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ロボコールとは?意味や仕組み、迷惑電話、各国の規制などを解説

ヘルプドッグ編集部
ロボコールとは?

ロボコールとは、あらかじめ録音した音声や、コンピューターで合成した音声を、機械が自動で発信する電話のことです。

企業や団体から個人へかけるのが基本です。支払いや予約のリマインドといった正規の業務連絡にも、迷惑電話や詐欺にも、同じ技術が使われています。

近年はAIがその場で受け答えするタイプも登場し、各国で規制の対象になりました。

ロボコールとは?

ロボコールは、電話番号のリストに沿って機械が自動で電話をかけ、相手が出ると用意した音声を流します。人が1件ずつダイヤルしなくてよいため、少ない人手で多くの相手に連絡できます。

電話がつながると、まずあらかじめ用意した音声が流れます。聞いた相手が用件に応じて番号ボタンを押すと、内容ごとに応答が分かれます。さらに詳しい話が必要なときは、担当者(オペレーター)に転送されることもあります。

AIが複数の相手に自動で電話をかける仕組み

流す音声には、大きく2つの作り方があります。1つは、人が話した内容をあらかじめ録音しておき、それを再生する方法です。もう1つは、AIが相手の話に合わせて、その場で言葉を作りながら受け答えする方法です。後者は本物の人と話しているように感じられ、機械からの電話だと気づかないこともあります。

正規の業務連絡と、詐欺などの悪用は、電話に出た時点では区別がつきません。そのため、企業からの正しい連絡までお客様に警戒され、出てもらえないこともあります。

ロボコールの主な使われ方

決まった内容を、大量の相手へ同時に伝える連絡に向いています。

自動で発信できるため、少ない人手で、短い時間に多くの相手へ知らせられます。だからこそ、期日の通知や緊急の連絡のように、速さと件数が求められる場面で使われます。

企業や公共機関がよく使う正規の用途を、次の表にまとめました。

用途どんな連絡に使うか
リマインド支払期日や予約日時を、期日の前に自動で知らせる
督促料金の未納や返済の確認を促す
緊急・災害時の通知運休や停電、避難の情報を一度に多くの人へ伝える
本人確認一度だけ使う確認番号を音声で伝える
アンケート・調査決まった質問に、番号ボタンで答えてもらう

一方、ロボコールは音声だけの一方向の連絡です。

込み入った相談や、条件を細かくすり合わせる用件には向きません。相手が電話に出なければ、留守番電話にメッセージが残るだけで、確実に伝わるとはかぎりません。

加えて、見知らぬ番号は警戒されるため、正規の連絡でも出てもらえないことがあります。

AIが電話対応を自動化するロボコールの仕組み

ボイスボット・IVR・オートコールとの違い

ロボコールとオートコールは、企業からお客様へ電話をかけます。IVRとボイスボットは、お客様からかかってきた電話に応じます。名前が似ていて紛らわしいのですが、電話をかける側と受ける側が逆で、使う目的も違います。

呼び方電話の向きどう動くか
ロボコール企業からの発信録音・合成した音声を自動で流す
オートコール企業からの発信録音した音声を自動で流す(営業・通知に使う呼び方で、ロボコールとほぼ同じ)
IVRお客様からの着信かかってきた電話に音声案内を流し、番号ボタンで用件を分ける
ボイスボットお客様からの着信かかってきた電話に、AIが音声で受け答えする

IVR(自動音声応答)は、お客様が電話をかけると「◯◯の方は1を押してください」という案内が流れ、あらかじめ決めた選択肢に沿って用件を分けます。ボイスボットは、かかってきた電話にAIが音声で応じ、決まった選択肢だけでなく相手の話に合わせて答えます。どちらも、お客様からの問い合わせを受ける側の技術です。

オートコールは、企業から自動で発信し、録音した音声を流します。ロボコールとほぼ同じ意味で、営業や通知の用途を指すときによく使われる呼び方です。ロボコールについて考えるときは、かかってくる自動音声(IVR・ボイスボット)と、こちらからかける自動音声(ロボコール・オートコール)を分けて捉えると、役割を取り違えずにすみます。

AIが会話するロボコールと、飲食店予約代行のトラブル例

ロボコールは、あらかじめ録音した音声を流すだけのものから、AIがその場で受け答えするものへ広がっています。人と話しているように感じられるため便利な半面、電話を受ける側の負担やトラブルも生まれています。

