チャットなどを使って連絡を取り合うことが一般的になった今、特に若い方を中心に「電話対応が苦手だ」と感じる方が増えているようです。しかし、電話対応は社会人として身につけておくべきマナーであり、電話対応を専門とした業務でなくても、相手に失礼のない対応が求められます。
この記事では、電話対応のマナーについて分かりやすく説明します。電話対応に苦手意識がある方や上達したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
電話対応の重要性
電話は顧客と直接接点を結ぶ機会であり、電話対応そのものが会社の印象を左右します。どんなに優れた商品やサービスを提供していても、電話対応が酷い会社を信頼できる方はいないでしょう。
しかし、電話対応が社会人としての基本の一つであることから「知っていて当然」と考え、電話対応に対しての教育が不足している企業が多いのも事実です。企業は電話対応の重要性を理解し、顧客満足度を高めるような電話対応ができるよう、全社員を教育する必要があるでしょう。
電話対応をする前の心構え
電話対応の具体的なマナーをお伝えする前に、会社で電話対応をするというのがどういうことなのか、理解しておくべき心構えをお伝えします。
1. 自分は会社の代表であると考える
電話対応は会社の窓口です。新人であっても、相手からすれば電話対応をしている人が会社の代表であると感じます。そのため、マナー違反や不注意で相手に不愉快な思いをさせると、会社全体のイメージダウンにつながってしまいます。
逆に、素晴らしい電話対応で顧客を満足させることができれば、会社そのものに良い印象を持ってもらえます。
2. 自分の話し方に注意する
多くの場合、電話を通すと声が聞き取りにくくなるため、普段と同じ話し方をしないようにします。特に声が低い方は、声がこもりやすくなるので注意が必要です。
また、電話対応では無意識に早口になりがちですが、早口は聞き取りにくく、高圧的に感じられることもあるので、適切なスピードで話すよう心がけましょう。
3. 声の大きさに注意する
電話で、耳が痛くなるほど大きな声で話す方や、何度聞き返しても聞き取れないほど小さな声で話す方は、相手にストレスを与えてしまいます。
普段の生活で声の大きさについて指摘を受けた経験がある方は、自分の声の大きさに注意してください。家族や友人に率直な意見を聞いてみるのも良いでしょう。
4. 冷静かつ丁寧な対応をする
電話対応をしていると、クレーム対応をしなければならないこともあります。相手がどんな横暴な態度をとっても、自分は会社の顔であることを忘れずに、怒りや不満を表してはいけません。
自分の対応が会社に大きな影響を与えることを覚えておきましょう。
5. 1人で解決しようとしない
対面の場合は様子を見た先輩や上司が助け舟を出してくれるようなトラブルでも、電話では自分で対応しきれる案件かどうかを自ら判断しなければなりません。
対応が困難なトラブルは抱え込まずに、上司に相談して指示を仰ぐようにしてください。無理に1人でトラブルを解決しようとすると、より大きな問題になることもあります。
電話を受ける際のマナー
ここでは、具体的な電話対応のマナーについてお伝えします。まずは電話を受ける際のマナーです。
1. 3コール以内に電話を取る
電話を受ける際には、相手を待たせないように、できるだけ早く電話を取ります。会社によっては「1コール以内」など独自のルールがある場合もあります。もし3コール以上相手を待たせてしまった場合は、「お待たせいたしました。」という言葉を添えるようにしましょう。
2. 相手に会社名をはっきりと伝える
電話を受けたら、まず自分の会社名や部署名を明確に伝えます。例えば、以下のような第一声が適切です。
- 「お電話ありがとうございます。〇〇株式会社です。」
- 「はい、〇〇株式会社〇〇部の〇〇です。」
「もしもし」で電話に出ることは避けましょう。
3. 要件をメモする
簡単な内容の電話であれば不要な場合もありますが、複数の電話を連続して受ける場合には、要件を忘れないようにメモを取る習慣をつけましょう。
4. 相手の会社名・名前を確認する
会社名だけでなく、担当者名を確認することも重要です。以下のように尋ねると良いでしょう。
「恐れ入りますが、お名前を頂戴してもよろしいでしょうか?」
担当者名を聞き、メモしておくことを忘れないようにしましょう。
5. 重要な事柄は復唱する
