解説
安全配慮義務は、使用者が、労働者の生命や身体の安全を確保しながら働けるよう配慮する義務です。労働契約法第5条は「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定めています。そのため、個別の契約書に書かれていなくても、労働契約に伴って当然に生じる義務として扱われます。また、対象になるのは物理的な危険だけではなく、過重な負荷による心身の健康障害も含まれます。
実務での使われ方
コンタクトセンターでは、暴言や長時間の拘束といったカスタマーハラスメントが、オペレーターの心身に負荷をかけます。会社が被害を把握していながら何の手当てもしなかった場合、安全配慮義務に違反したと評価される可能性があります。
したがって、現場で機能させるには、具体的な手順まで落とし込む必要があります。
- 通話録音を標準にし、後から事実関係を確認できるようにする
- どの言動があれば通話を終了してよいかの基準を文書にし、現場と共有する
- 被害を受けた担当者が申し出られる相談先を定め、申し出たことで不利益を受けない扱いだと周知する
- 対応後の声かけや、業務からの一時的な離脱を認める運用を用意する
注意点
改正労働施策総合推進法のカスタマーハラスメント対策の規定(2026年10月1日施行)は、事業主にカスタマーハラスメント対策の措置を講じる義務を課しています。ただし、この措置義務は安全配慮義務とは別に定められた義務です。したがって、どちらか一方の対応を済ませれば、もう一方も果たしたことになるわけではありません。
出典
- 労働契約法(平成19年12月5日法律第128号)(厚生労働省法令等データベースサービス)
- 令和7年労働施策総合推進法等の一部改正について(厚生労働省)
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