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生成AIチャットボットとは?従来のチャットボットとの違いと仕組み、注意点を解説

ヘルプドッグ編集部
生成AIチャットボットとは?

生成AIチャットボットとは、生成AIを使って、お客様の質問に答えるチャットボットです。あらかじめ用意した情報をもとに、その場で文章を組み立てて答えます。

生成AIとは、文章や画像などを新しく作り出すAIです。この生成AIが質問の内容を読み取り、お客様ごとに言い回しの違う回答を作ります。そのため、決まった文を表示するだけのチャットボットより、人が応対しているような受け答えになります。

近年、この生成AIチャットボットを問い合わせ対応に導入する企業が増えています。対話型の生成AIであるChatGPTが2022年末に登場してから、企業での利用が急速に進んでいます(出典:公正取引委員会「デジタル分野の動向等に関する調査」2024年)。

生成AIチャットボットの仕組み

生成AIチャットボットは、お客様の質問を受けてから、3つの段階を経て答えを返します。質問の意味をとらえる段階、答えのもとになる情報を探す段階、その情報から文章を作る段階です。順にご説明します。

AIが多様なユーザーの問い合わせに頼れる存在として活躍するさま

お客様の質問の意味をとらえる

はじめに、生成AIがお客様の質問の意味をとらえます。同じ内容でも、お客様によって言葉づかいは違います。「解約したい」「やめたい」「退会の方法は」は、どれも同じことを尋ねています。生成AIは、こうした言い回しの違いをこえて、何を知りたいのかを判断します。決まったキーワードと一致しなくても、近い意味だと見分けられます。

答えのもとになる情報を探す

次に、その質問に合う情報を、あらかじめ登録した中から探します。登録するのは、自社のFAQの記事やマニュアルです。生成AIは、質問の意味に近い記事を見つけ、答えのもとにします。

この、登録した情報を探して答えに使う仕組みを、RAG(ラグ、Retrieval-Augmented Generationの略、検索拡張生成)と呼びます。生成AIは、ふだんは学習ずみの一般的な情報をもとに答えます。RAGを使うと、これに加えて、自社のFAQやマニュアルを参照できます。そのため、自社の料金やサービス内容のような、自社だけの質問にも答えられます。

情報から文章を作る

最後に、見つけた情報から、お客様の質問に合わせた文章を組み立てます。記事をそのまま表示するのではなく、質問に沿った形に整えて答えます。たとえば「解約したい」という質問には、解約のFAQをもとに、手順の部分を抜き出して答えられます。

この3つの段階を一瞬で行うため、お客様から見ると、質問するとすぐに答えが返ってきます。

従来のチャットボットとの違い

チャットボットには、大きく3つの型があります。シナリオ型は、選択肢や決まった言葉に、決めておいた答えを返します。AI検索型は、お客様の自由な質問から、適切なFAQの記事を見つけて示します。生成AI型は、見つけた情報をもとに、質問に合わせた文章を作って答えます。

従来型と生成AI型チャットボットを比較対照する概念
比較する点シナリオ型AI検索型生成AI型
お客様の入力選択肢や決まった言葉自由な文章自由な文章
答えの返し方決めた答えを返す適切なFAQの記事を示す質問に合わせた文章を作る
得意なこと定型の質問に確実に答える言い方が違っても適切な記事を示す質問に合わせて自然に答える
苦手なこと想定しない質問に答えられないぴったりの記事がないと示せないもとの情報が古いと誤って答える

3つの中で、生成AI型だけが、答えをその場で作ります。自由な質問が多く、お客様ごとに違う聞き方に答えたい場合は、生成AI型が向きます。

ただし、生成AI型が正しく答えるには、もとになるFAQやマニュアルがそろっていることが前提です。なお、ヘルプドッグのAIチャットボットは、用途に合わせて、AI検索型と生成AI型の2種類から選んで使えます。

問い合わせ対応のコストと人件費はどう変わるか

生成AIチャットボットを導入すると、これまで担当者が一件ずつ答えていた問い合わせの一部を、チャットボットが引き受けます。

よくある質問をチャットボットが解決するほど、担当者が対応する件数は減ります。その結果、問い合わせ全体にかかる費用を抑えながら、担当者は人にしか対応できない複雑な相談に時間を使えるようになります。

複数のナレッジソースをAIが参照して回答を生成し、オペレーターに届けるまでの流れ

問い合わせ1件あたりの費用は、対応の方法で大きく変わります。海外の調査会社ガートナーによると、問い合わせ1件あたりの費用の中央値は、お客様が自分で解決するセルフサービスで約1.84ドル、担当者が対応する場合で約13.50ドルです。およそ7倍の差があります(出典:Gartner「Benchmarks to Assess Your Customer Service Costs」2024年)。

生成AIチャットボットは、このセルフサービスを支える仕組みのひとつです。よくある質問をチャットボットが受け持つほど、担当者の対応する件数が減り、その分の人件費を抑えられます。

対応の方法1件あたりの費用の目安(中央値)円換算の目安 ※
担当者が対応する約13.50ドル約2,090円
お客様が自分で解決する(セルフサービス)約1.84ドル約285円

