総務の業務は毎月行われる月次業務に加え、年間単位で準備が必要な重要な業務も数多く存在します。これらの業務は、定められた期間内に確実に遂行しなければ、企業全体に大きな影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
例えば、年度末には予算の作成や見直し、各種報告書の提出、新年度の計画立案など多岐にわたる業務が集中します。また、労働基準法に基づく就業規則の改訂や、法定点検・検査の実施など、法令遵守を確実にするための業務も忘れてはなりません。
この記事では、総務部必見の「年間スケジュール」と業務一覧を詳しく紹介します。月別にどのような業務があるのか、その業務を円滑に進めるためのポイントについても解説しています。
年間スケジュールを作成するメリット
年間スケジュールを作成することで、業務の全体像を把握することができます。これは、総務部の業務効率化、時間管理の改善、担当者間の連携強化などに繋がり、ひいては企業全体の生産性向上に貢献します。
近年では、総務部の業務がますます多様化し、その範囲も広がっています。従来の経理や人事管理、施設管理に加え、労働法規の遵守、環境対策、社内コミュニケーションの促進など、新たな責任が増えています。
このような背景から、年間業務スケジュールの重要性は一層高まっています。
工数計算が簡単にできる
年間スケジュールを作成することで、各業務にかかる時間を事前に見積もることが可能になります。
これにより、適切な人員配置や必要なリソースの確保、納期管理などがスムーズに行えるようになります。また、工数計算を可視化することで、業務の効率化や改善点の発見にも役立ちます。例えば、ある業務に想定以上の時間がかかっている場合、その原因を分析し、業務プロセスを見直すことで、時間短縮を図ることができます。
適切な人員配置が可能
年間スケジュールにより、必要な人員を事前に確保することができ、人材不足を防ぎます。
例えば、繁忙期に集中する業務を把握することで、事前にアルバイトや派遣社員の雇用を検討したり、社員の残業時間を調整したりすることができます。適切な人員配置は、業務の質向上や従業員のモチベーション維持にもつながります。また、新入社員の研修計画や、社員のスキルアップのための研修計画なども、年間スケジュールに組み込むことで、計画的に人材育成を進めることができます。
ツールの準備がしやすい
必要なツールや資材を事前に準備することで、業務の進行がスムーズになります。
年間スケジュールを作成することで、必要なツールや資材を事前に把握し、発注や購入の手配を行うことができます。これにより、業務開始時にツールや資材が不足する事態を防ぎ、スムーズな業務遂行を可能にします。また、事前に準備することで、大量発注によるコスト削減や、納期遅延のリスク回避にもつながります。さらに、ツールや資材の在庫管理にも役立ち、適切なタイミングで補充を行うことができます。
総務業務の月別業務一覧
ここからは総務部の年間スケジュールに活用可能な月別の業務を紹介しましょう。
業種が違う場合にも、総務部に求められる業務は大きく変わりませんので、ぜひ参考にしてください。
1月
お正月休みを終えた1月は多忙な年始業務の開始です。営業日数が少なく、年賀状の返礼や新年会の準備など1月ならではの業務に追われる中で、年度末に向けての業務もスタートします。
1月の業務の例
対社外業務
- 年賀状の返礼(住所録の整理)
- 年始回り(来客対応含む)
対社内業務
- 新年会の準備および開催
その他
- 社会保険料の納付
- 源泉徴収所得税額および特別徴収住民税額の納付
- 軽度労働者死傷病報告の提出
- 給与支払報告書の提出
- 法定調書の提出
- 源泉徴収票の提出
- 労働保険料の納付
- 固定資産税の償却資産に関する申告
- 給与所得者の扶養控除等申告書の回収
2月
2月は翌月の期末に向けて準備を行う月です。目標達成に向けたラストスパートが必要な業務もあります。また、新年度に向けて業務規程の見直しを行う時期でもあります。
2月の業務の例
対社内業務
- 各種業務規程の見直し
- 新年度の経費削減対策の検討
その他
- 社会保険料の納付
- 源泉徴収所得税額および特別徴収住民税額の納付
- 固定資産税の納付
- 消費税の中間申告および納付
3月
3月は年度末であり、決算書の作成を行います。目標達成度合いの把握や来年度の取り組み、新年度の人事異動に向けた準備も必要です。
3月の業務の例
行事
- 春の全国火災予防運動
対社内業務
- 入社式の準備
- 人事異動に向けた準備
その他
- 社会保険料の納付
- 源泉徴収所得税額および特別徴収住民税額の納付
- 贈与税の申告および納付
- 年度末期限契約の確認と更新
- 次年度の介護保険料対象者の確認
- 三六協定の更新および届出
- 労働保険料の納付
4月
4月は新年度の開始であり、新しい体制・経営方針の遂行が求められます。また、新入社員の教育に多くの時間を費やします。6月の株主総会に向けた準備も始めます。
4月の業務の例
対社外業務
- 株主総会の準備
- ゴールデンウィーク休暇中の社内体制確立
対社内業務
- 入社式の準備、開催
- 新入社員の入社手続き
- 新入社員教育の準備および運営
- 人事異動の発令
- 歓迎会の準備、開催
- ゴールデンウィーク休暇の準備
