カスタマーセンターとは、お客様に対するサービスを提供する組織、またはその受付窓口のことです。
窓口の名前は「お客様相談室」「サポートセンター」など企業によってさまざまですが、カスタマーセンターという言葉には業界団体の用語集に記載された定義があり、コールセンターやコンタクトセンターとの違いも定義の文言から確認できます。
カスタマーセンターとは
一般社団法人日本コンタクトセンター協会(CCAJ)の「コンタクトセンター/コールセンター用語集」には「カスタマーサービスセンター」という見出し語があり、「顧客に対するサービスを提供する組織またはサービスの受付窓口」と定義されています。
同じ項目に「カスタマーセンター」とも言うと記載されており、カスタマーセンターはこの呼び方の一つにあたります。
定義が「組織」と「受付窓口」の両方を含む点が特徴で、対応する部門そのものを指す場合と、お客様から見た問い合わせ先を指す場合のどちらにも使われます。また同用語集には、コンタクトセンターと同義で使用されることもあると付記されています。
なお、この定義に人数や席数の要件は含まれていません。規模の大小は定義の要素に入っておらず、担当者数名で運営する問い合わせ窓口も同じ定義に含まれます。

カスタマーサポート部門・チームとカスタマーセンターの違い
会社の組織図を構成する部門・部署と、その中の少人数の単位であるチームは、社内の体制を表す呼び名です。どの規模を「部」と呼び、どこからを「チーム」と呼ぶかに共通の基準はなく、各社が組織設計の中で決めています。
一方「センター」は、同協会の用語集でコールセンター・コンタクトセンターがいずれも「拠点・窓口」と定義されているとおり、組織図の階層ではなく、お客様対応を行う場所・機能を指す言葉として使われています。
このため、社内向けの組織名と、お客様に示す窓口の名前は別々に付けられます。組織図上は「カスタマーサポート部」や「CSチーム」で、その組織が運営するお客様向け窓口を「カスタマーセンター」と名乗る、という使い分けです。
カスタマーセンターの3つの設置形態
カスタマーセンターの運営には、自社で担うインハウス、専門の業者へ委託するアウトソーシング、その中間にあたるインソーシングの3種類があります。区分は同協会の用語集にもとづきます。
それぞれの運営のかたちと、選ぶ際の利点・注意点を次の表に整理しました。
| 設置形態 | 運営のかたち | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| インハウス | 自社内に窓口を設け、採用・教育から運営まで自社で担う | 商品知識や対応方針を社内で直接共有でき、お客様の声がそのまま社内に残る | 採用・教育・シフト管理の手間と人件費を自社で負担する |
| アウトソーシング | 窓口の運営を、コンタクトセンター業務を請け負う専門会社に任せる | 短期間で窓口を開設でき、入電の増減に合わせて委託の規模を調整できる | 委託費が発生し、お客様とのやり取りの詳細は報告の範囲でしか自社に残らない |
| インソーシング | 場所・設備は自社で用意し、運営は専門会社に委託する | 顧客情報を自社の設備内で扱いながら、運営の専門ノウハウを利用できる | 設備の費用と委託費の両方がかかる |
インハウスとアウトソーシングの選び方
インハウスは、問い合わせが少ない月でも人件費が固定でかかります。
一方、委託は契約の範囲で規模を増減できるため、問い合わせ量が少ない段階や、季節の波が大きい商材では、費用を量に合わせられます。問い合わせ量が増えて安定してくると、委託費の合計が自社で人を雇う費用を上回る場合があり、この段階が自社運営へ切り替える判断の目安になります。
アウトソーシングを検討する目安になるのは、次のような場面です。
| 場面 | 委託が選択肢になる理由 |
|---|---|
| 新商品の発売、メディア掲載、季節の繁忙期など、入電の増減が大きい | 繁忙期だけ委託の席数を増やし、落ち着いたら減らせる |
| 夜間・休日にも窓口を開けたい | 夜間・休日の体制を持つ委託先を使えば、自社で深夜のシフトを組む必要がない |
| 数週間以内に窓口を開設する必要がある | 採用・教育にかかる期間を待たずに、応対経験のあるスタッフで開設できる |
ただし委託の料金は月額固定・従量課金・席数単位と契約により幅があるため、実際の分岐点は自社の見積もりで比較する必要があります。
費用のほかに、お客様の声を社内に蓄積したいか、個人情報をどこまで社外に渡せるかも、金額と同じ重みで判断に入れるべき要素です。
カスタマーセンターの主な業務
カスタマーセンターが担う仕事には、お客様からの連絡を受けて対応するインバウンドと、企業側からお客様へ発信するアウトバウンドの2種類があります。
同協会の用語集でも、インバウンドは問い合わせや商品購入などを目的に顧客から受信する業務、アウトバウンドは販売やアフターフォローなどを目的に企業が顧客へ発信する業務と定義されています。
インバウンドとアウトバウンドの業務内容
お客様から受信する業務と、お客様へ発信する業務の内訳は次のとおりです。
