎているので社内モバイルで書面をチェックすることができるようなツールの導入を行う」など具体的な目標を立てることができるでしょう。
他にも事務職であれば、具体的には
・電話応対にかかる時間を短くするために応対時間を数値化し、平均3分以内に収まるようにする。
・定期的に在庫チェックを行い、適正な発注数にする。といった目標設定をすることができるでしょう。
営業職
営業職の最たる目標は「営業利益をあげること」ですので数値目標は立てやすくなります。
しかし、何の根拠もないただの数値目標を立ててしまうこともしばしばです。
例えば「売上額を先月比10万円アップさせる」という目標を立てたとします。
では10万円アップさせるにはどうしたらよいかという問題をそっちのけにしてしまうと目標達成が難しくなってしまいます。
そのため今月の勤務日は何日あるのか、1日何件の契約で、一人あたりいくらの契約を取れば達成できるのかという詳細まで落とし込む必要があるでしょう。
具体的には
・今週行うアポイントメント取り50件(1日あたり10件)
・一件あたりの売上額35,000円以上
といった内容にすると良いでしょう。
まとめ
目標管理シートを利用することによって従業員にも企業にもプラスの効果があることがわかりました。
目標管理シートを導入する場合はポイントをおさえて、しっかりと意味のあるツールにしていくことが大切です。