新しい働き方として注目を集めているテレワークは、いくつものメリットが得られることから多くの企業に導入されるようになりました。しかしテレワークには、コミュニケーション不足や情報漏洩という課題があるため、何の準備や知識もなく始めるものではありません。
この記事では、これからテレワークの導入を考えている企業向けに、テレワーク導入時に一読しておくと良いマニュアル・ガイドラインを紹介しましょう。
テレワークの導入を検討しているのなら、ぜひ参考にしてください。
テレワークとは
テレワークとはtele(離れたところ)・work(働く)を合わせた造語で、場所に囚われない働き方のことを言います。
ICT(Information and Communication Technology)を用いてコミュニケーションや情報共有を行い、オフィス以外でも従業員同士が繋がりを持って業務を進めます。テレワーク自体は会社以外で働く方法全般のことを指しますが、より細かく分類分けすると下記のようになります。
①在宅勤務
文字通り終日自宅で仕事をする働き方で、最も活用されているテレワークだと言えるでしょう。
顧客訪問などがない業務に適している勤務方法です。
在宅勤務の中には、一定の時間や曜日のみオフィスで働く部分在宅勤務も存在します。
②モバイルワーク
パソコンなどのデバイスを使って、移動中や出張先などで仕事をする働き方です。
移動時間の有効利用が可能で、出社の手間が省ける生産性の高い働き方だと言えるでしょう。
③サテライトオフィス・コワーキング
自社が用意したサテライトオフィスや、コワーキングスペースを使って仕事をする働き方です。
就業場所の選択が可能かどうかは企業によって変わります。
④ワーケーション
バケーション中にリゾート地などで仕事をする働き方で、出張先で休暇を楽しむ場合などに用いられます。
テレワーク導入のメリット
テレワークには多くのメリットが存在します。テレワーク導入を検討しているのなら、自社が得られるメリットを理解しておきましょう。
メリット1 業務効率の向上
テレワークでは書類を提出するためや印鑑を押すためだけにオフィスに行くような非効率なことを省けます。
特に外回りが多い営業の場合は、日報提出や報告を目的としてオフィスに行くという方もいる思いますが、その手間を省いて効率良く業務が進められます。
顧客訪問回数・顧客滞在時間の増加が可能になるため、顧客満足度の向上も期待出来るでしょう。
メリット2 コスト削減
オフィスの賃料、光熱費、通勤手当などを含めると、オフィスで働くには多くのコストがかかっています。
テレワークが定着して長期的に運用可能になれば、オフィス自体を縮小したり、オフィスの賃料が安い地方に移転することも可能になり、固定費を節約出来るでしょう。
メリット3 従業員満足度の向上
オフィスに出勤しないで済むと、従業員は通勤にかかっていた時間を自分のために使えるようになります。
多い方であれば、一日2時間〜3時間の時間が手に入るのです。その時間を趣味の時間や家族と過ごす時間、自己啓発に使うことも出来るでしょう。
従業員がより充実した生活を送れるようになれば、仕事へのモチベーションも高まりやすくなります。
メリット4 人材の確保
従業員満足度が高められると、従業員の離職率も下がります。
現在日本は少子高齢化で労働者人口の減少が進んでおり、今後も改善の見込みがありません。そのような状況の中では、離職率を下げることは人材確保の観点でとても重要です。
また、テレワークではオフィスでの働き方に比べて、働き方の多様性が認められているため、子育て・介護・身体的理由によって通勤が困難な方の労働力が確保しやすくなるのです。
メリット5 非常時の対応を可能にする
自然災害時などにオフィスが稼働出来ない状態になった場合、また通勤が困難になった場合にもテレワークであれば事業の継続や早期再開が可能です。
働き方の選択肢が増えれば、非常時に強い企業になります。
メリット6 企業イメージの向上につながる
リモートワークを実施している企業は、多様な働き方への理解があり、新しい試みに前向きな企業だという印象を持たれることが多いです。
企業のブランド価値が向上すれば、優秀な人材が集まりやすくなるでしょう。
参考になるマニュアル・ガイドライン
テレワークはただ導入すれば良いというものではありません。実際に、テレワークを導入したものの廃止するという企業も多いのです。
事前に十分な準備が出来ているかどうかがテレワークの成功を左右すると言っても良いでしょう。ここからはテレワーク導入前に参考にしておくと良いマニュアルとガイドラインを紹介します。
1 テレワークの導入・運用ガイドブック
厚生労働省「テレワークではじめる働き方改革:テレワークの導入・運用ガイドブック」
厚生労働省で作成されたモデル別のガイドブックです。
テレワークの基本的な知識の他、テレワークで得られる効果をテレワークを実施した企業アンケートを元にまとめています。テレワークのモデルの種類や特徴、テレワーク導入時に用意するべき環境も分かりやすく説明されています。
テレワーク導入計画テンプレートなど活用しやすい資料もあるため、最初に参考にするべきガイドブックだと言えるでしょう。
2 テレワークモデル就業規則〜作成の手引き〜
厚生労働省「テレワークモデル就業規則〜作成の手引き〜」
厚生労働省が作成したテレワーク導入の際に追加、修正するべき就業規則について分かりやすく説明されています。テレワークではオフィスでの働き方と違う規則が必要であるため就業規則の見直しが必要ですが、テレワーク導入前の企業にとって、その内容を考えることは時間を要します。
この手引きを参考にすれば、テレワーク導入前に検討するべき点が把握しやすくなり、導入後の見直しを最小限に抑えられるでしょう。
3 テレワークセキュリティガイドライン
総務省「テレワークセキュリティガイドライン第4版」
テレワークでは、今まではオフィスでしか扱っていなかった機密情報を社外で扱う機会が増えます。それにはシステム上のセキュリティ対策も必要ですが、従業員一人一人へのセキュリティ教育も欠かせません。
総務省が作成しているこのガイドラインでは、経営者が実施すべきセキュリティ対策、システム担当者が実施すべきセキュリティ対策、テレワーク勤務者が実施すべきセキュリティ対策が明確に記載されており、外部サービス利用時の注意点なども説明されています。
情報流出を防ぐためのポイントが分かりやすく紹介されているため、テレワークに欠かせないガイドラインであると言えるでしょう。
まとめ
テレワークの導入には正しく十分な知識を身につけた上で、しっかりとした準備を行う必要があります。この記事で紹介したマニュアルやガイドラインを参考に、テレワーク導入前に行うべきことを知りましょう。また、テレワークの課題であるコミュニケーション不足や情報共有不足を解消させるためには、情報共有ツールの導入が欠かせません。
自社に最適な情報共有ツールを見つけ、テレワークを成功させるようにしてください。