チャットとは、Webサイトやアプリの画面で、お客様と担当者が文字を打ち合って、その場でやり取りする問い合わせ手段です。ライブチャットやWebチャットとも呼ばれます。電話のように声で話す代わりに、メッセージアプリのように短い文章を送り合い、リアルタイムで会話を進めます。
お客様は、ページを見たまま質問を送れます。担当者は、その質問に文字で答えます。電話がつながるのを待ったり、メールの返信を翌日まで待ったりせず、やり取りをその場で進められます。
この記事では、ライブチャットの電話・メールとの違い、導入するとお客様と現場にどう役立つか、始めるときに気をつけることまで、順にご説明します。
ライブチャットと電話・メールの違い
ライブチャットは、その場でやり取りができ、文字の記録も残る問い合わせ手段です。一方、電話は声でその場で話せますが記録は残らず、メールは記録が残る代わりに返信を待ちます。同じ問い合わせ手段でも、応答までの速さや、お客様と担当者の負担が異なります。

| 比較する点 | ライブチャット | 電話 | メール |
|---|---|---|---|
| やり取りの形 | 文字でその場で会話する | 声でその場で会話する | 文字で送り、返信を待つ |
| 応答までの速さ | すぐに始められ、その場で往復できる | つながれば早いが、待つことがある | 数時間〜数日かかることがある |
| 記録の残り方 | やり取りが文字で残る | 残らない(録音は別途必要) | やり取りが文字で残る |
| 資料・画像の添付 | ツールにより送れる | 送れない | 送れる |
| 担当者の同時対応 | 複数のお客様に対応できる | 一度に一人 | 複数のお客様に対応できる |
| お客様側の手間 | 文字を打つ。ページを離れずに済む | 電話をかけ、つながるまで待つ | 文章を書き、返信を待つ |
| 向いている内容 | その場で解決したい短い質問 | 複雑な相談、急ぎの用件 | 記録を残したい込み入った内容 |
| 対応する側の体制 | 対応時間帯に担当者が必要 | 対応時間帯に担当者が必要 | 都合のよい時間に返信できる |
| 費用の考え方 | ツールの月額料金がかかる | 電話回線・人員の費用がかかる | メール1通あたりの費用は小さい |
ライブチャットの利点は、速さと記録の両方を備えている点です。ただし、お客様が文字を打って質問する手段のため、口頭で伝えたいお客様には電話が向きます。込み入った内容や、資料を添えて詳しく伝えたい場合は、メールが適しています。
ライブチャットを導入すると変わること
ライブチャットを導入すると、お客様は疑問をその場で解決でき、現場は問い合わせ対応を効率よく進められます。すぐに答えを返せて、しかもやり取りが記録に残る。この2つを同時に満たせる点が、電話やメールにはない強みです。お客様側と現場側に分けて、何が変わるかをご説明します。
お客様側:その場で疑問が解決し、離脱が減る
お客様は、ページを見たまま質問を送り、その場で答えを受け取れます。電話のように番号を探してかけたり、メールのように返信を待ったりする必要はありません。だからこそ、疑問がわいた瞬間に聞けて、解決までの時間が短くなります。
この「その場で聞ける」ことは、購入や申し込みの途中でとくに効きます。たとえば、送料や解約の条件が分からず、手続きの途中で手が止まったとします。このとき電話やメールしかなければ、多くのお客様は確認をあきらめ、そのまま離れてしまいます。ライブチャットがあれば、ページを離れずにその場で質問し、答えを見てから手続きを続けられます。その結果、疑問を残したまま離れるお客様が減り、購入や申し込みまで進みやすくなります。
やり取りが文字で残ることも、お客様の助けになります。案内された手順や条件を、あとから何度でも読み返せるからです。電話のように内容を聞き逃して、もう一度かけ直す手間もありません。
さらに、電話が苦手なお客様にも使いやすい点があります。人によっては、声で話すより、文字で質問するほうが気軽だからです。電話をかけるほどでもない小さな疑問でも、文字でなら送れます。こうして問い合わせのハードルが下がると、これまで問い合わせをためらっていたお客様の声も集まります。

現場側:同時に対応でき、応対のばらつきも抑えられる
担当者は、1人で複数のお客様に同時に対応できます。電話は一度に一人としか話せませんが、ライブチャットなら、あるお客様が返信を打っている間に、別のお客様の質問に答えられるからです。そのため、同じ人数でも、対応できる件数が増え、1件あたりの対応コストを下げられます。
扱える件数は、担当者の慣れによって変わります。新人は1件から始め、慣れた担当者で最大4件ほどが目安です(出典:MetricNet「An Overview of Chat Metrics」)。ある実測研究では、1件から2件に増やすと生産性が約85%上がり、お客様の待ち時間の増加は約3秒にとどまる一方、3件を超えると、お客様が待つ時間が増え、効果が薄れると報告されています。込み入った質問ほど件数を減らし、質を保てる範囲におさめることが前提です。
1人あたりの処理件数の目安も、参考になります。外部委託型サービスデスクの例では、チャット担当者1人あたり月127件のチャットに対応しています(出典:MetricNet「SAMPLE Outsourced Service Desk Benchmark」)。月20営業日で割ると、1日あたり約6件です。ただし、これは平均値です。1件あたりの対応時間や、同時に対応する件数、稼働時間によって、実際の件数は上下します。

