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カスタマーサポートとは?チャネルの種類とカスタマーサクセスとの違いを解説

ヘルプドッグ編集部
カスタマーサポートとは?

カスタマーサポートとは、お客様が製品やサービスについて抱いた疑問やトラブルを、事業者が解決する活動を指します。

事業者は、電話・メール・チャット・FAQサイトなどの手段でお客様からの問い合わせを受け付け、お客様の疑問やトラブルに答えを返します。多くの会社では、この活動を専門に担う部門やチームの名称としても「カスタマーサポート」という言葉を使います。

カスタマーサポートとは

カスタマーサポートが扱う問い合わせの内容は、さまざまです。お客様は、製品の不具合、操作方法、料金や契約の内容、返品や解約の手続きなど、困った内容を事業者に連絡してきます。

カスタマーサポートの担当者は、お客様からの連絡を受けてから対応を始めます。この「お客様からの連絡を起点に動く」という点が、カスタマーサポートという活動の基本の性質です。

顧客からの問い合わせに対応するカスタマーサポート担当者

購入前のサポートと購入後のサポートの違い

カスタマーサポートは、お客様がすでに製品を購入しているかどうかで、購入前のサポートと購入後のサポートの2つに分かれます。同じ「サポート」でも、問い合わせてくる相手と、答える内容が異なります。

購入前のサポートでは、事業者は、これから製品を買うかどうかを検討している見込み客に対応します。見込み客は、「自分の目的に合う製品なのか」「料金プランはどれを選べばよいのか」「契約前に試せるのか」といった、購入を判断するための質問を事業者に尋ねます。事業者がこの質問に的確に答えられるかどうかは、見込み客が購入するかどうかの判断に直接影響します。

購入後のサポートでは、事業者は、すでに製品を使っているお客様に対応します。お客様は、操作方法、不具合、請求内容、解約の手続きといった、利用中に生じた疑問やトラブルを事業者に問い合わせます。事業者がこの疑問やトラブルをすばやく解決できるかどうかは、お客様が製品を使い続けるかどうかに影響します。

一般に「カスタマーサポート」という言葉は、購入後のサポートを中心に指します。ただし実際の現場では、1つのサポート窓口が購入前の見込み客からの質問と、購入後のお客様からの問い合わせの両方を受け付けている会社が多くあります。自社のサポート窓口がどちらまでを扱うのかは、体制や答えを用意する範囲に関わるため、あらかじめ決めておく必要があります。

営業とカスタマーサポートの役割の違い

営業とカスタマーサポートは、どちらもお客様と直接やり取りする役割ですが、活動の目的が異なります。営業の担当者は、見込み客に自社の製品を提案し、契約や購入という成果を得ることを目的に活動します。一方、カスタマーサポートの担当者は、お客様の疑問やトラブルを解決し、お客様が製品を問題なく使える状態にすることを目的に活動します。つまり、営業は売上をつくる役割、カスタマーサポートはお客様の問題を解決する役割です。

ただし、購入前のサポートでは、この2つの役割の切り分けが難しくなります。見込み客が「料金プランはどれを選べばよいのか」と質問してきたとき、その質問に答える行為は、疑問を解決するという点ではカスタマーサポートの仕事です。同時に、その答えの内容しだいで見込み客が購入を決めるという点では、営業の仕事でもあります。1つの質問への対応が、両方の役割の性質をあわせ持つのです。

このため、購入前の問い合わせを営業部門とサポート部門のどちらが受けるかは、会社によって分かれます。どちらの部門が答えるのかを自社で決めておくと、見込み客からの質問に誰も答えないまま放置される事態を防げます。

カスタマーサポートとカスタマーサクセスの違い

カスタマーサクセスとは、お客様が製品やサービスで成果(サクセス=成功)を出せるように、事業者の側から働きかけて支援する活動を指します。言葉のとおり「お客様の成功」が目的であり、お客様が製品を十分に活用し、期待した成果を得られている状態をつくることが、この活動のゴールです。

カスタマーサクセスという考え方は、2000年代の米国で、SaaS(サース、Software as a Serviceの略。インターネット経由でソフトウェアを利用する月額制のサービス)を提供する会社の間で生まれました。

IT・情報通信におけるSaaSの事業では、お客様は月額や年額で料金を支払い、価値を感じなければいつでも解約できます。売って終わりの買い切り型と違い、お客様に使い続けてもらえなければ売上が成り立ちません。そこで、お客様が解約する前に、製品を活用して成果を出せるように先回りで支援する専門の役割が置かれるようになりました。これがカスタマーサクセスです。顧客管理システムを提供する米Salesforce社が早くからこの役割を置いたことで知られ、日本でも2010年代後半から、SaaSを提供する会社を中心に広がりました。

