解説
AIガバナンスは、組織がAIを安全かつ有効に使うために、方針、責任者、ルール、点検の手順を定めて運用することです。総務省と経済産業省は、「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」を2026年3月31日に公表しています。同ガイドラインは、AIガバナンスを、リスクを受容可能な水準で管理しつつ、AIの正の影響を最大化するための仕組みの設計と運用と説明しています。カスタマーサポートでは、生成AIによる自動回答や応対の要約を導入する場面で、AIガバナンスの考え方が問われます。
実務での使われ方
AI事業者ガイドラインは、AIに関わる事業者をAI開発者、AI提供者、AI利用者の3つに分けています。AIを組み込んだツールで顧客対応をする企業は、主にAI利用者にあたります。ただし、同ガイドラインは、一つの事業者が複数の立場を兼ねる場合もあるとしています。サポート部門では、たとえば次のような取り決めを文書にします。
- AIに任せる業務と、人が判断する業務の範囲
- AIに入力してよい情報と、入力してはならない個人情報や機密情報
- 誤った回答が見つかったときの報告先と対応手順
- 顧客に、AIが応対していることをどう伝えるか
- 回答の品質を点検する頻度と担当者
さらに、国際規格のISO/IEC 42001(2023年12月発行)は、AIの責任ある開発・提供・利用のためのマネジメントシステムの要求事項を定めています。
注意点
AIガバナンスは、特定のツールの設定だけを指す言葉ではありません。AIの入出力を点検するガードレールは、AIガバナンスを実現する技術的な手段の一つです。また、法令を守るコンプライアンスとも重なりますが、AIガバナンスは、法令に定めのないリスクへの対応も含みます。
国内では、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(2025年6月4日公布、同年9月1日全面施行)が、AIを活用する事業者に国の施策への協力を求めています。同法は、AI推進法またはAI法と略されます。一方で、AI推進法は罰則を伴う義務を事業者に課す法律ではなく、AI事業者ガイドラインも法的な拘束力のない指針です。そのため、各社は自社のリスクに応じて、ルールの内容を決める必要があります。
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