メインコンテンツへスキップ

FAQの無断画像はNG!CSが知るべき景品表示法と著作権

ヘルプパーク編集部
FAQの無断画像はNG!CSが知るべき景品表示法と著作権

「FAQで自社の強みをアピールしたいと思い『業界No.1』と書きたいが、根拠がないと法律違反になるのか不安」「分かりやすく説明するために、ネットで見つけた画像を拝借してFAQに貼ってもいいのか?」

お客様に自社の良さを伝えたい一心で、つい「絶対」や「一番」という強い言葉を使いたくなりますよね。

その熱意は素晴らしいものですが、実はFAQページや個別の回答メールも、法律上は「広告表示」とみなされる場合があり、何気ない一言が会社全体を揺るがすリスクになるのです。

この記事では、CS(カスタマーサポート)担当者が知っておくべき「景品表示法(特に優良誤認)」と「著作権」の基本ルールについて解説します。現場レベルで「書いてはいけない表現」を判断できる法的リスク管理(コンプライアンス)の目を養い、自社とお客様を守るための知識を身につけましょう。

FAQや回答メールも対象? 景品表示法のリスク

「最高」「No.1」には客観的な根拠が必要

「業界No.1」「日本初」「最高の品質」といった最上級表現は、顧客の目を引く強力なフレーズです。しかし、これらをFAQや回答メールで使用する場合、必ず客観的な裏付け(エビデンス)が必要となります。これを怠ると、「不実証広告規制」の対象となるリスクがあります。

優良誤認表示とは?
商品やサービスの内容が、事実よりも著しく優れていると消費者に誤認させる表示のことです。また、実際には競合他社と同程度であるにもかかわらず、あたかも自社が突出して優れているかのように見せる表現もこれに該当します。景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)で禁止されています。

不実証広告規制とは?
優良誤認表示の疑いがある場合、消費者庁長官が事業者に対し、その表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる制度です。もし資料を提出できない場合、その表示は不当表示とみなされます。

たとえFAQの一文であっても、それが顧客を誘引する目的(購入や契約継続を促す内容)であれば規制の対象になり得ます。「社内でみんながそう言っているからNo.1」という主観的な理由では通用しません。

第三者機関による調査データや、公的な統計などの確実な出典がない限り、安易な「No.1」の使用は避けるべきです。

ニュースでも話題!厳格化する「No.1」表示の実態

近年、消費者庁による「No.1」表記への監視の目はかつてないほど厳しくなっています。ニュース等で「客観的な根拠のないNo.1表示」に対する措置命令(行政処分)の報道を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

現在特に問題視されているのが、実際のサービス利用者に聞いていないアンケートや、他社を意図的に排除するような恣意的な設問で作られた、いわゆる「お金で買えるNo.1(不適切な調査)」です。こうした実態の伴わないデータに基づく表記は、明確な「優良誤認表示(景品表示法違反)」として厳しく摘発されています。

CS担当者として意識したいのは、「Webサイトに書いてあるから」「マーケティング部門が使っているから」と盲信しないことです。もしお客様から「何のNo.1なの?」と問われた際、胸を張って「信頼できる第三者機関の調査データ」を提示できないのであれば、FAQや個別の回答メールでの使用は控えるのが安全です。現場の小さな「気づき」と「確認」が、会社を大きな法的リスクから救う防波堤になります。

「著しく優良」と誤認させる表現の罠

優良誤認で特に注意が必要なのは、断定的な表現です。「このサプリを飲めば100%改善します」「当社のサーバーは絶対にダウンしません」といった言葉は、消費者に対して「実際よりも著しく優良である」という誤解を与えます。

CS担当者は根が優しい方が多いため、不安を抱えているお客様に対して、つい「絶対に大丈夫です」「必ず直ります」と励ましの言葉をかけたくなるものです。

しかし、その優しさが結果として「嘘(優良誤認)」になってはいけません。世の中に「絶対」と言い切れる商品はほとんど存在しないからです。

プロフェッショナルな対応とは、安請け合いをすることではありません。「過去のデータでは99%のケースで改善が見られています」「高い確率で解決が見込めます」といったように、事実に即した誠実な言葉を選ぶことこそが、本当の意味での優しさであり、リスク管理です。