このカスタマーサクセスと、カスタマーサポートとの違いは、活動の起点と目的にあります。

カスタマーサポートの担当者は、お客様からの連絡を起点に動きます。お客様が困りごとを問い合わせてきたら、その疑問やトラブルを解決し、お客様が製品を問題なく使える状態に戻します。目的は、お客様の問題の解決です。

カスタマーサクセスの担当者は、事業者の側からの働きかけを起点に動きます。お客様が困る前に、活用方法の提案や定期的な打ち合わせを通じて、お客様が製品で成果を出せるように支援します。目的は、お客様の成果の実現と、その結果としての契約の継続です。

活動の成果を測る指標も分かれます。カスタマーサポートでは、回答までの速さや、お客様の満足度を測定します。カスタマーサクセスでは、解約の割合や、契約の更新・追加購入の金額を測定します。

比較する点カスタマーサポートカスタマーサクセス
活動の起点お客様からの連絡事業者からの働きかけ
目的お客様の問題の解決お客様の成果と契約の継続
主な指標回答の速さ、お客様の満足度解約の割合、更新・追加購入の金額

カスタマーサポートと混同されやすい3つの言葉との違い

カスタマーサポートには、ほかにも意味が近く、混同されやすい言葉が3つあります。カスタマーサービス、ヘルプデスク、コールセンターです。それぞれの言葉が指す範囲と目的は、カスタマーサポートとは異なります。

コールセンターチームが連携して顧客対応にあたる様子

カスタマーサービスは、カスタマーサポートよりも広い範囲を指す言葉です。カスタマーサービスは、問い合わせへの対応だけでなく、購入前のご相談から購入後のフォローまで、事業者がお客様と接する対応の全般を含みます。ただし実際の現場では両者の境界が曖昧で、カスタマーサービスとカスタマーサポートをほぼ同じ意味で使う会社も少なくありません。強いて分けるなら、カスタマーサービスがお客様への接客の全体を指し、カスタマーサポートはそのうちお客様の問題を解決する部分を指す、と考えると整理しやすくなります。

ヘルプデスクは、問い合わせを最初に受ける窓口や、その窓口を担当するチームを指します。ヘルプデスクという言葉は、操作方法や不具合といった技術的な問い合わせに答える窓口を指す場面で、とくに使われます。また、お客様向けの窓口だけでなく、社内の従業員がIT部門に機器やシステムの相談をする、社内向けの窓口を指すこともあります。カスタマーサポートという活動の全体のうち、問い合わせを最初に受け付ける部分がヘルプデスクにあたります。

コールセンターは、電話を中心にお客様からの問い合わせを受ける拠点や部門を指します。カスタマーサポートとの違いは、コールセンターが対応の手段を電話に置いている点です。近年は、電話に加えてメールやチャットもあわせて扱う拠点が増えており、その場合は「コンタクトセンター」と呼び分けることもあります。

3つの言葉との違いを整理すると、次のとおりです。

言葉指すものカスタマーサポートとの主な違い
カスタマーサービスお客様と接する対応の全般カスタマーサービスのほうが範囲が広く、接客の全体を含む
ヘルプデスク問い合わせを最初に受ける窓口・チーム技術的な相談の窓口や、社内向けの窓口も指す
コールセンター電話中心の問い合わせ対応の拠点対応の手段が電話中心である

カスタマーサポートのチャネルの種類

カスタマーサポートのチャネルとは、お客様が事業者に問い合わせるとき、または自分で答えを調べるときに使う手段を指します。チャネルは、担当者がお客様に応対する「有人対応のチャネル」と、お客様が自分で答えを見つける「自己解決のチャネル」の2つに大きく分かれます。事業者は、この2種類のチャネルを組み合わせて、お客様が困りごとを解決できる状態をつくります。

担当者が応対するチャネル

有人対応のチャネルでは、カスタマーサポートの担当者が、お客様一人ひとりの問い合わせに答えます。代表的なチャネルは、電話、メール、問い合わせフォーム、ライブチャット、SNSの5つです。

顧客とサポート担当者が対面で丁寧に応対するカスタマーサポートの場面

電話は、お客様が担当者と音声で直接話すチャネルです。お客様はその場で疑問を伝え、担当者からその場で答えを聞けます。急ぎのトラブルや、文章では説明しにくい複雑な相談に向いています。

