解説
インシデントレベルは、発生した障害を影響の大きさによって段階に分け、段階ごとに動員する担当者や告知の要否を決めておくための基準です。重大度や深刻度とも呼ばれます。たとえば、同じ「つながらない」という申告でも、一部の機能が遅いだけの状態と、全顧客がログインできない状態とでは、呼び出すべき担当者も告知の要否も変わります。インシデントレベルを定めておけば、判断を受け手の感覚に委ねず、決められた区分に当てはめて対応を進められます。
判断基準
インシデントレベルの段階と基準は、組織ごとに定めます。たとえば、Splunkは次の5段階の例を示しています。
- SEV1:本番環境の多数のユーザーに影響を与える深刻なインシデント
- SEV2:本番環境の一部のユーザーに影響を与える重大な問題
- SEV3:エラーやユーザーにとって軽微な問題、またはシステムの負荷の増大を引き起こすインシデント
- SEV4:サービスには影響するが、ユーザーには深刻な影響を及ぼさない軽微な問題
- SEV5:軽微な問題を引き起こす軽度の欠陥
一方で、Atlassianは3段階(SEV1〜SEV3)を基本としています。
判断に迷いやすいのは、影響範囲がまだ見えていない初動の段階です。PagerDutyは、どちらのレベルか迷う場合は高いほうのレベルとして扱い、詳しい検討は事後のポストモーテムで行う方針を示しています。したがって、情報が足りないうちは高めのレベルで起票し、状況が判明した時点でレベルを下げる運用にしておくと、動き出しが遅れません。
実務での使われ方
インシデントレベルは、区分を並べただけでは機能しません。そのため、レベルごとに、誰を呼び出すのか、ステータスページや障害の告知を出すのか、経営層や顧客への報告をいつ行うのかまで決めておきます。対応の内容まで決めておけば、夜間や休日でも同じ手順で動けます。
注意点
段階の数と基準は、事業者ごとに異なります。3段階で運用する組織もあれば、5段階に分ける組織もあります。また、何をもって最上位とするかも、扱うサービスの性質によって変わります。そのため、他社の区分をそのまま持ち込むのではなく、自社のサービスが止まったときに誰が何に困るのかを洗い出し、洗い出した結果から段階を決めます。さらに、区分を決めたあとも、実際の障害を振り返るたびに当てはめ方を点検すると、現場の感覚とのずれが小さくなります。
なお、重大度(影響の大きさ)と、対応の順番を決める優先度を分けて扱う組織もあります。優先度は、影響度と緊急度の2軸で決める方法が知られています。重大度と優先度は必ずしも一致しないため、社内でどちらの意味で「レベル」と呼んでいるかをそろえておきます。
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