日本では、AIがお客様に代わって飲食店へ自動音声で電話をかけ、予約を取るサービスをめぐって、店側との摩擦がテレビなどの報道番組で報じられました。(出典:ITmediaビジネス「嫌がる飲食店に、AIが何度も予約の電話を…… 「オートリザーブ問題」はなぜ起きてしまったのか」2026年)

従来のロボコールは、決まった録音を一方的に流すものでした。近年は、AIが相手の受け答えに合わせて会話し、対応しきれないときは担当者に電話をつなぐこともできます。この技術が、企業からの発信だけでなく、個人に代わって電話をかけるサービスにも使われ始めました。

その一方で、受ける側に負担が偏る例が出ています。報じられているAIによる飲食店への予約代行サービスでは、お客様が店と日時を指定すると、AIがその店へ自動音声で電話をかけ、予約を伝えます。

AIが複数の業種へ自動で電話をかけて対応を代行する仕組み

ここで、いくつもの問題が起きました。店が知らないうちに店舗情報が掲載され、営業時間や定休日が実際と違えば、お客様との行き違いにつながります。電話に出るまで繰り返しかかってきて、営業中の店の手を止めます。コースの内容やアレルギーへの対応、席の種類といった細かい確認は、音声だけのやり取りでは十分にできません。

予約を受け付けていない店に、予約したつもりのお客様が来てしまう例も報じられました。ある飲食チェーンは、このサービスを経由した予約を全店で断ると表明しています。一方、運営会社は「法的に問題はない」との立場です。

電話をかける側は便利になり、電話を受ける側が負担を引き受けます。無断での掲載は、店の信頼を損ないます。受ける側にしわ寄せがいくのは、正規のサービスだけではありません。迷惑電話や詐欺では、それがさらに深刻になります。

日本で急増する迷惑電話・詐欺としてのロボコール

日本では、総務省やNTTをかたる自動音声の電話が急増しています。

「まもなく通信が使えなくなる」「未納料金がある」といった不安をあおる録音音声を流し、番号ボタンを押させてオペレーターにつなぎ、そこで氏名や口座情報を聞き出します。あらかじめ用意した音声を大量にかける、ロボコールの手口がそのまま詐欺に使われている例です。

多くは、発信者番号を偽った表示や、+から始まる国際電話番号でかかってきます。総務省やNTTは、通信停止や未納料金を自動音声で個人へ知らせることはないと注意を呼びかけています(出典:NTT東日本「NTT等を名乗る特殊詐欺への注意」2024年、警察・自治体の注意喚起)。

日本で確認されている主な手口を、次の表にまとめました。

種別(かたる相手・用途)自動音声の主な手口ねらい・影響確認時期
総務省・総合通信基盤局をかたるまもなく通信が止まると告げ、番号ボタンでオペレーターへ誘導する個人情報を聞き出し特殊詐欺へ2024年〜
NTT・NTT東日本・NTTファイナンスをかたる未納料金や回線停止を告げ、ボタン操作や指定番号への発信を促す電子マネーやプリペイドカードでの支払いを要求2023〜2026年
経済産業省など他の官庁をかたる「不明点は0番」などと案内し、オペレーターへ誘導する個人情報・金銭の詐取2024〜2025年
警察・検察へ次々つなぐ劇場型通信会社から警察・検察へと担当を装って交代し、口座の悪用を告げる保証金の名目で送金させる2024〜2025年
電力・料金プランを装う勧誘(オートコール型)お得なプラン診断などと流し、1・2のボタンで相手を選別する個人情報の取得や強引な勧誘(詐欺とは限らない)継続的

これらに共通するのは、録音・合成した自動音声でまず用件を伝え、番号ボタンを押させてオペレーターにつなぐ流れです。人が最初から話すのではなく、指示に応じた相手だけに絞り込む点が、ロボコールを使う詐欺・勧誘の特徴です。

お客様側の対処は、心当たりのない番号には出ないこと、出てしまっても指示に従って番号を押したり折り返したりしないことです。不審な番号は、インターネットで検索すると他の人の報告が見つかることがあります。固定電話は、着信を録音する防犯機能付きの電話機に替えると効果があります。困ったときは一人で判断せず、警察相談専用電話(#9110)や消費生活センターに相談してください(出典:国民生活センター「自動音声の電話で未納料金を請求する詐欺に注意」2023年)。