電話の窓口には、番号の種類によっていくつかの形があります。フリーダイヤル(0120や0800で始まる番号)は、通話料を事業者が負担する番号です。お客様は無料で電話をかけられるため、事業者がお客様の連絡の負担を減らしたい場面で使われます。ナビダイヤル(0570で始まる番号)は、通話料をお客様が負担する番号で、全国どこからかけても同じ窓口につながります。このほか、通常の固定電話の番号をそのまま窓口にする会社もあります。

また、応対の方法にも種類があります。担当者が直接電話を受ける方法のほかに、自動音声応答(IVR、Interactive Voice Responseの略)を最初に流し、お客様が用件の番号を押すと担当の窓口へ振り分ける方法があります。お客様の電話が混み合っているときに、担当者から折り返し電話をかける時刻をお客様が予約できる、コールバックという仕組みを備える会社もあります。いずれの形でも、担当者は1度に1人のお客様にしか応対できないため、事業者にとっては対応人数の確保が必要なチャネルである点は共通します。

メールは、お客様が文章で問い合わせを送り、担当者が文章で回答を返すチャネルです。お客様は時間を選ばずに問い合わせを送れます。担当者とお客様のやり取りが文章で残るため、あとから経緯を確認できる点も特徴です。

問い合わせフォームは、事業者がWebサイトに設置した入力欄に、お客様が氏名や問い合わせ内容を記入して送信するチャネルです。事業者は、フォームの項目をあらかじめ設計しておくことで、回答に必要な情報をお客様から最初のご連絡の時点で受け取れます。メールと違い、お客様の記入漏れを減らせる点が特徴です。

ライブチャットは、Webサイトに設置したチャット窓口で、担当者がお客様と文字のやり取りで応対するチャネルです。お客様は、サイトを見ながらその場で質問を送り、担当者から短い待ち時間で返信を受け取れます。電話ほどの心理的な負担がなく、メールより速く答えを得られる、両者の中間にあたるチャネルです。

SNSは、お客様が日常的に使っているSNSのアカウントを通じて、担当者がお客様の質問に答えるチャネルです。お客様は、ふだん使っているアプリのまま問い合わせられるため、電話やメールよりも気軽に連絡できます。

SNSのチャネルには、サービスごとに形の違いがあります。LINEでは、事業者が公式アカウントを開設し、お客様と1対1のトーク画面でやり取りします。日本では利用者が最も多いSNSであるため、BtoCサービスのサポート窓口として使う会社が増えています。X(旧Twitter)では、お客様からのダイレクトメッセージ(DM)に答える方法と、お客様がサポート用アカウントにあてて投稿した質問に返信する方法があります。InstagramやFacebookでも、ダイレクトメッセージを通じた問い合わせの受け付けができます。

どのSNSを窓口にするかは、自社のお客様がどのSNSを使っているかで決まります。ただしSNSでのやり取りは、メールと違って他の問い合わせと一緒に管理しにくいため、問い合わせの件数が増えてきた会社では、SNSで受けた内容を問い合わせ管理の仕組みにまとめる運用が必要になります。

お客様が自己解決するチャネル

自己解決のチャネルでは、お客様が担当者に問い合わせる前に、自分で答えを見つけます。代表的なチャネルは、FAQサイトとチャットボットの2つです。

FAQサイトは、お客様からよく尋ねられる質問と、その答えをまとめて公開するWebサイトです。お客様は、知りたい内容を検索するか、カテゴリから選んで、答えの書かれたページを自分で読みます。営業時間に関係なく、深夜でも休日でも、お客様はその場で疑問を解決できます。

チャットボットは、お客様がチャット形式で質問を入力すると、プログラムが自動で答えを返す仕組みです。担当者は応対せず、あらかじめ用意した情報をもとにプログラムが回答します。チャットボットには、あらかじめ決めた会話の流れに沿って答える「シナリオ型」と、AIが質問に合う答えを探して返す「AI型」があります。近年は、生成AIを組み込んで、お客様の質問文に合わせた答えを文章で組み立てて返す「生成AI型」も増えています。

自己解決のチャネルが答えられなかった質問だけが、有人対応のチャネルに届く。この分担ができると、担当者は複雑な相談に時間を使えるようになり、お客様は簡単な疑問なら待ち時間なく解決できるようになります。