その他
- 社会保険料の納付
- 源泉徴収所得税額および特別徴収住民税額の納付
- 軽度労働者私傷病報告の提出
- 決算書類の作成
- 源泉徴収票の提出
- 固定資産税の納付
- 給与支払い報告にかかる給与所得者移動届出書の提出
- 雇用保険料免除対象者の確認
- 有給休暇の繰越確認
5月
株主総会に向けての本格的な準備が進みます。年始業務が落ち着き、環境整備に取り組む月です。
5月の業務の例
対社外業務
- 株主総会の準備
- ゴールデンウィーク休暇中の社内体制確立
対社内業務
- 制服の衣替えの準備
- 冷暖房設備のメンテナンスおよび点検
その他
- 社会保険料の納付
- 源泉徴収所得税額および特別徴収住民税額の納付
- 3月決算法人の法人税、消費税、地方消費税の申告および納付
- 自動車税の納付
- 高齢者および障害者雇用状況報告書の提出
6月
6月は株主総会の月であり、その準備がメイン業務となります。株主総会は法的に定められた行事であり、事務手続きや準備に多くの時間が必要です。
6月の業務の例
行事
- 男女雇用機会均等法月間
- 外国人労働者問題啓発月間
対社外業務
- 株主総会の開催
- お中元の準備
- 暑中見舞いの準備
対社内業務
- 定期健康診断の実施
- 夏季賞与の計算
- 夏季休暇時期の検討
その他
- 社会保険料の納付
- 源泉徴収所得税額および特別徴収住民税額の納付
- 労働保険の年度更新
- 固定資産税の納付
7月
細かい法定業務が多い月なので、それぞれの業務の期限に注意が必要です。暑さが本格的になるため、業種によっては暑さ対策や衛生管理の徹底が求められます。
7月の業務の例
行事
- 全国安全週間
対社外業務
- 新卒採用活動
- お中元の発送
- 暑中見舞いの発送
対社内業務
- オフィス環境、冷房機器の点検
- 熱中症対策、衛生管理の徹底
その他
- 社会保険料の納付
- 源泉徴収所得税額および特別徴収住民税額の納付
- 賞与支払い
- 健康保険および厚生年金保険被保険者賞与支払届の提出
- 源泉所得税の納付
- 軽度労働者死傷病報告の提出
- 算定基礎届の提出
- 高年齢者雇用状況報告書および障害者雇用状況報告書の提出
- 労働保険料の納付
- 労働保険の年度更新および納付
8月
お盆の夏季休暇があるため、緊急時の連絡方法などの確認が必要です。比較的業務の落ち着いている月なので、防犯や防災に対する取り組みを充実させましょう。
8月の業務の例
行事
- 食品衛生月間
対社外業務
- お中元のお礼状の発送
- 採用内定者のフォロー
- 夏季休暇中の社内体制確立
対社内業務
- 夏季休暇の予定確認
- 防災訓練の準備
その他
- 社会保険料の納付
- 源泉徴収所得税額および特別徴収住民税額の納付
- 消費税の中間申告と納付
9月
9月は上半期の最終月であり、下半期の人事異動に向けた準備が必要です。
9月の業務の例
対社内業務
- 人事異動に向けた準備
- 防災訓練の実施
その他
- 社会保険料の納付
- 源泉徴収所得税額および特別徴収住民税額の納付
- 厚生年金保険料率の改定
10月
10月は厚生労働省が定める「全国労働衛生週間」で、社員のストレスチェックを実施する企業が多いです。下半期のスタートとして、年度目標達成に向けた軌道修正が必要です。
10月の業務の例
行事
- 全国労働衛生週間
対社外業務
- 内定式
- 採用者のフォロー
対社内業務
- 定期健康診断の実施
- 制服の衣替えの準備
- 損害保険、火災保険、自動車保険の見直し
その他
- 社会保険料の納付
- 源泉徴収所得税額および特別徴収住民税額の納付
- 労働保険料の納付
- 軽度労働者死傷病報告の提出
- 下半期からの健康保険および厚生年金保険の報酬月額改定の準備
11月
11月は年末の繁忙期に向けてタスクが増える月であり、内定者への教育も本格的になります。
11月の業務の例
行事
- 秋の全国火災予防運動
対社外業務
- お歳暮の準備および発送
対社内業務
- 内定者の教育
- 冬季賞与の計算
その他
- 社会保険料の納付
- 源泉徴収所得税額および特別徴収住民税額の納付
- 3月決算法人の法人税、消費税、地方消費税の申告および納付
- 消費税の中間申告と納付
12月
12月は大掃除や設備点検など整理整頓のタイミングです。年末の慌ただしい時期ですが、業務に漏れがないように注意が必要です。
12月の業務の例
対社外業務
- 年賀状の準備および発送
- 年末年始の社内体制確立
対社内業務
- 大掃除の実施
- 法定保存期間の過ぎた書類の処分
- 年末年始休暇の準備
その他
- 社会保険料の納付
- 源泉徴収所得税額および特別徴収住民税額の納付
- 賞与支払い
- 年末調整
- 固定資産税の納付
まとめ
総務が対応する年間を通した業務の一覧を紹介いたしました。この記事を参考にして、業務に漏れがないように自分なりにアレンジを加え、年間スケジュールを立ててみてください。
また、総務が担当する業務には納税や書類の提出などが数多くありますが、作成の必要がある書類や手順は毎年大きくは変わりません。書類の作成方法や手順をまとめて業務マニュアル化し、毎年の作業をより楽にする方法も併せて検討すると良いでしょう。
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