解説
ワンツーワンマーケティングは、全員に同じメッセージを送るのではなく、顧客ごとの履歴や状況に合わせて内容を変える考え方です。1993年に、ドン・ペパーズとマーサ・ロジャーズが著書『The One to One Future』で示した考え方が原点とされ、多数の顧客に一律に働きかけるマスマーケティングと対比されます。実際には、購買履歴、利用状況、問い合わせの経緯といった手元のデータを基に、誰に何を送るかを決めます。さらに、サポートの応対履歴は、出し分けの精度を上げる重要な情報源になります。
実務での使われ方
ワンツーワンマーケティングでは、不満を伝えた直後の顧客に販促の案内を送らないよう、出し分けの条件を設定します。出し分けの材料は購買データだけではないためです。たとえば、苦情の対応が終わっていない顧客に上位プランの案内が送られると、担当者の謝罪が無駄になり、不信感を強めかねません。解約手続きの最中にキャンペーンメールが送られる事故も、同じ構図で起こります。そのため、配信側が参照する顧客データに、進行中の問い合わせの状況が反映される経路を用意しておきます。
注意点
個別化を進めるほど、顧客の情報を何に使うのかを丁寧に説明する必要があります。履歴に基づく出し分けは、顧客から見れば「どこまで知られているのか」という問題でもあるためです。個人情報保護法では、個人情報の利用目的をできる限り特定し、あらかじめ公表しておくか、取得後速やかに本人へ通知または公表することが求められます。ただし、申込フォームや契約書などで、本人から書面(電磁的記録を含む)により直接個人情報を取得する場合は、原則として、あらかじめ本人に利用目的を明示する必要があります。さらに、特定した利用目的の範囲を超えて扱う場合は、原則として本人の同意が必要です。また、細かく当てにいくほど想定外の受け取られ方をする余地も広がるため、どこまで踏み込むかは社内で線を引いておいてください。
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