7つのチャネルを整理すると、次のとおりです。有人対応のチャネルは応対の丁寧さで、自己解決のチャネルは対応できる時間の広さで、それぞれ強みが分かれています。

チャネル分類主な種類お客様がすること特徴
電話有人対応フリーダイヤル、ナビダイヤル、IVR、コールバック担当者と音声で話すその場で答えを聞ける
メール有人対応文章を送り、返信を待つ時間を選ばず送れる
問い合わせフォーム有人対応入力欄に記入して送信する必要な情報を最初に伝えられる
ライブチャット有人対応文字のやり取りで質問する短い待ち時間で返信が来る
SNS有人対応LINE、X、Instagram、Facebook使い慣れたアプリで質問する日常のアプリのまま問い合わせられる
FAQサイト自己解決検索して答えのページを読む深夜・休日でも解決できる
チャットボット自己解決シナリオ型、AI型、生成AI型チャットで質問を入力する自動で答えが返ってくる

チャネルごとに必要なものと費用

チャネルの導入には、それぞれ異なる準備と費用がかかります。費用は、ツールや設備にかかる料金と、応対する担当者の人件費の2つに分かれます。とくに有人対応のチャネルは、ツールの料金よりも人件費が費用の中心になる点を、先に押さえておく必要があります。

複数チャネルを一元管理するカスタマーサポートの全体像

電話は、電話回線と電話番号の契約が必要です。フリーダイヤルやナビダイヤルを使う場合は、番号の月額料金と通話料がかかります(フリーダイヤルでは通話料を事業者が負担します)。複数の担当者で応対する場合は、着信を振り分けるコールセンターシステムの契約も必要になります。最も大きい費用は、応対する担当者の人件費です。担当者は1度に1人のお客様にしか応対できないため、問い合わせの件数に比例して人件費が増えます。

メールは、メールアドレスがあればすぐに始められ、追加の設備はかかりません。ただし、問い合わせの件数が増えると、誰がどのメールに対応しているかを管理するために、問い合わせ管理システムが必要になります。費用の中心は、回答を書く担当者の人件費です。

問い合わせフォームは、フォーム作成ツールでフォームを作り、Webサイトに設置します。無料で使えるツールもあり、7つのチャネルの中では最も少ない費用で始められます。

ライブチャットは、ライブチャットツールの契約と、営業時間中にチャットへ応対する担当者が必要です。ツールの料金に加えて、担当者がチャット画面の前にいる時間の人件費がかかります。

SNSは、各SNSのアカウントを無料で開設できるため、始めるための費用はかかりません。費用の中心は、投稿やメッセージに返信する担当者の人件費です。

FAQサイトは、FAQサイト作成ツールの契約と、質問と答えの記事を書く作業が必要です。一般に、ツールの料金は月額数万円から十数万円の幅があります。公開後は担当者が応対する必要がないため、有人対応のチャネルと違い、問い合わせの件数が増えても人件費は増えません。

チャットボットは、チャットボットツールの契約と、回答のもとになる情報の用意が必要です。ツールの料金は型によって差があり、一般に、シナリオ型は月額数千円から、AI型・生成AI型は月額数万円からが目安です。FAQサイトと同様に、公開後の応対に担当者は必要ありません。

チャネルごとの必要なものと費用を整理すると、次のとおりです。有人対応のチャネルは人件費が、自己解決のチャネルはツールの料金と最初の情報の用意が、それぞれ費用の中心になっています。

チャネル必要なもの(ツール・設備)主な費用
電話電話回線、番号契約、コールセンターシステム番号の月額と通話料、担当者の人件費
メールメールアドレス、問い合わせ管理システム担当者の人件費、管理システムの月額
問い合わせフォームフォーム作成ツールツールの月額(無料のツールもある)
ライブチャットライブチャットツールツールの月額、応対時間の人件費
SNS各SNSのアカウント(無料)返信する担当者の人件費
FAQサイトFAQサイト作成ツール、記事の作成ツールの月額(数万円〜十数万円が目安)
チャットボットチャットボットツール、回答情報の用意ツールの月額(型により数千円〜数万円が目安)

※金額は公開されている一般的な目安です。ツールごとの具体的な料金は、各社の公式サイトでご確認ください。

どのチャネルが必要かを判断する3つの基準

すべてのチャネルを一度に用意する必要はありません。どのチャネルが自社に必要かは、お客様の年齢層、製品の性質、お客様の数の3つで判断できます。

1つめの基準は、お客様の年齢層です。一般に、若い世代のお客様はチャットやSNSでの連絡を好み、電話を避ける傾向があります。反対に、年配のお客様には、電話で直接話して解決したいという方が多い傾向があります。自社のお客様の中心がどの世代かを確認し、その世代がふだん使っている連絡手段を窓口にすると、お客様は問い合わせのために慣れない手段を覚える必要がなくなります。