事業者にとって見過ごせないのは、こうした自動音声の詐欺が広がるほど、正規の連絡まで信じてもらえなくなることです。見知らぬ番号は反射的に警戒され、端末やキャリアによる着信拒否・番号の警告表示も普及しました。

そのため、事業者がアウトバウンドで電話をかけても、以前よりお客様に出てもらいにくくなっています。だからこそ、こちらから電話で追いかけるより、お客様が困ったそのときに、自分で答えを見つけられる状態を用意しておくほうが確実です。

よくある質問に自動で答えるAIチャットボットや、お客様自身が検索して解決できるFAQサイトを備えたAIカスタマーサポートシステム「ヘルプドッグ」のような手段なら、電話を鳴らさずに、お客様がご自身のタイミングで解決できます。

ECサイト上でAIチャット・よくある質問・問い合わせフォームが連携して動作している様子

各国の規制(米国・英国・EU・日本)

各国は、消費者の事前の同意を条件にして、ロボコールを規制しています。

米国、英国、EUは、自動音声による営業電話に事前の同意を求め、違反には賠償や制裁金を科します。米国は、AIが作る音声も規制の対象だと明確にしました。

一方、日本にはロボコールそのものを直接縛る法律がなく、営業に使う場合は特定商取引法が関わります。

AIによる自動音声電話を法規制で禁止する政府当局の姿勢を示したイラスト

主な国・地域の規制を、次の表にまとめました。

国・地域主な規制自動音声・AI音声の営業電話違反への対応
米国TCPA、TRACED法事前の同意が必要(AI音声を含む)消費者の訴訟・高額賠償、当局による執行
英国PECR事前の同意が必要ICOによる制裁金
EUeプライバシー指令事前の同意が必要各国の当局が執行
日本特定商取引法(電話勧誘販売)専用の規制はなく、営業なら明示義務などが関わる行政処分・一部罰則

米国の情勢

米国では、迷惑電話が桁違いの規模で問題になっています。2025年に消費者が受けたロボコールは、推計でおよそ525億件にのぼりました(出典:YouMail「Robocall Index」2025年 — 事業者による集計値)。連邦取引委員会(FTC)への電話勧誘拒否の苦情も、2025会計年度で260万件を超えています(出典:FTC「National Do Not Call Registry Data Book」2025年)。

こうした状況を背景に、米国ではロボコールを規制する法律が古くから定められてきました。中心になるのがTCPA(電話消費者保護法)で、1991年に成立し、事前の同意なく録音や自動音声で電話をかけることを制限しています。2024年には、AIが生成した音声もこの「人工的な音声」にあたると連邦通信委員会(FCC)が判断し、AI音声を使う電話も同意なしには違法になり得ると明確にしました(出典:FCC「FCC Makes AI-Generated Voices in Robocalls Illegal」2024年)。

さらに2019年のTRACED法は、発信者番号のなりすましを防ぐため、番号が本物かを検証するSTIR/SHAKENという認証技術の導入を通信事業者に義務づけ、罰則も強化しました(出典:FCC「TRACED Act Implementation」)。

米国で特に重いのは、消費者本人が事業者を訴えられる点です。違反1件あたり500ドル、悪質・故意なら最大1,500ドルの賠償を請求でき、1本の電話ごとに数えられます。多数へ発信するキャンペーンでは、集団訴訟で賠償総額が数億ドル規模に達した例もあります。無断の自動架電は、事業者にとって大きな訴訟リスクになります。

英国・EUの情勢

英国とEUも、自動音声の営業電話には受け手の事前同意を求めています。英国のPECR(プライバシーおよび電子通信に関する規則)では、録音メッセージによる営業電話は、受け手の明確な同意がなければかけられません(出典:英国情報コミッショナー(ICO)「Direct marketing(PECR)」)。

人が話す電話に同意していても、自動音声の電話には別に同意が必要です。発信拒否の登録制度(TPS)があり、無音電話や発信者番号の扱いは通信規制機関のOfcomが、違反への制裁金は情報コミッショナー(ICO)が担います。EUでは、eプライバシー指令が、自動発信の機械を使った営業電話に受信者の同意を求めています(出典:EU eプライバシー指令 2002/58/EC)。

