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FAQサイトのKPIとは?効果測定で見るべき指標と改善の進め方

ヘルプドッグ編集部
FAQサイトのKPIとは?

FAQサイトの効果は、1つの数字だけでは測れません。お客様がFAQまで来て(閲覧数)、検索で答えを見つけ(0件ヒット率)、読んで解決できたか(解決率)。この流れのどこでつまずいているかを、複数の指標を並べて確かめます。

さらに、外部の検索からどれだけ集客できているか(検索順位や流入数)、公開後に更新を続けられているか(更新頻度)も合わせて見ます。

FAQサイトで見るべき主要指標

1.どれだけ使われているか(利用量)

最初に確かめるのは、FAQが読まれているかどうかです。閲覧数が伸びないときは、中身を直すより先に、お客様がFAQへ来られる経路を見直します。具体的には、サイト内のリンクや、トップページからFAQへ進む案内を確かめます。入口が分かりにくいと、内容を直しても読まれません。

サイト内検索の検索数も見ておきます。お客様が自分で答えを探した回数で、多いほど、問い合わせずに解決したいニーズが高いと分かります。

2.探している答えを見つけられているか(探しやすさ)

検索が使われていても、答えを見つけられているとは限りません。最もすぐ手を打てるのが0件ヒット率です。検索したのに答えが一つも出てこなかった言葉が分かるので、足りないFAQをそのまま追加の候補にできます。結果は出たのに一つも開かれずに離れた場合(検索後の離脱)は、答えはあるのに、タイトルや言葉がお客様の探し方と合っていないサインです。

直帰率と平均滞在時間は、読み方に気をつける必要があります。直帰率(最初の1ページだけ見て離れた割合)は、すぐ解決して満足した場合でも、ページが目的と違って離れた場合でも、同じように高くなります。平均滞在時間も、丁寧に読んだ場合と、分かりにくくて時間がかかった場合の両方で長くなります。どちらも単独では良し悪しを決めず、解決率など他の数字と並べて読みます。

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3.実際に解決できたか(成果)

FAQが目指すのは、お客様が問い合わせをせず、自分で解決できることです。読まれた回数より、解決できた割合を重視します。これに最も近いのが解決率で、評価ボタンで「役に立った」が押された割合です。解決率が低い記事は、説明が分かりにくいか、お客様が求める答えとずれています。

ただし解決率は、評価した人数(母数)とあわせて判断します。2人中2人が「役に立った」でも、判断の材料にはなりません。母数が十分にある記事から、低評価の多いものを先に見直すと、役に立たないFAQが減り、全体の解決率が上がります。

問い合わせ削減率も成果を示しますが、扱いには注意がいります。問い合わせの増減は、製品の変更や季節、サービスを使うお客様が増えたことなど、FAQ以外の理由でも起こります。FAQだけの成果と決めつけず、公開の前後の傾向として見ます。さらに、届いた問い合わせの内訳を見ると、すでにFAQがある内容なら「見つけられていない(探しやすさの問題)」、ない内容なら「答え自体が足りない(中身の問題)」と切り分けられます。

4.外部の検索から見つけてもらえているか(集客・SEO/AIO)

FAQは、すでにサービスを使っているお客様だけが見るものではありません。GoogleやBingで困りごとを検索した人に、その答えとして自社のFAQページが表示され、そこで初めてサービスを知ることもあります。検索結果から訪れることを、オーガニック流入(広告ではなく、検索結果のリンクからの訪問)と呼びます。これが増えるほど、自社を知らない人にもFAQを見てもらえています。

ここで関わるのがSEO(検索エンジン最適化。Search Engine Optimizationの略で、検索結果に上位で表示されるようにする取り組み)です。狙う言葉での検索順位が低ければ、その言葉からの流入は少なくなります。そこで、検索順位と、検索結果での表示回数・クリック率(検索結果に出た回数のうち、押された割合)を並べて確かめます。順位は悪くないのにクリック率が低ければ、検索結果に表示されるタイトルや説明文を見直します。

