給与計算ソフトの導入メリットと選定ポイントを徹底解説

残業代の計算や税金の計算など、煩雑な給与計算業務に頭を悩ませている経理担当者は多いでしょう。手作業による給与計算業務は、効率性にも正確性にも欠け、業務を逼迫させてしまいます。
そこで検討したいのが、給与計算ソフトの導入です。給与計算ソフトは給与計算業務を自動化し、担当者の負担を削減させます。
今回は、給与計算ソフトについて、機能や導入メリット、選定ポイントなど詳しくご説明しましょう。

給与計算ソフトとは

給与計算ソフトとは、文字通り給与計算を自動で行うことのできるソフトのことです。基本給や残業代、各種手当、保険料、税金などを自動算出し、個々の従業員の給与を導き出します。
給与管理は経理係が担当する分野ですが、複雑な給与計算作業を人の手で行うことは、業務効率を損ね、ミスも生みます。特に従業員が多い企業では、担当者の負担が大きくなるでしょう。
そこで、業務の効率化や担当者の負担削減、給与計算の正確化などを目的に、多くの企業で給与計算ソフトが用いられるようになりました。給与計算ソフトはさまざまな給与条件に対応し、コンピューターならではの正確さとスピードで、給与計算業務をサポートしています。

給与計算ソフトの主な機能

給与計算ソフトに搭載されているメイン機能は、「給与自動計算機能」と「給与明細作成機能」の2種です。

①給与自動計算機能

基本給、残業代、各種手当、保険料、税金などをデータから割り出し、従業員の給与を自動計算します。雇用形態や個人によって計算式のカスタマイズが可能なので、従業員ごとの給与条件の違いにも対応可能です。
また、勤怠管理ソフトと連携することで勤怠データを用いた残業代の算出も行え、法改正時には自動でバージョンアップされるなど、給与計算に関する煩雑な計算業務を一挙に担います。

②給与明細作成機能

算出したデータをもとに、従業員ごとの給与明細を作成します。また、源泉徴収票や年末調整書類、銀行等提出書類など、給与関連書類の作成も自動で行えます。
この機能により、書類作成の手間が省ける他、書類のペーパーレス化も叶います。

給与計算ソフトの導入メリット、効果

給与計算ソフトの導入には、以下のようなメリットや効果を期待できます。

メリット１　毎月の給与計算業務が効率化

従業員に支払われる毎月の給与は、賃金や手当、税金などの複雑な計算によって算出されています。この複雑な給与計算を人の手で行う場合、時間とコストを要する割に正確性を欠くという問題点が生じます。
しかし、給与計算ソフトを用いれば、複雑な計算はコンピューターが自動で行います。すると、スピーディーで正確な給与計算が行えるようになり、毎月の給与計算業務は短縮され、業務効率化が叶います。

メリット２　さまざまな雇用形態に対応

給与計算ソフトは、雇用形態や個々の従業員ごとに条件をカスタマイズできる点も魅力です。
派遣社員やアルバイト、パートなど、従業員の雇用形態は多様であり、給与条件や手当、税金額などもそれぞれ異なります。一人一人の条件に合わせて毎月の給与計算を行うのは、大変な作業でしょう。
しかし、給与計算ソフトは個々の条件の違いにも柔軟に対応し、自動で正確な計算を行います。初めに各従業員の条件設定が必要にはなりますが、個別の条件に合った計算が自動化できることで担当者の負担は減り、業務の正確性は格段に上がります。

メリット３　法改正への自動対応

給与計算には、税制や社会保険に関する法改正が影響を与えます。手動での給与計算の場合、法改正に対応するには、一定の準備が必要になるでしょう。
しかし、給与計算ソフトを使用していれば、法改正に伴う企業側の準備は必要ありません。ソフトが自動で法改正に対応し、バージョンアップするためです。よって、担当者はいつも通りソフトを使用するだけで、法改正に対応した給与計算が行えます。

メリット４　書類作成が簡単に行える

給与計算ソフトでは、給与や税金、社会保険、勤怠などのあらゆるデータを用いた書類作成も行えます。給与明細だけでなく、源泉徴収票や年末調整書類などの書類も自動で作成できるため、書類作成の手間は大きく削減されるでしょう。
また、書類をデータとして発行できるため、わざわざ紙に印刷したり封入したりする手間も省けます。

メリット５　給与計算業務の属人化防止

給与計算業務には、経理や税務など専門的な知識が求められ、業務が属人化しやすい傾向にあります。
しかし、給与計算ソフトを導入すれば、複雑な計算作業は全てコンピューターで行えるため、誰もが給与計算を担当することができるようになります。業務の属人化防止は、より柔軟で効率的な業務改革に繋がります。

