プレイブックとは、ビジネスを成功に導くためのチームの戦略集のことです。
まだまだプレイブックを作成していない企業が多いとは思いますが、プレイブックを作成し活用できれば、ビジネスの成功率を高められるでしょう。
この記事で、プレイブックについての知識を深め、その活用方法を知りましょう。 プレイブックの導入を検討しているのなら、ぜひ参考にしてください。
プレイブックとは
プレイブックとは、「誰が」「いつ」「何を」するのかをルール化・戦略化したものです。その語源は英語の “Playbook” で、アメリカンフットボールで利用される作戦ノートを指します。
アメリカンフットボールで使用されるプレイブックには、相手チームに勝つためにどのようなフォーメーションで挑むべきかなど、これまでの実績や経験から得られたノウハウが記載されています。このように、試合に勝つための実績やノウハウを活用してセオリーを導き出す手法は、ビジネスを成功させるためにも応用できます。
プレイブックの定義
プレイブックとは、特定の業務やプロセスについての手順やガイドラインを記載したドキュメントのことです。これにより、誰でも簡単に業務を行えるようになります。
プレイブックと他のドキュメントの違い
一般的なマニュアルやガイドラインとは異なり、プレイブックは実際の業務プロセスに即して具体的な手順を示しています。
プレイブックの基本構成要素
通常、プレイブックにはタイトル、目的、手順、参考資料などが含まれています。
プレイブックとマニュアルの違い
ビジネスの円滑な進行に役立つという点では、プレイブックとマニュアルは似ていますが、両者には明確な違いがあります。
マニュアルは、誰でも同じ成果を上げられることを目的とした手引書です。一方、プレイブックは、その手法を十分に理解している社員が他の社員を導きながらビジネスを成功させるものです。プレイブックを理解し実行するためには、知識と経験が必要であり、全ての社員がプレイブックを活用できるわけではありません。
プレイブックの活用方法
営業チームにおける活用
営業プロセスの標準化と新人教育に活用されることが多いです。営業チームでは、顧客との最初のコンタクトから成約に至るまでのプロセスを標準化し、誰でも同じように営業活動を行えるようにすることが重要です。
プレイブックを活用することで、営業担当者全員が同じ基準で顧客対応を行うことができ、顧客満足度向上や成約率アップに繋げることが期待できます。
また、新人教育においても、プレイブックは非常に有効なツールとなります。プレイブックに記載された手順に従って営業活動を行うことで、新人担当者はスムーズに業務を習得し、早期に戦力となることができます。
カスタマーサポートでのプレイブック
カスタマーサポートでは、顧客からの問い合わせに迅速かつ的確に対応することが求められます。しかし、担当者によって対応がバラバラだと、顧客満足度が低下したり、トラブルに繋がったりする可能性があります。
そこで、プレイブックを活用することで、顧客対応の標準化を図り、一貫性のあるサービスを提供することが可能になります。プレイブックには、よくある問い合わせに対する回答や、トラブル発生時の対応手順などが記載されています。これにより、担当者は状況に応じて適切な対応を行うことができ、顧客満足度向上に貢献できます。また、プレイブックは、顧客対応に関するノウハウを共有するツールとしても有効です。
担当者全員がプレイブックを参照することで、顧客対応に関する知識や経験を共有し、組織全体のスキルアップを図ることができます。
IT運用におけるプレイブックの使用
IT運用では、システム障害やセキュリティ対策など、様々な問題が発生する可能性があります。
これらの問題が発生した場合、迅速かつ適切な対応を行うことが重要です。プレイブックは、システム障害発生時の対応手順や、インシデント管理の手順などを記載したドキュメントです。これにより、担当者は状況に応じて適切な対応を行うことができ、システムダウンタイムの短縮や被害の拡大防止に貢献できます。
また、プレイブックは、IT運用の標準化を図るツールとしても有効です。プレイブックに記載された手順に従って業務を行うことで、担当者全員が同じ基準で業務を行うことができ、運用効率の向上や人材育成に繋げることが期待できます。
プレイブックが必要な理由
プレイブックが必要な理由について説明します。
1. 行動の拠り所とする