近年は、もう一つの入口として生成AIが加わりました。ChatGPTやGemini(どちらも質問に文章で答える対話型のAIサービス)は、回答を作るときにWeb上のページを参考にします。質問と答えが組みになったページは、AIが内容を正しく読み取れるため、その回答の中で自社のFAQが引用されることがあります。こうしてAIに引用される機会を増やす取り組みは、AIO(AI最適化)などと呼ばれます。

5.公開後も見直しを続けられているか(運用・鮮度)

指標を測っても、見直しが続かなければ数字は動きません。運用そのものが続いているかも、数字で確かめられます。

FAQに書いた料金や仕様、手順は、サービスの変更にともなって古くなります。内容が古いまま残ると、お客様に誤った案内をしてしまい、サービスへの信頼を損ないます。そこで、各記事の最終更新日を確認し、長く更新していない記事から直します。月や四半期ごとに何件追加・修正したかを数えれば、改善のサイクルが回っているかが分かります。その件数がゼロのまま続けば、運用は止まっています。

ここまで挙げた指標を、最初からすべて追う必要はありません。まずは閲覧数・0件ヒット率・解決率の3つに絞ると、読まれているか・足りない言葉・答えの質を、少ない手間で確認できます。運用に慣れてきたら、問い合わせ削減率や検索エンジン経由の流入を足します。

FAQサイトで見るべき代表的な指標・KPI

FAQサイト内検索のログや評価ボタンの結果などは、ツールに計測する機能がないと取得できません。

まずは自社のツールで何を測れるかを確認すると、現実に追える指標を絞れます。次の表に、分類ごとの主な指標と、それを見る理由をまとめます。

分類指標何が分かるか・なぜ見るか
利用量閲覧数(PV、Page Viewの略)どのFAQがよく読まれているか。読まれていなければ、中身より先に見つけてもらう手を打つ
利用量訪問者数(UU、Unique Usersの略)実際に何人が見ているか。PVと併せ、少人数の繰り返しか多人数かを区別する
利用量サイト内検索の検索数お客様が自分で答えを探した回数。多いほど自分で解決したいニーズが高い
利用量流入経路どこから来たか。問い合わせる前にFAQへ来ているかが分かる
探しやすさ0件ヒット率検索したのに結果が0件(1件も表示されない)だった割合。足りないFAQが分かる
探しやすさ検索後の離脱率結果を1つも開かずに離れた割合。タイトルや言葉選びの問題が分かる
探しやすさよく検索される言葉お客様が実際に使う言い回し。FAQのタイトルや本文に反映できる
探しやすさ直帰率1ページだけ見て離れた割合。※満足とも不一致ともとれるため、単独では判断しない
探しやすさ平均滞在時間ページに留まった時間。※丁寧に読んだとも分かりにくかったともとれるため、単独では判断しない
成果解決率(「役に立った」割合)お客様から見た答えの良し悪し。低い記事は内容を見直す
成果評価数(母数)何人が評価したか。少なすぎる率はそのまま信用しない
成果低評価が多い記事「役に立たなかった」が集中する記事。どこから直すかの優先順位になる
成果自己解決率お客様が問い合わせず解決できた割合。※正確な計測は難しく目安
成果問い合わせ削減率・件数の推移対応の負担が実際に減ったか。※FAQ以外の要因でも増減するため傾向で見る
成果問い合わせ内容の内訳届いた問い合わせのうち既にFAQがある内容の割合。「無い」か「見つからない」かを切り分けられる
集客検索エンジン経由の流入Google・Bingなどから来た数。自社を知らない人への入口になる
集客検索順位狙う言葉での掲載順位。低いとその言葉からの流入が少なくなる
集客表示回数・クリック率(CTR、Click Through Rateの略)検索結果に出た回数と押された割合。タイトル・説明文の訴求が分かる
集客生成AI経由の参照ChatGPTなどが回答に使うこと。※新しい入口だが計測は難しく参考
運用・鮮度記事数・カバー率FAQの本数と、想定質問のうち用意できている割合。網羅できているかの基礎
運用・鮮度最終更新からの経過(鮮度)いつ更新したか。古い情報は誤案内になり信頼を損なう
運用・鮮度期間あたりの新規追加・改善数月・四半期で何件追加・修正したか。改善が回っているかが分かる

