解説
エクスパンションは、すでに契約している顧客からの収益が、契約後に増えることを指します。新規顧客の獲得による増収と区別するための言葉で、SaaSなどのサブスクリプション型の事業で使われます。既存顧客からの増収は、主に次の4つの形に分かれます。
- アップセル:上位プランへの移行
- クロスセル:別の製品やオプションの追加
- シート増:利用アカウント数の増加
- 従量の増加:利用量そのものの伸び
算出方法
エクスパンションMRR = 既存顧客のアップセルやクロスセルなどによるMRRの増加額の合計
エクスパンションレート(%)= エクスパンションMRR ÷ 前月末MRR × 100
エクスパンションは、NRR(売上継続率)の算出式にも増収の項目として入ります。
NRR(%)=(月初MRR + アップグレードなどによる増収(エクスパンション)− ダウングレードによる減収 − 解約による減収)÷ 月初MRR × 100
したがって、エクスパンションによる増収が、ダウングレードと解約による減収の合計を上回ると、NRRは100%を超えます。この状態をネガティブチャーンと呼び、新規獲得がゼロでも既存顧客からの収益が伸びていることを示します。
実務での使われ方
新規獲得には広告費や営業の工数などの獲得コストがかかります。一方で、既存顧客からの増収は、獲得コストが小さく済みます。そのため、サブスクリプション型の事業では、エクスパンションを新規獲得と並ぶ成長の柱として扱います。
ただし、製品を使いこなせていない顧客は、上位プランを必要としません。エクスパンションは営業活動の結果に見えますが、実際には定着支援の成否に強く影響されます。サポート部門に集まる利用状況と問い合わせの内容は、増収の見込みがある顧客を見つける材料になります。
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