プレイブックがあれば、チームで良い結果を出すための戦略が明確に定義されており、それに基づいた行動が可能になります。
プレイブックは過去の成功事例を基に作られているため、その中で定義された戦略を活用することで、ビジネスの成功率を高めることができます。
2. 役割を明確化する
どのような業務でも、役割が不明瞭だと非効率であり、タスクの漏れが発生しやすくなります。
また、一つの業務を複数のメンバーが担当してしまうなど、重複のリスクもあります。誰がどの役割を担い、どの範囲で行動するべきかを明確にすることで、このような問題を防ぐことができます。プレイブックは、チーム全体の役割や担当者ごとの役割を分かりやすく示し、業務の効率化を図ります。
3. セオリーの明文化
プレイブックを作成すること自体にも、大きな意義があります。
過去の経験から勝ちパターンや成功のセオリーを把握していても、それを文章化して共有しなければ他のメンバーが活用できません。蓄積された価値のある情報をチーム内で共有することで、実際に活用できる財産となります。プレイブックは、これまでの経験やノウハウから得た成功のセオリーを文章化し、チーム全体で共有することで、その価値を最大限に引き出すことができます。
プレイブックに含める内容
プレイブックが必要な理由を説明しましたが、具体的にはどのような内容をプレイブックに記載すればよいのでしょうか?ここでは、プレイブックに含めるべき内容について説明します。
1. 理想とする対応
プレイブックには成功事例を紹介し、チームメンバーに何を理想としているのかを伝えます。その成功事例を確認することで、チームが目指すべきものを理解しやすくなります。
自社内で良い事例がまだ用意できていない場合には、他社の事例でも構いません。
2. 戦略
チームの戦略と「誰が」「いつ」「何を」するのか具体的な役割と行動を説明します。ここがプレイブックの中心となる内容です。
これまでのノウハウから、成功に導くための戦略を定義し、チームやメンバーの役割を明確にしましょう。役割が明確になれば、その役割に必要な行動も記載できます。
3. 業務手順・プロセス
具体的な業務手順やプロセスを記載します。業務手順・プロセスは、業務に対する知識が全くない人でも理解できるように詳細に記載し、専門用語を使用する場合はその説明も加えます。
常に最新の状態に更新できるように、情報共有ツールなどを取り入れて管理しましょう。
4. 対応ケースの分類
相手にするお客様や置かれている状況によって、最善の方法は変わります。
それぞれのケースに合った最適な対応を取るためには、プレイブックで対応ケースを分類し、その分類ごとに求める対応を用意しておくと良いでしょう。分類ができていれば、迷わず最善の方法を選択できます。
プレイブックの使い方
プレイブックを用意した後は、どのように活用すれば良いのでしょうか?ここでは具体的なプレイブックの活用方法を紹介します。
1. トレーニングツールとして使う
プレイブックは、社員のトレーニングを効率化させる役割も果たします。成功事例やノウハウ、戦略が記されたプレイブックを参考にすることで、短期間で社員の成長を促進できます。
教育を行う際には、ただプレイブックを読ませるだけでなく、ベテランスタッフによる実践を交えた説明を加えることで、より深い業務理解が得られるでしょう。
2. 業務の復習ツールとして使う
経験を積んだ社員は業務をスムーズに進める一方で、基本的な知識が抜けてしまったり、自分なりに応用してしまうことがあります。
社内での認識のばらつきを防ぐため、定期的にプレイブックを参照して復習する習慣をつけましょう。「慣れ」による手順の省略や思い込みを防ぐ効果があります。
3. スタッフの評価に使う
プレイブックがチームに浸透したら、記載された内容が適切に実行されているかを確認し、社員を評価します。
評価基準が明確であるため、成長の促進やスタッフのモチベーション維持に役立ちます。プレイブックに従っていない社員には、再度トレーニングを実施します。これにより、正当な評価が可能になります。
まとめ
プレイブックの意味や記載する内容、活用方法について説明しました。プレイブックは一度作成したら終わりではなく、新たに得られたノウハウや実績を元に更新していく必要があります。
情報共有ツールなどを活用してプレイブックを共有し、スタッフ全員が常に最新の状態を確認できるようにしましょう。