解説
読み手想定は、テクニカルライティングで最初に行う作業の一つで、読み手の立場や知識、読む場面を見極めることを指します。マニュアルやFAQが使われない原因の一つは、書き手の知識量を基準に書かれている点にあります。誰が、どの知識を持って、どんな場面で読むのかを先に決めておけば、省略してよい説明と省略できない説明を判断できます。
種類
読み手想定では、書く前に対象者・読む場面・前提知識の三つを決めます。
- 対象者(新人か、経験者か、顧客か)
- 読む場面(事前に学ぶか、作業中に見るか)
- 前提としてよい知識と用語
三つのうち、読む場面がとくに抜けやすい項目です。たとえば、研修で通読する文書と、応対しながら片手で開く文書では、1画面に置ける情報量も図の使い方も変わります。
実務での使われ方
想定した読み手は、文書の冒頭に1行で書き添えておきます。たとえば、「この記事は、管理者権限を持つ担当者が初期設定を行う場面を想定しています」といった一文があれば、後から記事に手を入れる人も説明の粒度を保てます。
注意点
一つの文書で全員をまかなおうとすると、誰にも合わない文書になります。新人にも経験者にも通じる書き方を狙うと、経験者には冗長で、新人には言葉が足りない文書になるためです。したがって、対象が分かれるなら文書を分けるか、前提知識の節を折りたたんで経験者が読み飛ばせる形にします。
さらに、顧客向けと社内向けを一つの文書にまとめるのは、とくに避けたい形です。社外に出せない条件や例外が本文に混ざり、公開してよいかどうかを判断できなくなります。
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