事実に基づかない断定は、後々のクレームだけでなく、最悪の場合は行政処分の対象になることを肝に銘じておきましょう。

悪気はなくても犯罪に? 著作権侵害と引用ルール

他社サイトのFAQや画像の「コピペ」は厳禁

FAQを作成する際、「他社の説明文が分かりやすいから」といってそのままコピー&ペーストしたり、Google画像検索で出てきたイラストを無断でマニュアルに掲載したりしていませんか?

これらの行為は、たとえ悪気がなくても「著作権侵害」という立派な法律違反になります。

著作権侵害とは?
著作権者の許諾を得ずに、著作物(文章、写真、イラスト、音楽、プログラムなど)を無断で利用(複製、公衆送信、翻案など)する行為のことです。企業が行った場合、損害賠償請求や差止請求を受けるだけでなく、社会的信用の失墜につながります。

「ネットにある画像はフリー素材だ」という誤解は非常に危険です。特に、メーカーの公式サイトにある製品画像や図解を、勝手に自社のヘルプページに転載するのはNGです。

どうしても画像が必要な場合は、自社で撮影・作成するか、有料の素材サイトで購入する、あるいは著作者(メーカー等)から正式な使用許諾を得る必要があります。「みんなやっているから」という甘い認識は捨てましょう。

正しい「引用」の5要件とは?

他社の文章やデータをどうしても紹介したい場合、「引用」という形式をとれば、無断でも利用できるケースがあります。ただし、法律で認められる正しい引用には厳しい条件があります。

引用とは?
著作権法第32条で認められた、公正な慣行に合致し、かつ正当な範囲内で行われる著作物の利用行為のことです。

適法な引用と認められるためには、主に以下の5つの要件を満たす必要があります。

  1. 必然性: その引用が、自分の説明のためにどうしても必要であること。
  2. 主従関係: 自分の文章が「主」であり、引用部分が「従(補足程度)」であること。引用ばかりで構成されたFAQはNGです。
  3. 明瞭区分: 鍵括弧「」やブロック引用タグを使うなどして、どこからどこまでが引用かを明確に区別すること。
  4. 出所の明記: 引用元のサイト名、記事タイトル、URLなどをはっきりと記載すること。
  5. 改変しない: 引用する文章を勝手に書き換えないこと。

これらの一つでも欠ければ、それは引用ではなく「無断転載(パクリ)」とみなされる可能性があります。

競合他社への言及と誹謗中傷のリスク

比較回答をする際の注意点

お客様から「A社と比べてどうなの?」と聞かれることはよくあります。この時、「A社さんの製品はここがダメですが、うちは大丈夫です」といった、他社を不当に貶めるような比較回答をしてはいけません。

事実に基づかない誹謗中傷や、著しく事実と異なる比較は、信用毀損行為や不正競争防止法違反に問われる可能性があります。

比較を行う場合は、主観的な評価(「使いにくい」「デザインが悪い」「安っぽい」など)を避け、あくまで客観的な事実(スペック、機能の有無、料金など)の比較に留めるよう注意しましょう。

例えば、「A社はサポートが悪い」と言うのではなく、「A社のサポートはメールのみですが、弊社は24時間電話対応が可能です」と事実のみを伝えます。競合を攻撃するのではなく、自社のメリットを正しく伝えることに集中するのが、リスクを避けつつ信頼を獲得する回答の鉄則です。

現場でできる法務チェックと運用ルールの徹底

NGワードリストの作成と「自動チェック」

CSの現場で、すべてのメールやFAQ記事を法務部がチェックするのは、スピードの観点から現実的ではありません。そこで有効なのが、現場で運用できる「NGワードリスト」の作成です。

