解説
名寄せは、別々の場所に登録された顧客データのうち、同じ人物や同じ企業を指すものを突き合わせ、1件の顧客として扱えるようにする作業です。たとえば、電話窓口の顧客台帳、通販サイトの会員データ、メールの問い合わせ履歴に、同じ顧客が別々の番号で登録されていることがあります。名寄せをすると、担当者はCRMで1人の顧客の契約内容と問い合わせの経緯をまとめて確認できます。英語では、record matching のほか、record linkage、entity resolution などとも呼ばれます。
仕組み
名寄せは、一般に次の流れで進めます。
- 表記の統一:全角と半角、ハイフンの有無、旧字体、住所の書き方など、比較する前に表記をそろえます。
- 照合キーの決定:氏名、電話番号、メールアドレス、生年月日、会員番号など、同一人物と判断するために使う項目を決めます。
- 照合:照合キーが完全に一致するものを同一とする方法と、表記の似かよい具合から同一である可能性を点数で示すあいまいな照合があります。
- 統合または紐付け:同一と判断したデータを1件にまとめるか、別々のデータのまま共通の顧客IDで結び付けます。
実務での使われ方
名寄せは、CRMの導入、システムの統合、顧客リストの取り込みなどの場面で行います。名寄せが不十分だと、同じ顧客が別人として扱われ、応対履歴がつながりません。その結果、担当者は過去の経緯を把握できず、顧客に同じ説明を繰り返させることになります。
あいまいな照合で同一の可能性があると判定されたデータは、担当者が内容を確認してから統合します。同姓同名の別人や、家族で共有している電話番号を同一人物として統合すると、他人の情報を案内する事故につながるためです。
注意点
名寄せとチケットマージは、まとめる対象が異なります。チケットマージは、同じ用件で重複して作成された問い合わせのチケットを1件にまとめる操作です。一方で、名寄せは、同じ顧客を指す顧客データを結び付ける作業で、用件の異なる問い合わせも同じ顧客の履歴としてつながります。また、名寄せは、マスターデータを正確に保つための作業の一つでもあります。
個人情報保護法の第22条は、事業者に、利用目的の達成に必要な範囲で個人データを正確かつ最新の内容に保つよう努めることを求めています。同条は、利用する必要がなくなった個人データを遅滞なく消去するよう努めることも求めています。ただし、第18条は、原則として、本人の同意を得ずに利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱うことを禁じています。したがって、名寄せで結び付けた情報を使う場合も、公表している利用目的の範囲に収まるかを確認します。
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