| 大分類 | 主な業務 |
|---|---|
| インバウンド(お客様から受信する業務) | 商品・サービスの使い方の質問への回答、注文・変更・解約の手続き、故障やトラブルの相談、クレーム・意見・要望の受付 |
| アウトバウンド(お客様へ発信する業務) | 商品の到着や手続き完了の確認、契約更新や支払い期限のお知らせ、購入後の使用状況の確認 |
問い合わせを受け付けるチャネル
同協会の用語集では、電話、Eメール、Web、ソーシャルメディア、チャット、FAX、ハガキなどを「応対チャネル」と呼び、お客様と企業との間のコミュニケーション手段と位置づけています。
電話だけで受けていた窓口も、メールやチャットを追加すると、営業時間外に届いた問い合わせを翌営業日に処理でき、電話がつながらないというお客様の不満を減らせます。
どのチャネルをそろえるかは、お客様がふだん使う連絡手段と、トラブル時に急ぎの解決が必要な商材かどうかで決めます。一般に、ふだんチャットやSNSで連絡する層はテキストでの問い合わせを、電話に慣れた層は電話を選ぶ傾向があり、BtoBでは担当者間のメール・電話が中心です。
カスタマーセンターを支えるシステム
カスタマーセンターで使われるシステムには、電話の受付・振り分け、顧客情報の管理、お客様の自己解決の支援、問い合わせの受付・管理という4つの役割があります。役割ごとの代表的なシステムを次の表にまとめました。
| 役割 | 代表的なシステム |
|---|---|
| 電話の受付・振り分け | PBX(Private Branch Exchange:電話交換機)、CTI(Computer Telephony Integration:電話とコンピューターを連動させるシステム)、IVR(Interactive Voice Response:自動音声応答) |
| 顧客情報の管理 | CRM(Customer Relationship Management:顧客の情報と対応履歴を記録・共有するシステム) |
| お客様の自己解決の支援 | FAQ(Frequently Asked Questions:よくある質問)サイト、AIチャットボット |
| 問い合わせの受付・管理 | 問い合わせフォーム、メール問い合わせ管理システム |
これらを別々のシステムで契約すると、ログイン先が分かれ、お客様の情報と対応履歴もシステムごとに分かれます。1人の担当者が電話の後にメールを返信し、FAQ記事の更新まで受け持つ小規模の体制では、この分かれた状態が日々の手間を増やします。
AIカスタマーサポートシステム「ヘルプドッグ」のような総合ヘルプデスク一体型のシステムを使うと、FAQサイトの作成、AIチャットボット、フォームの作成、メールでの問い合わせ管理までが1つのシステムにまとまり、フォームで受け付けた問い合わせから返信までを一気通貫で管理できます。

カスタマーセンターとコールセンター・コンタクトセンター・お客様相談室の違い
コールセンターは電話での応対を行う拠点・窓口を指し、コンタクトセンターは電話に加えてメール・Web・SNS・チャットなどの手段で対応する拠点・窓口を指します。
カスタマーセンターの定義には受付手段の記載がなく、お客様相談室には業界用語集の見出し語がありません。4つの呼称を次の表で比較します。
| 呼称 | 定義の要点 | 受付手段 |
|---|---|---|
| コールセンター | インバウンド・アウトバウンドの電話応対を行う拠点・窓口 | 電話が中心 |
| コンタクトセンター | 電話に加え、メール・Web・SNS・チャット・FAX・ハガキなどで対応する拠点・窓口 | 電話を含む複数の手段 |
| カスタマーセンター(カスタマーサービスセンター) | 顧客に対するサービスを提供する組織または受付窓口 | 手段の記載なし |
| お客様相談室 | 用語集に見出し語なし。消費者対応の部門・窓口の名称として使われる | 手段の記載なし |
3つの用語の線引きは、実務では厳密ではありません。
同協会の用語集でも、コールセンターとコンタクトセンターは互いに同義でも使用されると付記されています。さらに、用語集を監修する団体自体が、前身の日本テレマーケティング協会から、2012年に一般社団法人日本コールセンター協会へ、2024年10月には一般社団法人日本コンタクトセンター協会へと名称を変更してきました。
電話だけで受ける窓口から複数のチャネルで受ける窓口へという業界の移り変わりは、団体の名前にまで及んでいます。

カスタマーセンターとお客様相談室の違い
お客様相談室は、同協会の用語集に見出し語がなく、業界の統一定義を持たない名称です。
企業や団体のお客様対応部門の責任者・担当者で構成する公益社団法人消費者関連専門家会議(ACAP)は、国際規格ISO 10002(お客様対応・苦情対応マネジメントシステム)の普及支援を活動に掲げ、会員企業からの相談対応でも「お客様相談室の体制づくり」をテーマに挙げています。