「No.1」「絶対」「世界初」「唯一」「完璧」「100%」といった、リスクの高い単語(リスクワード)をリストアップします。そして、メール送信前やFAQ公開前に、これらの単語が含まれていないかをチェックする運用ルールを設けます。

可能であれば、使用しているメールシステムやFAQシステムのアラート機能にこれらの単語を登録し、使用しようとすると「警告」が出る仕組みを作るのが理想的です。

システム化が難しい場合でも、「送信前の指差し確認リスト」に「断定的な表現を使っていないか?」「根拠のない最上級表現はないか?」という項目を入れるだけで、うっかりミスを大幅に減らすことができます。

出典・根拠のない情報は「書かない勇気」

お客様をお待たせしたくないという気持ちから、「たぶんそうだろう」という曖昧な知識で回答を作成してしまうことがあります。しかし、コンプライアンスの観点からは、これが最も危険な行為です。

確実なソース(仕様書、プレスリリース、約款など)が見当たらない情報は、一度保留にして確認するフローを定着させましょう。「法務確認中」や「開発確認中」で回答が遅れることを恐れないでください。間違った情報(優良誤認)を出してしまい、後から訂正してお詫びするほうが、お客様の信頼をはるかに大きく損ないます。

現場のリーダーは、スタッフに対して「確認のための時間は惜しむな」と伝えてあげてください。「分からないことは、分かるまで調べてから答える」という当たり前の姿勢を徹底することが、結果として最強のリスク管理となります。

まとめ

本記事では、FAQ作成や回答業務における法的リスクについて、景品表示法と著作権の観点から解説しました。

重要なポイントは、「根拠のないNo.1や絶対という言葉を使わないこと」「他社のコンテンツを安易にコピペしないこと」、そして「引用ルールなどの正しい知識を持つこと」です。

コンプライアンス(法令遵守)というと、何かと窮屈な「縛り」のように感じるかもしれません。しかし、これらは自社をトラブルから守り、お客様に嘘をつかないための「ガードレール」です。

ルールを守った上で、自信を持って事実を伝えることこそが、お客様からの信頼、すなわち最強のCS(顧客満足)につながります。ぜひ今日から、自社のFAQやテンプレートにリスクワードが隠れていないか、点検を始めてみてください。

FAQサイト・AI検索・AIチャットボット・AIフォーム ─全部まとめて

「サポート対応、もっとラクに。」

3分でわかる!「ヘルプドッグ」 資料ダウンロード

FAQ・よくある質問

Q1

FAQや回答メールが景品表示法の対象になる理由は?

A

顧客を購入や契約継続へ誘引する目的があれば、FAQや回答メールも「広告表示」とみなされるためです。社内でよく使われている表現でも、法務的な根拠がなければ規制の対象になり得ます。「マーケティング部門が使っているから」という理由だけで安易に流用するのは危険で、現場担当者自身が根拠の有無を確認する目を持つことが重要です。

Q2

著作権侵害にならない正しい引用の要件とは?

A

引用が適法と認められるには、必然性・主従関係・明瞭区分・出所の明記・改変しないという5要件をすべて満たす必要があります。自分の文章が主体であり、引用はあくまで補足に留まること、そして引用元のサイト名やURLを明記することが欠かせません。一つでも欠けると無断転載とみなされるリスクがあります。

Q3

「No.1」表現と「事実に基づく最上級表現」の違いは?

A

信頼できる第三者機関の調査データや公的統計など、客観的な根拠が示せるかどうかが分岐点です。根拠があれば適正な表現ですが、社内の主観や恣意的なアンケートに基づく場合は優良誤認として摘発されるリスクがあります。お客様から「何のNo.1か」と問われた際に出典を提示できない表現は、FAQや回答メールでの使用を控えるのが安全です。

ヘルプドッグ編集部
筆者

ヘルプドッグ編集部

セルフサポートやカスタマーサポート運用に関する知見をもとに、現場で役立つ情報をわかりやすく発信しています。 実際の運用課題や改善事例を踏まえながら、自己解決率向上とサポート業務の効率化につながるヒントをお届けします。