測定した数字をFAQの改善に使う

FAQの改善は、二つの作業を繰り返して進めます。一つは、数字を見て、FAQに足すべき内容や、書き直すべき記事を見つける作業です。

もう一つは、見つかった記事が複数あるとき、どれから修正するかを決める作業です。月や四半期ごとにこの二つを行い、修正したあとで数字がどう動いたかをまた確認します。

こうして続けることで、公開したあとのFAQを、実際の問い合わせや検索に合った状態に保てます。

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どのくらいの間隔で数字を見るか

お客様の問い合わせ内容や、検索で使われる言葉は、サービスの変化とともに移り変わります。そのため、決まった間隔で数字を見ます。

問い合わせの内容と、サイト内検索で使われた言葉は、月に一度を目安にまとめて確認します。とくに、検索しても結果が0件だった言葉は、まだ答えを用意できていないFAQの候補です。毎月書き出して、新しく追加するFAQの材料にします。解決率や問い合わせ件数は、1か月では大きく動きません。こちらは四半期に一度を目安に、前の3か月と比べて増減を見ます。

どの記事から修正するかの決め方

修正したい記事が複数あるとき、一つの数字だけで決めると、優先順位を見誤ります。たとえば解決率が低い記事でも、ほとんど読まれていなければ、修正してもサイト全体への影響は小さいからです。そこで、二つの数字を組み合わせて、修正したときの効果が大きい記事から手をつけます。

よく検索されているのに解決率が低い記事は、先に書き直します。検索で見つかってはいるので、その記事はお客様に表示されています。それでも解決率が低いのは、説明が分かりにくいか、書いてある内容がお客様の求める答えとずれているからです。読んでいるお客様が多いぶん、分かりやすく書き直せば、解決できるお客様も大きく増えます。ほとんど検索されない記事は、解決率が低くても読んでいる人が少ないため、後に回します。

問い合わせと検索のログを組み合わせる見方もあります。同じ内容の問い合わせが何度も届き、しかもその言葉でサイト内を検索すると0件になる場合、お客様が必要としているのに、答えを用意できていない領域です。ここは早めに着手します。

改善を続ける運用体制

効果測定と改善を続けるには、見直しを担当する人を決めておくことと、数字を集めて確認する手間を減らしておくことの二つが欠かせません。

どちらも決めないまま始めると、日々の問い合わせ対応に時間を取られ、数字を見る作業が後回しになり、やがて更新が止まります。

見直しの担当を決める

数字を見て記事を修正する作業は、誰がいつ行うかを決めていないと、通常の業務に紛れて進まなくなります。

まず、FAQの担当を一人決めます。専任である必要はなく、問い合わせ対応を担当する方が兼任しても進められます。そのうえで、先ほど挙げた月に一度と四半期に一度の確認を、その担当者の予定にあらかじめ組み込みます。予定に入れておけば、ほかの業務が立て込んでも、確認と修正の時間を確保できます。

数字を一か所で見られるようにする

見直しが止まるもう一つの理由は、見るべき数字が複数のツールに分かれていることです。

閲覧数はアクセス解析ツール、検索された言葉や検索結果が0件だった言葉はFAQツール、問い合わせ件数は問い合わせ管理の画面と、置き場所が分かれていると、数字を集めるだけで毎回時間がかかります。集計に時間がかかるほど、確認に手が回らなくなります。そこで、見るべき数字を一つの画面でまとめて確認できる状態にしておきます。