日本の情勢

日本には、ロボコールだけを対象にした法律はありません。営業や勧誘に使う場合は、特定商取引法の電話勧誘販売のルールが関わります。事業者は勧誘の前に、事業者名と勧誘目的、商品やサービスの種類を告げなければなりません。断った相手への再勧誘や、事実と違う説明、威迫して困惑させる勧誘は禁じられ、違反は行政処分や罰則の対象になります(出典:消費者庁「特定商取引法ガイド」電話勧誘販売)。

ただし、これは営業・勧誘を対象とした規制です。AIが個人に代わって店へ電話する予約代行のように、営業目的とは言いにくい自動架電には、直接あてはまる規制が今のところありません。先にご説明したAI予約代行サービスの運営会社が「法的に問題はない」と述べた背景には、この空白があります。米国のような同意ルールや、高額の賠償を求められる制度が日本にはまだないため、迷惑を受けた側が法的に対抗する手段は乏しいのが現状です。

まとめ

AIによる音声の自動化は、カスタマーサポートの自動対応だけでなく、暮らしのさまざまな場面で使われるようになりました。便利になった一方で、AIが自動で電話をかけることをめぐっては、国内でもトラブルが相次ぎ始めています。だからこそ、AIを使う企業側にはリテラシーが求められ、受ける側には防衛策も必要になっています。

その反動は、カスタマーサポートの現場にも及んでいます。お客様への折り返しの電話がつながりにくくなりました。「知らない番号は出ない」というお客様側の自衛が広がり、iPhoneの標準機能のように、電話を自動でふるい分ける仕組みが当たり前になったことも背景にあります。結果として、私たちからの返信がお客様に届くまで、以前よりずっと時間がかかるようになりました。

一つひとつのケアに時間がかかるいま、お客様ご自身で解決していただけるチャンネルの大切さが増しています。技術そのものに善悪はありません。同じ自動音声が、支払いのリマインドにも、人をだます詐欺にも使われます。違いを生むのは、電話を受ける相手のことをきちんと考えているかどうかです。自分がされて嫌なことは、お客様にもしない。あたりまえのようで、自動化するとつい忘れてしまう見方だと思います。

AIの自動化は、正しく使えばお客様のためになります。大切なのは、こちらの都合でお客様を追いかける道具にしないことです。電話がつながりにくい時代だからこそ、お客様が困ったそのときに、自分のタイミングで答えを見つけられる状態を用意しておく。その積み重ねが、長い目で見て信頼につながると私は考えています。

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FAQ・よくある質問

Q1

予約や支払いのリマインドを自動音声で送るのは、電話勧誘の規制にあたりますか。

A

リマインドや通知など、契約の勧誘を目的としない連絡は、特定商取引法の電話勧誘販売にはあたりません。ただし、お客様が受け取ることに納得している連絡に限り、発信の時間帯や頻度に配慮し、事業者名を名乗ることが大切です。海外のお客様に発信する場合は、自動音声の電話に事前の同意を求める国が多いため、各国のルールを確認してください。

Q2

AIがお客様に代わって店へ電話をかける予約代行を受けた店側は、どう対応できますか。

A

対応できます。掲載の削除を運営会社に申し入れる、着信を拒否する、「このサービスを経由した予約は受け付けない」とお客様に明示するといった手段があります。ただし掲載自体を完全に止められるとはかぎらないため、自社の予約導線をはっきり用意しておくと、お客様との行き違いを防げます。

Q3

折り返しの電話がつながりにくいとき、お客様に用件を確実に伝えるには何をすればよいですか。

A

発信の前に、SMSやメールで「この番号から折り返します」と予告しておくと、警戒されにくくなります。留守番電話には、事業者名と用件を残しましょう。電話だけに頼らず、メールやチャットなど複数の手段を用意しておくと、つながらないときにも連絡が途切れません。

堀辺 憲
筆者

堀辺 憲 noco株式会社 代表取締役

クボタ、住友スリーエム、DeNAなどを経て2017年にnoco株式会社を創業。AIサポートシステム「ヘルプドッグ」等の開発プロデューサーを務める。数多くの企業のサポート部門・現場業務のDXを支援してきた実績から得た、カスタマーサポート領域およびナレッジマネジメントに関する深い知見をもとに、CS基盤の構築・改善に直結するノウハウを解説する。