解説
業務委託契約は、法律上の正式な契約類型の名称ではなく、業務の遂行を外部の事業者や個人に委ねる契約を広く指す呼び方です。民法に「業務委託契約」という名前の契約類型があるわけではなく、実務では、請負(民法第632条)と準委任(同第656条)のいずれか、あるいは両方を組み合わせた形として扱われます。コンタクトセンターでは、受付業務そのものを委ねる形から、繁忙期のあふれた入電だけを受けてもらう形まで、幅広い場面で業務委託契約が使われます。
種類
請負と準委任では、受託者が責任を負う対象が異なります。
- 請負:当事者の一方が仕事を完成することを約束し、完成した結果に対して報酬が支払われる契約です。
- 準委任:法律行為でない事務の処理を委託する契約です。受託者は、善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負います。
つまり、成果物の完成まで責任を負うのか、業務を遂行すること自体に責任を負うのかが、両者を分ける軸になります。センター業務は席数や稼働時間を単位として契約する例が多く、準委任に近い形を取りやすい領域です。
注意点
業務委託では、現場のオペレーターに指示を出すのは受託会社であり、発注側ではありません。委託契約を結びながら発注側が受託先の担当者へ直接指示を出すと、実態は労働者派遣だとみなされる偽装請負のリスクが生じます。労働者派遣と請負を区分する基準(37号告示)は、準委任の形式の契約にも適用され、契約の名称ではなく実態で判断されます。そのため、日々のやり取りは受託会社の管理者を窓口として進めてください。
さらに、取引の内容と当事者の規模によっては、取引の適正化を目的とする法律の対象になります。下請法を改正した中小受託取引適正化法(取適法)は、2025年5月16日に成立し、同月23日に公布され、2026年1月1日に施行されました。取適法では、従来の資本金の基準に加えて、従業員数の基準が設けられました。顧客対応などの役務を委託する取引も、内容によっては「役務提供委託」として対象になる場合があります。役務提供委託に当たる場合は、委託事業者が常時使用する従業員が100人を超え、受託する事業者が100人以下であれば、資本金にかかわらず対象になります。ただし、製造委託や、運送、倉庫での保管、情報処理の役務提供委託などでは、300人が境になります。対象となる取引では、委託事業者に、発注内容の明示、取引記録の作成と保存、支払期日の設定、遅延利息の支払いが義務づけられ、手形払いや、協議に応じない一方的な代金の決定などが禁止されます。
また、委託先が従業員を使用しない個人事業者など(特定受託事業者)である場合は、2024年11月1日に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法も適用されます。同法では、すべての発注事業者に、書面または電磁的方法による取引条件の明示が義務づけられています。加えて、従業員を使用する発注事業者には、受領日から60日以内での報酬支払期日の設定や、1か月以上継続する委託での禁止行為の遵守が義務づけられています。さらに、従業員を使用する発注事業者は、6か月以上継続する委託を中途で解除する場合や更新しない場合に、原則として30日前までに予告しなければなりません。どの形態を選ぶべきか、また個別の運用がどう評価されるかは、法務部門や専門家に確認することをおすすめします。
出典
- 民法(明治二十九年法律第八十九号)(e-Gov法令検索)
- 労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)関係疑義応答集(厚生労働省)
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