グローバル化が進み続けている今、マニュアル・取り扱い説明書・操作マニュアルなどを翻訳し、多言語化する必要を感じている企業は多いのではないでしょうか?
マニュアルの翻訳化にはさまざまな方法がありますが、この記事では翻訳を翻訳会社に依頼することを前提として、依頼前に用意しておくべきことや翻訳会社の選び方について説明しましょう。
翻訳・多言語化をする前に
マニュアルの翻訳は、ただ翻訳するだけでは希望する仕上がりにならないおそれがあります。ここでは、マニュアルの多言語化を行う前に考えておくべきことを説明しましょう。
1 読み手に合わせたものを
翻訳を依頼するマニュアルが、どのような年齢層・ターゲットに向けたものなのかを事前に明確にしておきましょう。なぜなら、翻訳は読み手が変われば文体や表現も変化するものであるためです。
一般的にマニュアルであればターゲットが決められていると思いますので、翻訳を依頼する相手にそのターゲットを明確に伝えられるようにしましょう。
2 完成形のイメージを固めておく
翻訳会社には特徴があり、その特徴が必ずしも自分の求めている物とは限りません。そのため、翻訳後のマニュアルの完成形イメージを伝えられなくては、思っていたものと違った仕上がりになってしまうおそれがあるのです。
ただ「翻訳されればよい」ではなく、自分が求める完成形の文章はどのようなものか、よく考えておきましょう。
翻訳する前に準備するもの
翻訳を社外に依頼する前には準備しておいた方がいいものがあります。依頼後に用意するのでは、作業に時間がかかってしまいますので、事前に確認しておきましょう。
1 完成イメージのサンプルを用意する
先ほど翻訳を依頼する前には完成形をイメージしておく必要があるとお伝えしましたが、イメージする完成形に近い資料や同業他社のカタログなどがあればサンプルとして準備しておきます。
口頭で説明するよりもずっと効率よく、希望する完成形を翻訳会社に伝えることが可能でしょう。
2 社内用語・専門用語集を用意する
どのような業界にも社内用語や業界の専門用語があり、特に社内で使用するマニュアルにはそのような言葉が頻繁に用いられると思います。
翻訳会社の方は翻訳のプロですが、社内用語や専門用語を正確に翻訳することは難しいので、それらの言葉の一覧を作っておくようにしてください。
言い回しが複数あるのなら、一緒に記載しておくと翻訳がスムーズに行えるようになるでしょう。
3 参考資料を用意する
翻訳を依頼するマニュアル以外にも、そのマニュアルの知識を深めるために必要な資料があれば用意します。マニュアルの背景も伝えた上で翻訳を行ってもらうことで、より精度の高いものに仕上がるでしょう。
4 スタイルガイドを作る
翻訳後の文書全体の決まりごとを定めたスタイルガイドを作ります。
具体的には、数字や記号の全半角指定・使用する記号の指定・日時表記や金額表記の指定、和訳を依頼する場合には「ですます調」「である調」で訳すのかなどを決めておくとよいでしょう。
スタイルガイドを作ることで、翻訳後のマニュアルをその他のマニュアルと統一感を持たせることが出来ますし、今後また翻訳を依頼する時にも役立ちます。
翻訳会社に外注する場合の費用イメージ
翻訳会社に翻訳を依頼すると、どの程度の費用がかかるのでしょうか?ここではいくつかの翻訳会社の費用を例に、10,000文字の文書を日本語から英語に翻訳した場合の費用を比較してみましょう。
会社名 | 費用の目安(10,000文字) |
一般社団法人日本翻訳連盟 | 20万円〜30万円 |
JOHO | 8万円〜15万円 |
技術翻訳株式会社 | 12.5万円〜 |
BRAIN WOODS株式会社 | 10万円〜23万円 |
翻訳を依頼する時にかかる費用は選択する会社によって大きく変わることが分かります。
この費用は文書の種類や分野・文字数によって変わりますので、より正確な金額を知りたい場合には直接問い合わせてみる必要があるでしょう。
翻訳会社を選ぶ時のポイント
翻訳会社にマニュアルの翻訳を依頼する際の会社選びには知っておくべきポイントがあります。間違った会社選びを行わないように、そのポイントを理解しておきましょう。
1 翻訳の精度を確認する
やはり翻訳会社を選ぶ際に一番大切なのは翻訳の精度です。
翻訳予定の言語に堪能な方に翻訳内容を確認してもらうのが一番なのですが、難しい場合は翻訳会社の評価や実績を確認するようにしましょう。
その他にも翻訳会社内でのダブルチェック体制があるか、ネイティブチェックがあるかなども調べれば、より安心して会社選びが出来るようになります。
2 情報セキュリティに関する認証があるか確認する
翻訳を依頼するマニュアルの中には、多くの重要な機密事項が含まれている場合が多いと思います。
翻訳会社の中には情報セキュリティに関する国際規格の認証であるISMS(情報セキュリティマネジメントシステム:ISO27001)を取得している会社もあるため、機密文書の翻訳を依頼する前には翻訳会社のセキュリティ認証についても確認しておくとよいでしょう。
3 翻訳会社の得意分野・言語
翻訳会社ごとに得意な分野や言語があります。そのため、会社選びにはその会社が今まで取り扱っている実績を確認する必要があるでしょう。
大きな規模の翻訳会社でも不得意な分野は存在しますので注意してください。同業他社が多数利用している翻訳会社が分かるのであれば、そちらを検討してみるのもおすすめです。
また、翻訳を希望する言語が英語や中国語の場合には会社選びに苦労はしませんが、マイナーな言語への翻訳を希望する時には、そもそも選択肢が少ない可能性も考えられます。初めは英語のみで翻訳を依頼するとしても、今後他の言語へ翻訳を依頼する可能性があるのなら、初めから対応言語が多い翻訳会社を選ぶようにしましょう。
4 工程を事前に提示しているか
翻訳会社に翻訳を依頼する時の一般的な工程は、見積もり・発注・翻訳・校正・納品となります。しかし、中には校正を省いてしまうケースもありますので、検討時にしっかりと工程を確認出来る会社を選ぶようにしてください。
また、翻訳前に簡単な訳を行う下訳という工程が加わる場合もあり、一般的には工程が増えるほど費用は高額になる傾向があります。
5 納期・費用を確認する
基本的に翻訳の作業は時間に余裕を持って依頼出来るようにしましょう。
翻訳会社の中には「スピード納品」などのサービスを扱っている場合もありますが、他の翻訳会社と比べてあまりに短い納期で作業を行う翻訳会社では、多くの場合複数の翻訳者が一つの業務を分担して行います。そのため、文章にばらつきが発生してしまうおそれがあるのです。
また、極端に費用が安い翻訳会社にも注意が必要です。費用を安くするために校正の工程を省いたり、そもそも翻訳の品質に問題がある場合が考えられます。
納期・費用については、平均的なものからかけ離れた設定をしている翻訳会社を選ばない方がよいでしょう。
まとめ
マニュアルの翻訳を依頼する場合に事前に用意しておくべきことや、依頼する会社選びのポイントをお伝えいたしました。
翻訳会社選びには十分な調査が必要であることが分かったと思います。この記事で紹介した翻訳会社選びのポイントに注意して、自分の会社に最適な翻訳会社が選定出来るようにしましょう。