少し前までは、給料日に給与明細が配布されることが一般的でしたが、現在は印刷代のコストダウンや社会全体のペーパーレス化の影響を受けて、Webで給与明細を送付する企業が増えました。

しかし給与明細の電子化を始めたいと考えた時に、何から行えばよいのか分からずに困ってしまう事例も多いようです。

この記事では、効率よく給与明細を電子化出来るWeb給与明細システムの基本的な知識と機能や、選定方法をお伝えしましょう。これから給与明細を電子化したいと考えているのなら、ぜひ参考にしてください。

Web給与明細システムとは

Web給与明細システムとは、給与明細を紙ではなくWebで発行・配布するために利用します。作成された給与明細はWebに保存されるので、パソコンやスマホなど好きなデバイスで閲覧出来ますし、テレワーク時にも使用可能です。多くのWeb給与明細システムでは、給与明細の他にも賞与明細・源泉徴収票の作成機能も用意されています。

Web給与明細システムにはさまざまな種類があり、明細の作成に特化したシンプルな機能のものから、給与計算ソフトとしても機能を搭載した多機能なものまで揃っています。そのため、自社に最適なシステムを見つける必要があるでしょう。

Web給与明細システムを導入するメリット、効果

Web給与明細システムを導入すれば、企業はどのようなメリットや効果が得られるのでしょうか。その特徴を理解した上で導入を検討しましょう。

１　業務の効率化

毎月従業員全員の給与明細を印刷し、手渡す作業は非常に多くの労力を必要とします。

従業員が在宅勤務や長期出張で不在が続くと、給与明細がなかなか手に入らないこともあるでしょう。また、その労力が必要となるのは総務の担当者だけでなく現場で給与明細を配布する担当者も同じです。

今まではなんの疑問もなく行っていた紙による給与明細の配布は、非常に非効率なことであると理解するべきでしょう。

２　コストダウン

給与明細を紙で取り扱うには、多くのコストが発生しています。具体的には印刷用紙代・印刷代・給与明細の郵送代・これらの作業に必要な人件費などのことです。

さらにいえば、その印刷用紙や使用する封筒を発注・管理する人件費や、印刷のために利用する機器の維持費やメンテナンス費用も必要です。

Web給与明細システムを活用すれば、これらの費用を大幅にコストダウン出来るでしょう。

３　人為的ミスの防止

人が行う作業には、どんなに気をつけてもミスが発生する可能性があります。送付先の間違い・送付もれなど起こるおそれがあるということです。

万が一、従業員同士の給与明細が入れ替わりが発生したら、大変な問題になってしまうでしょう。Web給与明細システムでは、このようなミスは発生しません。

４　テレワークへの対応

今までの紙を主体とした給与明細では、在宅勤務時には給与明細を郵送するしかなく、余計な手間がかかってしまいます。

Web給与明細システムを導入した企業では、インターネット環境が用意されていれば、どこにいても明細をすぐに確認することが出来るのです。スマホなどのデバイスでも使えるため、出張中・移動中にも閲覧可能です。

テレワークになってから給与明細が手に入らないというような問題も防げるでしょう。

Web給与明細システムの主な機能

Web給与明細システムには給与明細を作成・管理するのに必要な機能が豊富に揃えられています。

ここからはWeb給与明細システムに搭載されている主な機能について紹介しましょう。

①データ取り込み・管理

多くの企業では今までもCSV形式などを使って給与計算・管理を行ってきたと思いますが、システムにそのデータを反映させてそのまま利用出来る機能です。

②明細の閲覧・告知

給与明細・賞与明細・源泉徴収票をWebブラウザ経由で、従業員がどこにいても閲覧出来るようにします。明細送信時の告知機能があると、閲覧もれも防げるでしょう。

③過去のデータの閲覧

紙の給与明細では明細を紛失してしまう問題が発生することがありましたが、電子化された給与明細ではそのような心配はいりません。数年前の給与明細でも簡単に検索・閲覧が可能です。

④その他

給与明細システムには給与明細に特化したものから、給与計算ソフトの機能も搭載した多機能なものまで多くの種類があるとお伝えいたしました。

多機能なシステムの中には下記のような機能が用意されているものもあります。

Web給与明細システムの選定ポイント

Web給与明細システムはたくさんの種類が流通しているため、その選定には多くの労力が必要です。ここからは、システムを選ぶ時のポイントを説明しましょう。

ポイント１　必要な機能が揃っているか

Web給与明細システムにはシンプルな機能のものから多機能なものまで非常に幅広い範囲のシステムが揃っています。そのため、自社が求めている機能が搭載されているかどうかを確認する必要があるでしょう。

多機能なものは導入費用・運用費用も高額になりますし、使いにくいと感じられるおそれもありますので、可能な限り組織にとって必要最低限の機能が搭載されているシステムを選ぶようにしてください。

また、外国からの社員がいる会社では、他言語への対応も可能なシステムが求められます。必要な機能は組織によって大きく変わるということです。

ポイント２　使いやすさ

Web給与明細システムは組織にいる全ての従業員が利用します。中には普段パソコンなどを使用する機会が少ない従業員もいるでしょう。

誰が使っても分かりやすく、使い心地がシンプルであるものを選ばなくては、システムが定着しないおそれがあるということです。

無料の試用期間などを利用して、実際の操作を確認した上でシステムの選定を行うようにしてください。

ポイント３　既存のシステムとの連携

現在使用している給与管理のシステムが、導入予定のWeb給与明細システムと連携出来ない場合には、システム導入時に多くの労力が必要となります。

ほとんどシステムでは、導入時の手間を減らす工夫がされていますが、なるべく少ない労力で導入が可能なシステムを選ぶようにしてください。

ポイント４　対応デバイスの確認

導入するシステムに対応出来ないデバイスがあると、特定の社員には今まで通り紙で給与明細を配布しなくてはいけなくなります。

つまり、想定される使用デバイス全てでの閲覧が可能なシステムを選ばなくては、余計な労力がかかってしまうということです。

自社の社員がどのようなデバイスを使用するかを調べた上で、システムの対応デバイスを選ぶ必要があるでしょう。

ポイント５　セキュリティ性

Web給与明細システムでは重要な個人情報が管理されるため、万全のセキュリティが確保されているものを選ばなくてはいけません。

また、システムを利用する従業員にもIDやパスワードの取り扱いに留意させる必要がありますので、システム導入時にはマニュアルの配布や研修会を開くなどの工夫も必要です。

主要のWeb給与明細システムを比較

まとめ

Web給与明細システムの特徴やメリットと、システムの選び方について説明いたしました。

自社に最適なシステムを導入すれば、非常に多くのメリットが得られます。この記事を参考に、優れたシステムを活用して給与明細を電子化させてください。

給与明細システムの活用で、業務を効率化させることが出来るでしょう。