2つめの基準は、製品の性質です。トラブルが急を要する製品かどうか、説明が複雑になる製品かどうかで、向くチャネルが変わります。たとえば、決済や配送のように、止まるとお客様がすぐに困るサービスでは、その場で話せる電話やライブチャットが必要になります。操作の質問が中心のソフトウェアであれば、画面を見ながら読めるFAQサイトやチャットボットで、多くの疑問を解決できます。契約や返金のように、記録を残す必要があるやり取りは、文章が残るメールやフォームが向いています。

3つめの基準は、お客様の数と、そこから届く問い合わせの件数です。お客様が少なく、問い合わせが1日に数件であれば、メールとフォームの窓口だけでも対応できます。お客様が増え、同じ質問が繰り返し届くようになったら、FAQサイトやチャットボットといった自己解決のチャネルを導入する段階です。担当者が答える前にお客様が自分で解決できるようになるため、お客様の数が増えても、担当者の人数を同じ割合で増やさずに済みます。

若い世代と年配世代それぞれにオペレーターが対応するカスタマーサポートの場面

3つの基準で分かれる向き先を整理すると、次のとおりです。年齢層は連絡手段の好みに、製品の性質は急ぎかどうかと記録の要否に、お客様の数は自己解決のチャネルを導入する時期に、それぞれ表れています。

判断の基準自社の状況向いているチャネル
お客様の年齢層若い世代が中心ライブチャット、SNS、チャットボット
年配の世代が中心電話、FAQサイト(大きな文字・平易な説明)
製品の性質急ぎのトラブルが起きる(決済・配送など)電話、ライブチャット
操作の質問が中心(ソフトウェアなど)FAQサイト、チャットボット
記録を残すやり取りが多い(契約・返金など)メール、問い合わせフォーム
お客様の数少ない(問い合わせが1日数件)メール、問い合わせフォーム
多い(同じ質問が繰り返し届く)FAQサイト、チャットボットを追加

この3つの基準は、片方だけで決めるものではありません。たとえば、年配のお客様が中心でも、問い合わせの件数が担当者の手に余るなら、電話を残したままFAQサイトを併設する、という組み合わせになります。自社のお客様と問い合わせの実態に合わせて、チャネルを組み合わせてください。ヘルプドッグのように、FAQサイト・チャットボット・フォーム・ライブチャットといった複数のチャネルを1つのシステムでまとめて用意できるサービスもあります。

なぜカスタマーサポートが重要か

カスタマーサポートは、問い合わせに答えるだけの裏方の仕事ではありません。対応の質が、お客様がその会社を使い続けるかどうかを直接左右します。ここでは、カスタマーサポートが事業の成果に関わる理由を、調査データとあわせてご説明します。

複数チャネルでユーザーと繋がるサポートチームの連携体制

対応の質が、お客様の継続を左右する

回答を長く待たされる、質問と違う答えが返ってくる、窓口をたらい回しにされる。こうした対応は、お客様が他社へ乗り換える直接のきっかけになります。

カスタマーサービスソフトウェアを提供する米Zendesk社の調査では、日本の消費者の49%が、一度でも好ましくない体験をしたら競合他社に乗り換えると回答しました。この割合は前年の調査の38%から上昇しており、日本のお客様が対応の質に厳しくなっていることを示しています。世界全体でも、52%の消費者が、一度でも満足できない対応を受けたら利用先を切り替えると回答しています(出典:Zendesk「カスタマーエクスペリエンス(CX)に関する年次トレンドレポート2023年版」2023年)。

お客様のおよそ2人に1人は、たった1回の対応で会社を見限ります。新しいお客様を獲得するために広告や営業へ投資しても、問い合わせへの対応が悪ければ、獲得したお客様がそこで離れていきます。カスタマーサポートは、獲得したお客様をつなぎとめる、事業の土台にあたる活動です。

お客様は、担当者に問い合わせる前に自分で調べている

調査資料によると、81%のお客様が、担当者に連絡する前に、まず自分で問題を解決しようと試みています(出典:Harvard Business Review「Kick-Ass Customer Service」2017年)。