この文脈のとおり、お客様相談室という名称は、消費者からの意見・苦情への対応を担う部門・窓口で使われています。問い合わせ・注文・トラブルの相談まで幅広く受け付ける窓口には、カスタマーセンターやコンタクトセンターの名称が選ばれています。
企業ごとの窓口名称の実例
窓口にどの名称を付けるかは、各社が決めています。
公式サイトで名称を確認できる企業の実例を、業界別に整理しました。
| 企業 | 窓口の名称 | 業界 |
|---|---|---|
| エポスカード | エポスカスタマーセンター | クレジットカード |
| 楽天カード | 楽天カードコンタクトセンター | クレジットカード |
| NTTドコモ | インフォメーションセンター | 携帯電話 |
| 味の素 | お客様相談センター | 食品 |
| 花王 | 生活者コミュニケーションセンター | 日用品・化粧品 |
同じクレジットカード業界でもエポスカードは「カスタマーセンター」、楽天カードは「コンタクトセンター」と名称が分かれているとおり、どの呼称を使うかを業界で定めた決まりはなく、各社が選んでいます。また、メーカー2社の名称には「相談」「コミュニケーション」という言葉が入っており、製品の問い合わせに加えて、意見・要望への対応まで担う部門であることが名前から読み取れます。
自社の窓口に名前を付けるときも、この実例のように、何を受け付ける窓口かがお客様に伝わる名称を選ぶと、問い合わせ先を探すお客様が迷いません。
カスタマーセンターが必要とされる理由と設置の効果
担当者が個別に問い合わせへ対応する段階から、カスタマーセンターとして窓口を設ける段階に移ると、問い合わせ先の一本化、対応品質の安定、お客様の自己解決の支援の3つが変わります。
3つの変化はいずれも、受付の場所と記録のやり方を決めることで生まれます。

問い合わせ先の一本化
窓口を決めずに運営していると、問い合わせは代表電話、店舗、SNSのダイレクトメッセージ、担当者個人のメールへ分かれて届きます。受け取った人がそれぞれ返信するため、返信の抜けや二重対応が起き、社内では誰がどの問い合わせを受け持っているかを把握できません。
受付窓口を決めて公開すると、お客様は問い合わせ先を探さずに済みます。社内でも、届いた問い合わせを1か所で管理でき、返信の状況を全員が確認できます。
対応記録の共有による品質の安定
対応が担当者ごとの記憶に頼っていると、同じ質問に人によって違う答えを返したり、担当者の退職とともに対応のノウハウが失われたりします。
カスタマーセンターとして対応履歴を記録し共有する運用にすると、過去のやり取りを参照しながら答えられ、担当者が代わっても回答の水準を保てます。記録した問い合わせの内容は、商品説明の改善や、FAQ記事の追加の材料にもなります。
お客様の自己解決の支援
調査資料によると、業界を問わず81%のお客様は、担当者へ連絡する前に、まず自分で解決を試みています(出典:Harvard Business Review「Kick-Ass Customer Service」2017年)。
カスタマーセンターが行う支援は、この「まず自分で調べる」行動で答えが見つかる状態を用意することです。具体的には、よくある質問と答え、操作や設定の手順、エラーやトラブル時の対処方法をFAQサイトに公開し、商品ページや問い合わせフォームの手前など、お客様が調べ始める場所からFAQへリンクを張ります。
AIチャットボットを設置すれば、お客様が入力した質問文に合う回答を、その場で自動表示できます。お客様は営業時間を待たずに解決でき、担当者は電話やメールでしか解決できない相談に時間を使えます。
まとめ
お客様対応の中心は、電話が主流だった時代から、オンラインでのやり取りへ移ってきました。
電話は1件の対応のあいだ担当者1人が離れられず、通話を録音してもデータとして扱うには手間がかかります。音声をテキスト化するツールはあるものの、導入はまだ広がっておらず、記録が残らないまま「言った・言わない」のトラブルに発展することもあります。
その点、コンタクトセンターの機能を一体型で提供するツールなら、チャットやフォームなどオンラインの問い合わせを1つの画面で扱え、担当者は複数の問い合わせを同時に処理できます。1件あたりの処理コストが下がり、対応のデータも数字で残るため、どこを改善するかを特定できます。
私どもが支援する企業さまにも、1件あたりのコストと解決までの効率を高めるために、電話の受付をやめてすべてオンラインの問い合わせに切り替えた例があります。
結果、自己解決率は6割近くにのぼり、担当者が対応するのは残りの4割だけになり、体制を大きく効率化できたとのことでした。電話でしか対応できないと考えられてきたカスタマーサポートも、チャネルを大胆に変えれば、体制も対応できる件数も変わります。
一方で、担当者ひとりひとりに求められるスキルや経験は、以前より高度になりました。
この企業さまでも、人数を増やすことよりも、複雑な相談を解決できるカスタマーサポート人材を確保することへ、考え方が変わったそうです。窓口の名称や設置形態に決まりがないのと同じで、チャネルの構成にも唯一の正解はありません。自社のお客様に合わせて、小さな範囲からでも受付のかたちを見直してみてください。