コスト面の利点もあり、導入は世界的に広がっています。ガートナーは、2025年までにカスタマーサービス・サポート組織の80%が、担当者の生産性とお客様の体験を高めるために、なんらかの形で生成AIを活用すると予測しました(出典:Gartner「Gartner Reveals Three Technologies That Will Transform Customer Service and Support By 2028」2023年)。

ただし、費用が下がるのは、チャットボットがその場で問い合わせを解決できた場合に限ります。チャットボットが答えられず、最後は担当者が対応すれば、セルフサービスと有人対応の両方に費用がかかります。これでは、安く済ませるつもりが、かえって手間と費用を増やしかねません。コストを抑える効果は、チャットボットが自力でどれだけ問い合わせを解決できるかにかかっています。

導入時の注意点

生成AIチャットボットの答えは、もとになるFAQやマニュアルの内容で決まります。生成AIは文章を作る力が高いぶん、もとの情報が足りなかったり古かったりすると、誤った内容をお客様に伝えてしまいます。便利な仕組みですが、導入の前に知っておきたい注意点が2つあります。

AIが複数の情報源から適切な回答を判断できず困惑している様子

事実と違う回答をすることがある

生成AIは、質問に対してもっともらしい文章を作るのが得意です。そのため、もとになる情報が見つからないときでも、それらしい回答を作ってしまうことがあります。事実と違う内容を、本当のことのように答えてしまう現象を、ハルシネーションと呼びます。

ハルシネーションを防ぐには、答えのもとになるFAQやマニュアルを、漏れなく用意しておくことが必要です。お客様が尋ねる内容をあらかじめ記事にしておけば、生成AIはその記事をもとに答えられます。

情報を新しく保つ必要がある

生成AIチャットボットは、登録した情報のとおりに答えます。料金やサービス内容を変更したのに、もとの記事を古いままにしておくと、変更前の内容をそのまま答えてしまいます。

公開して終わりにせず、サービスの変更に合わせて、記事を見直すことが欠かせません。お客様に正しく答え続けるために、情報を新しく保つ運用を続けます。

まとめ

生成AIの進化は、めまぐるしい速さで進んでいます。昨日はできなかったことが、今日にはできるようになる。複雑な文脈まで読み取り、人が書いたものと見分けがつかないほど自然な文章を返すようになりました。よくある質問のように、繰り返し聞かれる問い合わせへの回答は、人よりもAIが担うのが当たり前になりつつあります。

では、人は不要になるのでしょうか。決して、そうではないと私は考えます。よくある質問への回答から解放されたぶん、カスタマーサポート担当者は、より複雑な問題に集中できるようになります。さらに、お客様がご自身で疑問を解決できるように、製品やサービスのなかに自己解決の仕組みを作る。こうしたコアの業務へと、カスタマーサポートの役割や業務は移るのだろうと予測しています。

お客様を支えるカスタマーサポートが、なくなることはありません。ただ、その形や仕組みは、技術の進化とともに、さまざまなサポートチャネルが誕生したように、これからも大きく変わっていきます。生成AIチャットボットは、その変化を進める仕組みのひとつです。そして、その答えの質は、もとになるFAQやマニュアルをどれだけ精緻に用意できているかで決まります。


※費用はガートナーの調査による中央値です。円換算は1ドル=155円(2026年6月30日時点)で計算した参考値で、為替レートにより変わります。

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FAQ・よくある質問

Q1

生成AIチャットボットは、専門的な知識がなくても導入できますか?

A

多くは、画面の操作で設定できるサービスとして提供されており、AIを一から作る必要はありません。導入で主に準備するのは、答えのもとになるFAQやマニュアルです。これらをそろえ、内容を整えておくことが、設定そのものより大切です。

Q2

ハルシネーション(事実と違う回答)を、完全になくすことはできますか?

A

完全になくすことはむずかしいです。ただし、答えのもとになる情報を、漏れなく新しい状態でそろえておけば、誤りが起こる可能性を減らせます。あわせて、回答のもとにした記事へのリンクを示したり、AIが判断できない質問は担当者に引き継いだりすることで、誤りの影響を抑えられます。

Q3

生成AIチャットボットは、日本語以外の問い合わせにも答えられますか?

A

提供する会社によって、仕様は異なります。多言語に対応した機能を選べば、お客様は、選んだ母国語でやり取りできます。ただし、正確に答えるには、その言語のFAQやマニュアルを用意しておくことが前提です。

Q4

小規模なカスタマーサポートでも、導入する意味はありますか?

A

あります。担当者の人数が限られていても、よくある質問への回答をチャットボットが受け持てば、夜間や休日も、お客様が自分で解決できます。担当者は、その分を複雑な対応に充てられます。ただし、答えのもとになる記事がそろっていることが前提です。

堀辺 憲
筆者

堀辺 憲 noco株式会社 代表取締役

クボタ、住友スリーエム、DeNAなどを経て2017年にnoco株式会社を創業。AIサポートシステム「ヘルプドッグ」等の開発プロデューサーを務める。数多くの企業のサポート部門・現場業務のDXを支援してきた実績から得た、カスタマーサポート領域およびナレッジマネジメントに関する深い知見をもとに、CS基盤の構築・改善に直結するノウハウを解説する。