FAQサイトとチャットボットは、どちらもお客様の疑問をその場で解決するための仕組みですが、役割が大きく異なります。FAQサイトは、よくある質問と答えをページにまとめて並べ、お客様が探して読む場所です。チャットボットは、お客様の質問を受けて、その場で答えを返すやり取りの窓口です。
この2つは、どちらか一方を選ぶものではありません。組み合わせて使うことが重要です。AIを使ったチャットボットは、多くの場合、FAQサイトに登録した記事をもとに答えます。つまり、答えのもとになる記事をFAQサイトに用意し、その記事を使ってチャットボットが受け答えする、という関係です。
FAQサイトとチャットボットそれぞれの違いと、どちらを選ぶべきかなど、ご説明します。
FAQサイトとチャットボットの違い
FAQサイトとチャットボットは、お客様の動き方と、用意するものが違います。FAQサイトは、お客様が自分でページを探して読みます。チャットボットは、お客様が質問を入力すると、答えが返ってきます。順に見ていきます。

お客様の動き方
FAQサイトでは、お客様が一覧やカテゴリーから質問を探し、ページを開いて答えを読みます。知りたいことが決まっていて、自分で探せるお客様に向いています。ただし、どの質問が自分の知りたいことに近いか分かりにくいと、目的の答えを見つけられないことがあります。
チャットボットでは、お客様が質問を文章で入力するか、表示された選択肢を選ぶと、その場で答えが返ります。探す手間がかからないため、何ページもめくらずに解決できます。一方で、答えられるのは、用意した範囲の質問に限られます。
用意するものと運用
FAQサイトでは、質問と答えを記事にして、サイトに載せます。記事を追加し、内容が古くなれば修正する、という更新を続けます。
チャットボットでは、答え方によって用意するものが変わります。シナリオ型は、想定する質問と選択肢、その答えのパターンを登録します。AI型は、答えのもとになるFAQの記事やマニュアルを用意します。AI型のもとになる記事は、FAQサイトの記事をそのまま使える場合が多くあります。
答えの正確さと幅
FAQサイトは、人が書いた記事をそのまま見せます。書いてある内容は正確ですが、お客様が探し当てた記事に答えがなければ、解決しません。
チャットボットのうちAI型は、お客様の質問に合わせて答えを返せます。ただし、もとになる記事が古かったり、足りなかったりすると、誤った答えを返すことがあります。正確さは、もとになる記事の状態によって決まります。
| 比較する点 | FAQサイト | チャットボット |
|---|---|---|
| お客様の動き | 自分でページを探して読む | 質問すると答えが返る |
| 答えが返る速さ | 探す手間がかかる | その場で返る |
| 用意するもの | 質問と答えの記事 | シナリオ型は質問と答えのパターン、AI型は答えのもとになる記事 |
| 答えの幅 | 載せた記事の範囲 | AI型は言い方の違いにも対応 |
| 向いている使い方 | じっくり読んで調べたいとき | すぐに答えがほしいとき |
選ぶときに見るポイント
どちらが自社に合うかは、お客様がどう調べる方か、何を目的に導入するかで変わります。仕組みの違いに加えて、次の点も見ておくと、自社に合うほうを選べます。
| 見るポイント | FAQサイト | チャットボット |
|---|---|---|
| ご利用に向いているお客様 | 文字を読んで選ぶ形のため、年齢を問わず使える | 文字を入力する形のため、文字でのやり取りに慣れた、比較的若い層に向きます |
| 検索結果からの誘導 | ◎ 記事が検索結果に表示され、答えのページへ直接来てもらえる | ✕ 会話の内容は検索結果に表示されない |
| 得意な場面 | 図や手順を使って、詳しく説明できる | 質問に対して、その場で答えを返せる |
| 苦手な場面 | 答えを見つけるまで探す手間がかかる | 用意していない質問には答えられない |
とくに、お客様の年齢層と、文字の入力に慣れているかは、先に確かめておきます。一般に、年齢が上がるほど、文字を打つより、電話や、並んだ質問から選んで読む形を好む方が増えます。また、検索で調べたお客様を答えのページへ導きたいなら、記事が検索結果に表示されるFAQサイトが向いています。
このように、FAQサイトは答えをためて見せる場所、チャットボットは答えを返すやり取りの窓口、という違いがあります。多くのAIチャットボットは、FAQサイトの記事をもとに答えるため、2つは組み合わせて使えます。
FAQサイト、チャットボットどちらを先に導入すべきか
FAQサイトとチャットボットは、どちらか一方だけを選ぶより、組み合わせて使うほうが、お客様が解決できる場面は増えます。
自分で探して読みたいお客様にはFAQサイトの記事が、すぐに答えがほしいお客様にはチャットボットが、それぞれ役立つためです。どちらから用意するかは、すでにある記事と、問い合わせの件数や内容によって決まります。

