解説
インシデント管理は、ITサービスマネジメントで使われる管理手法の一つで、ITIL 4ではプラクティスの一つに位置づけられています。ITIL 4では、インシデントを「サービスの計画外の中断、またはサービスの品質の低下」と定義しています。そのうえで、インシデント管理の目的を、通常のサービス運用をできるだけ早く回復させることで、インシデントの悪影響を最小限に抑えることとしています。したがって、インシデント管理の目的は、原因の究明ではなく、利用者がサービスを使える状態に戻すことにあります。なお、ITIL 4ではプロセスではなくプラクティスという語が使われ、2026年に発表されたITIL(Version 5)でもプラクティスの名称は変わらないと紹介されています。
仕組み
インシデント管理は、一般に次のような流れで進みます。まず、利用者からの申告や監視システムの検知でインシデントを受け付け、記録します。次に、影響度や緊急度などに基づいて優先度を決めます。さらに、担当者が診断し、必要に応じて専門部署へエスカレーションします。複雑なインシデントでは、異なる専門性を持つ複数の担当者が集まって対応するスウォーミングという手法も使われます。最後に、サービスが回復したことを確認して記録を閉じます。
実務での使われ方
障害の一報は、監視システムより先に、問い合わせ窓口への顧客の申告で分かることがあります。ITIL 4でも、サービスデスクはインシデントの受付の単一窓口と位置づけられています。したがって、同じ申告が短時間に複数入ったときに、すぐに社内へ上げられる経路を決めておくことが、早期の復旧につながります。また、障害の告知を出す判断も、インシデント管理の手順に組み込んでおきます。
注意点
インシデント管理と問題管理は、目的が異なります。インシデント管理が目の前のサービスの中断を早く回復させるのに対し、問題管理は、インシデントの原因を特定し、回避策や既知のエラーを管理することで、同じインシデントの発生を減らします。そのため、応急処置で復旧させた場合でも、原因の調査を問題管理へ引き継ぎ、回避策を記録しておくことが必要です。
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