解説
本人確認は、窓口の担当者が、相手の申告内容を登録情報や本人確認書類と照らし合わせ、相手が契約者本人か、または正当な代理人かを確かめる手続きです。契約内容の変更や登録情報の開示を伴う対応では、相手を取り違えると情報漏えいに直結します。その一方で、確認項目を増やすほど、顧客の手間と通話時間は増えます。したがって、手続きの重さに見合った確認の水準を、あらかじめ決めておきます。
判断基準
確認の水準は、手続きの重さに応じて変えます。たとえば、次のような段階を設ける企業があります。
| 手続きの例 | 確認の水準 |
|---|---|
| 利用状況や残高の照会 | 登録電話番号からの着信に加え、生年月日など1〜2項目を確認します |
| 住所や支払方法の変更 | 契約番号と登録情報の複数一致を求めます |
| 解約や再発行 | マイページでの認証、または本人確認書類の提出を求めます |
実務での使われ方
本人以外からの問い合わせは、受け付けるかどうかを先に決めておきます。家族や代理人からの連絡は、現場で頻繁に起こるためです。たとえば、委任状を求めるのか、契約者への折り返しに切り替えるのか、緊急時に例外を認めるのかを運用ルールとして文書化し、SOPに落とし込んでください。判断を担当者の裁量に任せると、同じ状況でも回答が分かれ、苦情の原因になります。また、確認できた項目と確認できなかった項目は、応対履歴に記録として残します。
注意点
業種によっては、本人確認の方法が法令で定められています。たとえば、銀行などの特定事業者は、犯罪収益移転防止法に基づき、口座開設などの取引時に本人確認を行う義務を負っています。同法の施行規則の改正(2025年6月24日公布、2027年4月1日施行)は、非対面の確認方法のうち、本人確認書類の画像と容貌の画像を送信する方式などを廃止しています。改正後の施行規則では、本人確認書類のICチップの情報を読み取る方式や、マイナンバーカードの公的個人認証などの電子証明書を用いる方式が中心です。対面での確認についても、別の施行規則の改正(2027年4月1日施行)は、ICチップ付きの本人確認書類について、書類の提示に加えてICチップの情報の読み取りを求めています。
また、携帯電話事業者は、携帯電話不正利用防止法に基づき、契約時の本人確認が義務付けられています。同法の施行規則の改正により、2026年4月からは、非対面での本人確認書類の画像送信による方式の一部などが廃止され、ICチップや電子証明書を用いる方式が中心になりました。さらに、本人確認の対象を音声通話以外の通信サービス(データ通信専用SIMなど)にも広げる改正法が、2026年5月22日に成立し、同月29日に公布されました。改正法の施行日は、一部の規定を除き、公布から1年を超えない範囲(遅くとも2027年5月28日まで)で政令で定める日とされています。
なお、電話での本人確認では、声や話し方だけで本人と判断せず、登録情報との照合を必ず行います。
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