どちらを先に用意するか
迷ったときは、FAQサイトの記事をそろえることから始めると、無駄がありません。用意した記事は、お客様が読むFAQサイトとしても、チャットボットが答えるもととしても使えるためです。記事がないままチャットボットだけを導入すると、AI型でも的確に答えられず、期待した働きをしません。
問い合わせの件数が多く、お客様がすぐに答えを求める場面が多いなら、その記事をもとにチャットボットを導入します。FAQサイトとチャットボットが同じ記事を使うため、内容のくい違いも起きません。
チャットボットだけを先に入れるのをすすめない理由
チャットボットを先に導入し、FAQサイトの記事をあとまわしにすると、つまずく原因になります。理由は、チャットボットが答えを自分で考え出すわけではないからです。
シナリオ型は、登録した質問と答えのパターンの中でしか応対できません。AI型も、もとになる記事がなければ、答えを組み立てられません。記事がないまま導入すると、お客様の質問に「答えが見つかりません」と返すばかりになります。AI型では、もとの情報が足りないために、誤った答えを返してしまうこともあります。
最初の応対でこれが続くと、お客様は「このチャットボットは役に立たない」と感じ、二度と使わなくなります。海外の調査会社ガートナーが顧客497人に行った調査では、チャットボットを一度使った人のうち、また使いたいと答えた人は4人に1人(25%)にとどまっていました(出典:Gartner「Gartner Survey Reveals Only 8% of Customers Used a Chatbot During their Most Recent Customer Service Interaction」2023年)。最初に「使えない」と思われると、後から記事をそろえても、使ってもらうのは難しくなります。
結局は、答えのもとになる記事を用意することになります。それなら、先にFAQサイトの記事をそろえ、そのうえでチャットボットを導入するほうが、やり直しが要りません。
両方を組み合わせて使う
両方をそろえると、お客様は、自分で探して読むか、質問して答えてもらうかを、その時々で選べます。FAQサイトに記事をため、その記事をもとにチャットボットが受け答えします。記事を新しく保てば、FAQサイトの表示も、チャットボットの答えも、まとめて新しくなります。
気になる費用の相場
費用は、ツールの種類によって相場が大きく変わります。FAQサイトの専用ツールは、月額15万円以上が相場で、高機能なものは月額50万円以上になることもあります。チャットボットは、シナリオ型なら月額5,000円ほどから始められますが、AIが文章を読み取って答えるAI型になると、月額50,000円以上が目安です。
ヘルプドッグは、こうした料金体系とは全く一線を画すAIカスタマーサポートシステムです。FAQサイトの作成とAIチャットボットを、わずか月額39,800円〜(税別)でまとめて使えます。同じ記事をFAQサイトとチャットボットの両方で使えるため、記事管理の手間もかからず、別々のツールを契約する必要もありません。

まとめ
最後に、支援の現場で見てきたことをお話しします。「チャットボットさえ入れれば解決する」と考えて、土台になるFAQの記事をあとまわしにした会社は、つまずいています。
チャットボットは、お客様に質問を文字で入力してもらって初めて成り立つ仕組みです。ここで一度、考えてみてください。貴社のお客様の年齢層やデモグラフィック(性別・年代・住む地域などの人物像)からみて、チャットボットに文字を入力してくれる方が多いでしょうか。お客様によっては、文字を打って質問すること自体が、負担になります。
その点、FAQサイトは、検索で探せるだけではありません。画面のどこに何を置くか、どう見せるかを設計することで、お客様が、知りたい答えのある記事を見つけられるよう導けます。文字を入力しなくても、並んだ質問を選んで読めます。
ですから、他社が導入するからという理由だけでチャットボットに飛びつくのは、順番が逆です。まず、お客様のデモグラフィックを確かめ、そのお客様にとって最適なチャネルはどれかを見きわめます。そのうえで、FAQサイトで答えの土台を用意し、チャットボットはその次の選択肢として考えます。この流れをおすすめします。