解説
リニューアルは、サブスクリプションなど期間の定めがある契約で、期間の満了を迎えた顧客が契約を更新することを指します。サブスクリプション型の事業では、収益の大部分が新規獲得ではなく更新の積み重ねで成り立ちます。そのため、更新の可否は事業の根幹に関わります。
算出方法
更新率は、件数で見るか金額で見るかで意味が変わります。件数で見る場合は、次の式で求めます。
更新率(%)= 更新した契約数 ÷ 更新期限を迎えた契約数 × 100
金額で見る場合は、アップセルなどの増額分を含めるかどうかで2通りの式があります。増額分を含めないグロスの更新率は、次の式で求めます。
グロスの更新率(%)= 更新された契約金額(増額分を除く)÷ 更新期限を迎えた契約金額 × 100
一方で、増額分を含めるネットの更新率は、次の式で求めます。
ネットの更新率(%)= 更新後の契約金額(増額分を含む)÷ 更新期限を迎えた契約金額 × 100
ネットの更新率はアップセルやダウンセルの影響を含むため、100%を超えることがあり、NRRに近い見方になります。
実務での使われ方
更新の可否は、更新期日の商談で決まるのではなく、更新期日までの期間の積み重ねで決まっています。たとえば、更新1か月前に初めて状況を確認しに行くのでは遅く、そこから挽回できる余地はほとんどありません。そのため、カスタマーサクセスの担当者は、次のような項目を平時から確認します。
- 利用状況が落ちていないか
- 導入時の目的に対して成果が出ているか
- 推進していた担当者が異動・退職していないか
- 未解決のまま放置された問い合わせがないか
以上の項目を平時から追い、兆候が出た時点で動くことが前提になります。ヘルススコアは、更新に関わる兆候を数値化して見落としを防ぐ仕組みです。
注意点
自動更新の条項がある場合でも、解約の申し出方法や期限が分かりにくいと、法令上の問題になり得ます。たとえば、消費者向けの通信販売では、2022年6月1日施行の改正特定商取引法により、申込みの最終確認画面で解約に関する事項などを表示することが義務付けられています。また、2023年6月1日施行の改正消費者契約法により、消費者の求めに応じて解約に必要な情報を提供することが、事業者の努力義務になりました。なお、特定商取引法の規制は事業者間の取引には適用されません。
さらに、2026年9月には、消費者庁の「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会」が、サブスクリプションなど継続的な契約の不当な解約妨害を禁止する方向の中間取りまとめを公表しました。また、特定商取引法についても、消費者庁の「デジタル取引・特定商取引法等検討会」が2026年9月10日に中間取りまとめを公表しました。特定商取引法の中間取りまとめは、合理的な理由なく過度に複雑な解約手続を課す行為などを、規制の対象とすべきとしています。ただし、いずれの法律についても改正は決定していません。したがって、契約条件を明確に示し、更新前に顧客へ通知する運用にしておくことが安全です。
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