電話番号や重要な情報は、聞き間違いを防ぐために復唱する癖をつけましょう。例えば、電話番号を確認する際には、
「はい、123-456-789ですね?」や「復唱させていただきます。123-456-789ですね?」
といった確認を行うと良いでしょう。復唱を行うことで、多くの聞き間違いによるトラブルを防ぐことができます。
電話をかける際のマナー
次に、電話をかける際のマナーについてお伝えします。
1. 電話をかける時間帯に注意する
会社への連絡は、お昼休み・業務時間外・始業後すぐの時間帯を避けるべきです。始業後すぐは朝礼などが行われている場合が多いためです。このような時間にどうしても連絡が必要な場合は、「朝礼中に申し訳ございません」「業務時間外に申し訳ございませんが」といった言葉を添えるようにしましょう。
2. 挨拶後にはっきり名乗る
急いでいる場合でも、突然要件を話し始めてはいけません。まずは、
「いつもお世話になっております。〇〇株式会社〇〇部の〇〇です。」
といった挨拶をしっかりとし、会社名と自分の名前を名乗った上で話を始めてください。また、担当者への取り次ぎを依頼する際には、
「〇〇様お願いします」ではなく、「恐れ入りますが、〇〇部の〇〇様はいらっしゃいますか?」
など、より丁寧な伝え方を心がけましょう。
電話を取り次ぐ際のマナー
電話対応の中でも頻度が高い作業である電話の取り次ぎには、知っておくべきマナーがあります。
1. 取り次ぎ相手が電話を受け取ったのを確認する
内線などで取り次ぎ相手に転送した際には、そのまま放置せずに相手が電話を受け取ったか確認してください。取り次ぎが行われずに何分も放置されると、トラブルの原因になります。スムーズな取り次ぎが難しい場合には、折り返しを提案することが良いでしょう。
2. 取り次ぐ相手が不在の時には帰社予定時間などを伝えて対応を聞く
取り次ぐ相手が不在の場合、「不在でございます。」「席を外しております。」だけでなく、いつ連絡が可能になるのかを伝えましょう。
- 「申し訳ありません。〇〇は外出しております。17時頃に帰社予定でございます。」
- 「申し訳ありません。〇〇は本日休暇を取っております。明日出社予定でございます。」
さらに、「いかがいたしましょうか?」と尋ね、電話の相手が希望する対応を確認してください。
相手は、その一言があることで「折り返しを希望する」「伝言を頼みたい」「自分からかけ直す」など、自分にとって都合の良い方法を依頼しやすくなります。
3. マイナスな内容を伝えない
取り次ぎ相手が不在の理由が、社外の人に伝えるべきでない場合もあります。例えば、遅刻や病欠が理由で担当者が不在の場合です。病欠はプライバシーに関わり、遅刻は会社のイメージを損なう恐れがあります。このような場合は、
- 遅刻の場合:「〇〇は用事を済ませてから出社いたします。」
- 欠勤や早退の場合:社外の人には話さない
と伝えるべきです。
電話応対に役立つテクニック
クッション言葉を使う
「恐れ入りますが」「お手数ですが」などのクッション言葉を使って、相手に対して丁寧な印象を与えます。クッション言葉は、相手に直接的な指示や依頼をする際に、柔らかく伝えるための言葉です。クッション言葉を使うことで、相手に不快感を与えることなく、スムーズに会話を進めることができます。
オウム返しを活用する
相手の話を聞いた後、「~ですね」とオウム返しして確認することで、安心感を与えます。オウム返しは、相手の話をしっかりと聞いていることを示す効果があります。
また、オウム返しをすることで、会話の内容を確認し、誤解を防ぐことができます。
保留が長引く場合の対応
保留が長引く場合は、折り返し電話する提案をし、相手の時間を大切にします。電話で保留にする場合は、できるだけ短時間で対応できるよう努めます。
しかし、どうしても保留時間が長引く場合は、お客様に「少々お待ちください。折り返しお電話させていただきます」と伝え、お客様の時間を無駄にしないように配慮します。
まとめ
電話対応の基本的なマナーとコツを分かりやすくまとめました。最初は難しいと感じるかもしれませんが、トレーニングと実際の経験を積むことで、自信を持って電話応対ができるようになります。
電話応対は、実践を通して学ぶことが重要です。積極的に電話対応を行い、経験を積むことで、スムーズに対応できるようになります。また、先輩社員や上司からアドバイスを受けることで、より的確な電話応対を身につけることができます。