つまり、お客様の多くは、電話やメールで問い合わせる前に、FAQサイトや検索で答えを探しています。ここで答えが見つからなかったお客様だけが、担当者への問い合わせに進みます。カスタマーサポートを電話やメールの応対だけと捉えていると、この「自分で調べている8割のお客様」への対応が抜け落ちます。前の章でご説明したFAQサイトやチャットボットといった自己解決のチャネルは、この大多数のお客様に答えを届ける手段として重要になっています。

同じ質問への回答が、担当者の時間を奪い続ける

よく尋ねられる質問への答えをFAQサイトなどで公開していないと、同じ内容の問い合わせが繰り返し届き、担当者はそのたびに同じ回答を書きます。また、届いた問い合わせを管理する仕組みがないと、誰がどの問い合わせに対応しているかを確認する作業や、対応漏れを探す作業に時間を取られます。

この時間は、本来であれば、複雑な相談への丁寧な対応や、問い合わせを減らすためのFAQの改善に使えたはずの時間です。カスタマーサポートに仕組みを用意することは、担当者を楽にするだけでなく、お客様への対応の質を高めることに直結します。

まとめ

かつて、事業の中で注目されるのは営業部門でした。売上や販売の数字に直結し、成果が見えやすいため、経営も人と予算を営業へ優先して割り当ててきました。しかし昨今は、新しいお客様の獲得だけでなく、いま取引のあるお客様にさらに活用いただき、1社あたり・1人あたりの売上を伸ばす考え方が浸透してきています。そこで注目されているのが、カスタマーサポートです。

かつてのカスタマーサポートは、お客様からの分からないことに回答することへ集中する、受け身の仕事が中心でした。いまは変わりつつあります。サポート活動やコミュニケーションを通じて会社の側からお客様に働きかけ、お客様の中での売上や信頼の獲得につなげる。そうした役割が、カスタマーサポートに期待されるようになりました。

私自身、営業の契約が済むと、お客様との接点が薄くなってしまう会社を数多く見てきました。売るまでは足しげく通うのに、売れたあとの窓口は問い合わせ対応だけになる。それではお客様との関係は続きません。一方で先日、サポート対応に注力しはじめたECサイトの事業会社から、サポート対応がきっかけでお客様の追加購入や、新しいサブスクリプション顧客のご紹介につながったという声が届きました。1社1社、1人1人のお客様と向き合うサポートは、信頼だけでなく、売上まで生み出します。伸びている会社ほど、サポートを営業の片手間にしていないのは、このためです。

一方で、サポートのチャネルはオンラインへ広がり、担当者にはチャネルごとの特長を踏まえた対応が求められるようになりました。カスタマーサポートは、以前よりも経験と技術が必要な、専門性の高い仕事になっています。この記事で整理したチャネルの全体像を手がかりに、自社のサポートがどの範囲を担い、どのチャネルで対応するのかを、一度見直してみてください。


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FAQ・よくある質問

Q1

BtoCとBtoBで、カスタマーサポートに違いはありますか?

A

対応の相手と内容が異なります。BtoCでは、個人のお客様から、注文・支払い・使い方といった問い合わせが多数届くため、件数をさばく体制と自己解決のチャネルが重要になります。BtoBでは、法人のお客様から、自社の業務に関わる技術的な相談が届くため、1件ごとの深い対応と、担当者間の引き継ぎの正確さが重要になります。

Q2

カスタマーサポートの対応の質は、何で測りますか?

A

代表的な指標は、最初の回答までにかかった時間(初回応答時間)、1回のやり取りで解決できた割合(一次解決率)、対応後にお客様へ尋ねる満足度の3つです。まずこの3つを測定すると、自社の対応のどこが遅く、どこでお客様を待たせているかを特定できます。

Q3

カスタマーサポートは外部に委託できますか?

A

できます。コールセンターの運営会社などに、電話やメールの一次対応を委託する方法が一般的です。ただし、製品の深い知識が必要な問い合わせや、契約・返金の判断を伴う問い合わせは自社での対応が必要になるため、委託する範囲と自社に残す範囲をあらかじめ分けておく必要があります。

堀辺 憲
筆者

堀辺 憲 noco株式会社 代表取締役

クボタ、住友スリーエム、DeNAなどを経て2017年にnoco株式会社を創業。AIサポートシステム「ヘルプドッグ」等の開発プロデューサーを務める。数多くの企業のサポート部門・現場業務のDXを支援してきた実績から得た、カスタマーサポート領域およびナレッジマネジメントに関する深い知見をもとに、CS基盤の構築・改善に直結するノウハウを解説する。