ここまでは、対応できる件数の話でしたが、ライブチャットの利点は、件数だけではありません。やり取りがすべて文字で残るため、応対の質もそろえやすくなる点も特長です。
まず、お客様とのテキストによるコミュニケーション記録が残るため、対応の内容をあとから確認できます。どのお客様に何を伝えたかがわかるので、担当者が代わっても、それまでの経緯をそのまま引き継げます。電話での応対にありがちな、言った・言わないの行き違いも起きません。
次に、新しく入った担当者でも、一定の水準で応対できます。よくある質問への答えを定型文として用意しておけば、担当者ごとの言葉づかいのばらつきをおさえられるからです。しかも、文字は送る前に読み返せます。とっさの受け答えで言い間違える心配も、電話より少なくなります。
さらに、たまっていく記録は、お客様がどこでつまずくかを教えてくれるヒントとなります。たとえば、同じ質問が何度も届くなら、その答えをFAQサイトの記事にすることで、お客様ご自身による自己解決を促し、問い合わせそのものを減らせます。
ライブチャットを始めるときの注意点
ライブチャットは、担当者がその場で応対する手段です。そのため、対応する時間帯に担当者を置けるか、混み合ったときにどう応対するかを、始める前に決めておく必要があります。準備しておきたい3点をご説明します。
対応できる時間帯を決めておく
ライブチャットは、担当者が応対して初めて成り立ちます。担当者がいない時間にお客様が質問を送っても、返事はできません。まず、何時から何時まで応対するかを決め、その時間をチャットの画面に表示します。応対できる時間をお客様に伝えておけば、返事を待たせたまま放置する事態を防げます。
対応時間の外は、問い合わせフォームに切り替える方法があります。フォームで質問と連絡先を受け取り、翌営業日に担当者が返信すれば、時間外の質問も取りこぼしません。

一度に対応できる件数を決めておく
担当者1人が同時に応対できる件数には、限りがあります。慣れた担当者でも、扱う件数が増えるほど、一つひとつの返信は遅くなります。1人あたり何件までを上限にするかを決め、それを超えた分は順番待ちにするか、別の担当者に振り分けます。
問い合わせが集中する時間帯は、担当者を増やすか、チャットボットとの組み合わせで対応します。たとえば、はじめにチャットボットがよくある質問に答え、チャットボットで答えられない内容だけを担当者が引き継ぎます。担当者は複雑な質問に絞って応対でき、お客様を待たせる時間も短くなります。
応対の基準をそろえておく
複数の担当者で応対すると、答え方や言葉づかいに差が出ます。お客様によって案内が違うと、混乱を招きます。よくある質問への回答や、言葉づかいの基準を、あらかじめ決めておきます。
答えに困る質問が来たときの対応も、決めておくと安心です。その場で答えず、確認してから折り返す。クレームは責任者に引き継ぐ。こうした手順を用意しておけば、担当者が迷わず応対でき、誤った案内も防げます。
AIカスタマーサポートシステム「ヘルプドッグ」なら、ライブチャットと、よくある質問に自動で答えるAIチャットボットを組み合わせて使えます。混み合う時間帯や対応時間の外はチャットボットが一次対応し、担当者は複雑な質問に集中できます。
まとめ
最後に、サポートチャネルをどう選ぶかについて、私の考えをお話しします。
電話には、お客様が思いのままに話せる利点があります。ただ、その場で話すぶん、必要なことを整理して伝えたり、聞きたいことを漏れなく確認したりするのは、簡単ではありません。録音を残していても、言った・言わないの行き違いは起こります。さらに、感情的になったお客様をなだめるなど、本来のサポート以外に時間とコストを取られることも起こりがちです。
その点、テキストでのやり取りには、相談の内容が文字で残る利点があります。お客様は要点をまとめながら質問でき、担当者も、そのテキストをもとに、必要な答えへとお客様を導けます。ただし、文字に残ることは、裏返せば注意点にもなります。お客様が送った内容は、データとして残り続けるからです。
また、テキストなら必ず速く解決できる、とは限りません。やり取りのテンポは、お客様と担当者のタイピングの速さによって変わるからです。
電話もチャットも、お客様からの問い合わせを受けて応じる、受け身のチャネルです。それぞれに利点と注意点があります。だからこそ、お客様の年齢や性別、行動のしかた、感情面のケアが必要かどうかに応じて、適したチャネルを選んで用意することが大切です。