こうした数字をツールごとに集める手間を省きたい場合は、閲覧数・記事の評価・検索結果が0件だった言葉を一つの画面でまとめて確認でき、AIが毎日データを見て修正すべき記事を優先度順に示すヘルプドッグの分析レポートやAIサイト診断機能があります。

カスタマーサポートチームがデータを基に改善策を議論する場面

まとめ

カスタマーサポートの担当者の方とお話ししていると、これまで数字を見る役割を担う機会が少なかった、という方に多く出会います。

FAQサイトやAIチャットボットは、マーケティング部門や情報システム部が管理していたり、外部のWeb制作会社に委託していたりすることも多く、サポートの窓口を担う方が、その数字を自分の仕事として見る機会は、これまで多くありませんでした。指標と向き合ってこなかったのは、その方の責任ではなく、こうした分担の形によるところが大きいと感じています。

ただ、今は電話の通話内容さえ、文字に起こしてデータとして扱える時代です。問い合わせの数、解決できた割合、検索された言葉まで、サポートのほとんどの仕事は数字で見えるようになりました。お客様がどう感じたかという気持ちの部分も、少しずつ数字として表せるようになっています。

だからこそ、これからのカスタマーサポートは、お客様に寄り添う対応だけでは十分とは言えません。お客様の喜びや不満を、現場の感覚だけでなく、誰とでも共有できる数字に置き換えて、その数字と向き合う。この力も、これからは仕事の一部になっていきます。

数字は、お客様の声を映したものです。本記事で挙げた指標は、そのための共通の言葉です。まずは閲覧数・0件ヒット率・解決率の3つからで構いません。数字を手がかりに、お客様がいま何に困っているかを読み取り、FAQサイトやチャットボットなど、お客様とのさまざまなサポート接点を少しずつ良くしていきましょう。

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FAQ・よくある質問

Q1

専用のFAQツールがなくても、効果測定はできますか。

A

FAQサイトの解決率に、すべての企業へ共通する目安の数値はありません。業種や質問の種類によって、お客様が満足する水準は変わるためです。他社の数値を目標にするより、自社の解決率が前の月や前の四半期より上がっているかを見るほうが、改善の手がかりになります。また、評価ボタンは一部のお客様しか押さないため、率そのものを追うより、低い評価が集まる記事を見つけて直すための手がかりとして使うと、実務で役立ちます。

Q2

記事を増やすほど、FAQサイトの効果は上がりますか。

A

記事の数を増やすこと自体は、目的ではありません。大切なのは、お客様が検索しているのに答えを用意できていない言葉を、先に記事にすることです。検索しても結果が0件だった言葉を確認し、必要な記事から追加します。関連の薄い記事をむやみに増やすと、お客様が目的の記事を見つけにくくなり、かえって解決率が下がることもあります。

Q3

検索エンジンでの順位やクリック率は、どこまで気にすべきですか。

A

FAQサイトでは、検索エンジンでの順位やクリック率より先に、いまサービスを使っているお客様が答えを見つけられるかを優先します。まず、サイト内検索やFAQページで、お客様が自分で解決できる状態を整えます。検索エンジンからの流入を増やす取り組みは、それができたうえで、まだサービスを知らない人への入口を広げる次の段階です。最初から検索順位やクリック率を細かく追う必要はありません。

堀辺 憲
筆者

堀辺 憲 noco株式会社 代表取締役

クボタ、住友スリーエム、DeNAなどを経て2017年にnoco株式会社を創業。AIサポートシステム「ヘルプドッグ」等の開発プロデューサーを務める。数多くの企業のサポート部門・現場業務のDXを支援してきた実績から得た、カスタマーサポート領域およびナレッジマネジメントに関する深い知見をもとに、CS基盤の構築・改善に直結するノウハウを解説する。