メリット６　システム連携で勤怠管理・人事戦略にも

多くの給与計算ソフトは、外部システムと連携し、データをやり取りすることができます。勤怠管理システムや人事システムと連携を行えば、それぞれのデータを融合することで、コンプライアンス管理や人事戦略の作成も可能になります。
つまり、給与計算ソフトはただ給与計算に役立つだけでなく、そのデータを経営に生かすこともできるのです。

給与計算ソフトの選定ポイント

ここからは、給与計算ソフトの選定ポイントをご紹介しましょう。

給与計算ソフトのタイプは3種

給与計算ソフトは以下の3タイプに分かれます。

クラウド型

クラウド上のソフトにアクセスして使用するタイプ。導入に手間がかからず、使い勝手に優れている。多様なサービスを搭載しているものが多い。

オンプレミス型

カスタマイズしたソフトを自社サーバーで運用するタイプ。コストはかかるが、自社にマッチした機能を整備できる。

インストール型

ソフトをパソコンにインストールするタイプ。比較的安価で使いやすいが、自動アップデートに対応していない場合も。

給与計算ソフトは、タイプによって特徴が異なります。
給与計算ソフトの選定にあたっては、まずどのタイプのソフトが自社に合っているかよく検討しましょう。

給与計算ソフト４つの選定ポイント

給与計算ソフトのタイプを決めたら、次は以下のポイントをもとにソフト選定を進めていきます。

ポイント１　目的に合った機能が搭載されているか

給与計算ソフト導入時には、まずソフト導入の目的を明確にしましょう。そして、目的に合った機能が搭載されているかを基準に、ソフトを選定していきます。
基本機能として、給与計算はもちろん、個別の計算条件登録や法改正への対応、給与明細作成などは、ほとんどの給与計算ソフトに備えられています。しかし、必ず事前の機能確認は行ってください。
また、給与計算ソフトの中には、年末調整や社会保険手続きへの対応、オンライン振り込みなど、給与計算に付随した機能を搭載するものもあります。自社に必要なのはどの機能なのかよく検討し、目的と機能がマッチするものを選びましょう。

ポイント２　連携したいシステムに対応しているか

給与計算ソフトは、他システムと連携することで、活用の幅を広げられます。しかし、全てのシステムと連携できるわけではありません。
システムとの連携を目指す場合には、導入を検討している給与計算ソフトが対象システムとの連携に対応しているか、確認するようにしてください。

ポイント３　価格と予算は合っているか

給与計算ソフトの料金体系は、定額のものやユーザー数によって変わるもの、年額制・月額制などさまざまです。さらに、初期費用がかかるものとかからないものがあり、価格もソフトによって異なります。
給与計算ソフトは長期に渡る使用が基本となるため、価格と予算の兼ね合いは非常に重要です。ソフト導入時はまず見積もりを取り、予算内に収まるかどうか確認しましょう。

ポイント４　セキュリティは万全か

給与計算ソフトは、従業員の給与や税金に関する機密情報を扱うため、セキュリティにも注目しなければなりません。必ず、セキュリティ対策が万全に行われているソフトを選ぶようにしましょう。
一般的にセキュリティが強固なのは、クラウド型のソフトだと言われていますが、ソフトによって違いがあるため、よく比較検討してください。

主要の給与計算ソフトを比較

最後に、実際に販売されている給与計算ソフトを比較していきます。今回は、数多くリリースされている給与計算ソフトの中でも主要なものをピックアップしました。
ソフトによって特性は大きく異なるため、選定時にはソフト同士をよく比較するようにしましょう。

マネーフォワードクラウド給与

マネーフォワードクラウド給与は、給与計算業務の短縮、コストダウンを目指す給与計算ソフトです。基本機能に加え、各種書類の作成機能や他ソフトとの連携にも長けており、給与関連業務を一元化できます。
また、場所や時間によってアクセスを制限されないクラウド型であり、法令や税制の変更にも対応、常に最新の状態での使用が可能です。

価格

https://biz.moneyforward.com/payroll/

人事労務freee

人事労務freeeは、給与計算業務だけでなく、労務管理も行えるクラウド型マルチユースソフトです。毎月の給与計算や明細作成、振込はもちろん、入退社の手続きや社会保険の加入手続き、マイナンバーの管理など、幅広い業務の実行・管理が可能です。従業員に関する情報を一括管理できるため、作業効率アップやミス削減が期待できます。
電話やメール、チャットで応対するサポートの充実も魅力です。

価格

https://www.freee.co.jp/hr/

まとめ

働き手不足や労働時間の削減による業務効率化が求められる現在において、給与計算の自動化は自然な流れであると考えられます。給与計算ソフトによる正確性とスピードは、人の手には変えられません。
ただし、給与計算ソフトを最大限に活かすには、自社に合ったソフト選定が重要です。ご紹介したポイントを参考に、慎重に検討を行い、目的を満たす給与計算ソフト導入を目指しましょう。